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しおりを挟む「おっはようございまーす!!」
翌朝!
一日しっかり休んだら、すっかり身体の調子も良くなった今朝。
一日振りにキッチンにも立って、朝ご飯を作った。
相変わらず簡単な、ベーコンエッグにトースト。
さすがに毎朝作ってたら要領もわかってくるので、テキパキとこなせるようになってきた。
昨日学校から帰ってずっと寝てた分、今日は身体を動かしたくて仕方がないって感じ!
そうして作った朝ご飯を一緒に食べようと、カートに乗せてご主人様の部屋に運んで来たんだけど――――
「……いない」
だいたいあたしが朝ご飯を運んで来た時には、着替えも済ませてソファでふんぞり返りながらテレビとか見ている。
で、ここにいないって事は、もしかして?
初めてこの家で一晩過ごした翌朝。
朝ご飯を持って行ったら、ご主人様は部屋にいなかったんだよね。
その時、部屋の奥に引かれていたカーテンの向こう側に気付いて、そこに行ったら……
「まだ、寝てるのかな」
手際よく作ったから、まだトーストも卵もあったかい。
起きて来るのを待ってたら、せっかくの朝ご飯が冷めちゃうよ。
「……ご主人様?」
そっとカーテン越しに声をかけたんだけど、何の反応も返ってこない。
どうしよう。
中に入って、起こしてもいいかなぁ。
ご飯冷めちゃったら、また言われちゃうしね。
うん。起こしてあげるのも、ご主人様の身の回りのお世話はあたしの仕事だもん。
「……失礼しまーす」
あたしはカーテンに手をかけて、そっとご主人様の寝室に足を入れた。
朝陽の入らないご主人様の寝室に、ぼんやりとベッドが見える。
そのまま枕元の方に行って顔を覗き込んでみると……
(……わ!
やっぱりまだ寝てる)
埋もれた布団から顔を出すように寝てるご主人様は、相変わらず無防備な顔をして気持ちよく寝ていた。
「ご主人様。
朝ご飯、持ってきましたよぉ」
そっと声をかけてみたんだけど、ご主人様は深く眠っているのか、あたしの声かけに微動だにしない。
「どうしようかな。
身体、揺さぶったら起きるかなぁ」
あたしの部屋のシングルベッドと違って、キングサイズのベッドで寝ているご主人様は、身体を揺さぶろうにもベッドサイドからはちょっと距離も遠い。
「し、仕方ないもんね。
失礼しますっ」
あたしは膝をベッドに乗せて身体をご主人様に近付くと、ポンポンと肩を叩いてみた。
「ご主人様。
ご主人様、起きて下さーい」
ポンポンと肩を叩いても起きないので、ユサユサと身体を揺さぶってみた。
だけどなかなか目を覚ます様子がない。
うーん、どうしたら。
あたしはご主人様を見下ろしながら悩んでいると、ふとゴソゴソと布団が動いたかと思ったら、ご主人様の手があたしに伸びてきた。
「えっ、えっ
……ひゃあぁ」
背中に伸びた手があたしに触れると、グイッと引き寄せられてしまい、あたしの身体は寝てるご主人様に抱きしめられるように倒れてしまった。
「(わぁぁぁっ!)」
まさかな展開に声にならない声をあげていると、ご主人様はあたしを抱き寄せたまま何かをぼやいたのが聞こえた。
「………ぁさん……」
え?
おか…あさん?
「ん……………」
すると。
ようやく目が覚めたのか、ずっと閉じたままのご主人様のまぶたがゆっくりと開いていった。
「あっあの………っ」
すぐ目の前にいるあたしは、そんなご主人様の目と目が合ってしまい、何て言ったらいいかわからずに口をパクパクとしてしまっていた。
「……何、してんの?」
この状況を認識したご主人様は、まだ手をあたしに触れたまま言った。
何してんのって!
ご主人様に捕まってるんですーーーっ!!
「おお、おはようございますーっっ」
「……おはよ。
わざわざベッドに上がって来るなんて、ずいぶん大胆な起こし方だね。
まぁそれがペットらしいっちゃ、ペットらしいけど」
だって、ご主人様がなかなか起きてくれなかったんですーっ!!
って!
早く離して下さーいっ!!
__その後
ご主人様に手を離してもらいベッドから下りると、あたしはドキドキしながらお膳の前で待っていた。
熱は下がったハズなのに、またぶり返しちゃうよぉっ!
ほっぺたを押さえながら顔の熱を冷ましていると、ようやくご主人様は寝室のカーテンを開けてこちら側にやって来た。
「もう、具合は大丈夫なの?」
「あ、はい!
ぐっすり眠ったら、すっかり良くなりました!
今日からまた、お仕事頑張りますよー」
結局昨日はお掃除しないままだったもんね。
学校から帰ったら、張り切ってやるゾ!
「そう。ならしっかり働いてな。
じゃあ、朝ご飯いただくよ」
「はい! ご主人様!」
一日振りのお料理。
朝はいつもの献立だけど、ご主人様は相変わらずキレイにペロリと食べてくれた。
良かったよー。
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