あたし、今日からご主人さまの人質メイドです!

むらさ樹

文字の大きさ
12 / 34

しおりを挟む






「おっはようございまーす!!」




翌朝!

一日しっかり休んだら、すっかり身体の調子も良くなった今朝。


一日振りにキッチンにも立って、朝ご飯を作った。


相変わらず簡単な、ベーコンエッグにトースト。

さすがに毎朝作ってたら要領もわかってくるので、テキパキとこなせるようになってきた。


昨日学校から帰ってずっと寝てた分、今日は身体を動かしたくて仕方がないって感じ!



そうして作った朝ご飯を一緒に食べようと、カートに乗せてご主人様の部屋に運んで来たんだけど――――



「……いない」



だいたいあたしが朝ご飯を運んで来た時には、着替えも済ませてソファでふんぞり返りながらテレビとか見ている。


で、ここにいないって事は、もしかして?



初めてこの家で一晩過ごした翌朝。

朝ご飯を持って行ったら、ご主人様は部屋にいなかったんだよね。

その時、部屋の奥に引かれていたカーテンの向こう側に気付いて、そこに行ったら……



「まだ、寝てるのかな」



手際よく作ったから、まだトーストも卵もあったかい。

起きて来るのを待ってたら、せっかくの朝ご飯が冷めちゃうよ。



「……ご主人様?」



そっとカーテン越しに声をかけたんだけど、何の反応も返ってこない。


どうしよう。
中に入って、起こしてもいいかなぁ。


ご飯冷めちゃったら、また言われちゃうしね。

うん。起こしてあげるのも、ご主人様の身の回りのお世話はあたしの仕事だもん。



「……失礼しまーす」



あたしはカーテンに手をかけて、そっとご主人様の寝室に足を入れた。





朝陽の入らないご主人様の寝室に、ぼんやりとベッドが見える。


そのまま枕元の方に行って顔を覗き込んでみると……



(……わ!
やっぱりまだ寝てる)



埋もれた布団から顔を出すように寝てるご主人様は、相変わらず無防備な顔をして気持ちよく寝ていた。



「ご主人様。
朝ご飯、持ってきましたよぉ」



そっと声をかけてみたんだけど、ご主人様は深く眠っているのか、あたしの声かけに微動だにしない。



「どうしようかな。
身体、揺さぶったら起きるかなぁ」



あたしの部屋のシングルベッドと違って、キングサイズのベッドで寝ているご主人様は、身体を揺さぶろうにもベッドサイドからはちょっと距離も遠い。



「し、仕方ないもんね。
失礼しますっ」



あたしは膝をベッドに乗せて身体をご主人様に近付くと、ポンポンと肩を叩いてみた。



「ご主人様。
ご主人様、起きて下さーい」



ポンポンと肩を叩いても起きないので、ユサユサと身体を揺さぶってみた。

だけどなかなか目を覚ます様子がない。


うーん、どうしたら。

あたしはご主人様を見下ろしながら悩んでいると、ふとゴソゴソと布団が動いたかと思ったら、ご主人様の手があたしに伸びてきた。



「えっ、えっ
……ひゃあぁ」



背中に伸びた手があたしに触れると、グイッと引き寄せられてしまい、あたしの身体は寝てるご主人様に抱きしめられるように倒れてしまった。




「(わぁぁぁっ!)」



まさかな展開に声にならない声をあげていると、ご主人様はあたしを抱き寄せたまま何かをぼやいたのが聞こえた。



「………ぁさん……」



え?

おか…あさん?



「ん……………」



すると。
ようやく目が覚めたのか、ずっと閉じたままのご主人様のまぶたがゆっくりと開いていった。



「あっあの………っ」



すぐ目の前にいるあたしは、そんなご主人様の目と目が合ってしまい、何て言ったらいいかわからずに口をパクパクとしてしまっていた。



「……何、してんの?」



この状況を認識したご主人様は、まだ手をあたしに触れたまま言った。



何してんのって!

ご主人様に捕まってるんですーーーっ!!



「おお、おはようございますーっっ」



「……おはよ。
わざわざベッドに上がって来るなんて、ずいぶん大胆な起こし方だね。
まぁそれがペットらしいっちゃ、ペットらしいけど」



だって、ご主人様がなかなか起きてくれなかったんですーっ!!

って!
早く離して下さーいっ!!





__その後

ご主人様に手を離してもらいベッドから下りると、あたしはドキドキしながらお膳の前で待っていた。


熱は下がったハズなのに、またぶり返しちゃうよぉっ!



ほっぺたを押さえながら顔の熱を冷ましていると、ようやくご主人様は寝室のカーテンを開けてこちら側にやって来た。




「もう、具合は大丈夫なの?」



「あ、はい!
ぐっすり眠ったら、すっかり良くなりました!
今日からまた、お仕事頑張りますよー」



結局昨日はお掃除しないままだったもんね。

学校から帰ったら、張り切ってやるゾ!



「そう。ならしっかり働いてな。
じゃあ、朝ご飯いただくよ」



「はい! ご主人様!」



一日振りのお料理。

朝はいつもの献立だけど、ご主人様は相変わらずキレイにペロリと食べてくれた。

良かったよー。








しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

独占欲全開の肉食ドクターに溺愛されて極甘懐妊しました

せいとも
恋愛
旧題:ドクターと救急救命士は天敵⁈~最悪の出会いは最高の出逢い~ 救急救命士として働く雫石月は、勤務明けに乗っていたバスで事故に遭う。 どうやら、バスの運転手が体調不良になったようだ。 乗客にAEDを探してきてもらうように頼み、救助活動をしているとボサボサ頭のマスク姿の男がAEDを持ってバスに乗り込んできた。 受け取ろうとすると邪魔だと言われる。 そして、月のことを『チビ団子』と呼んだのだ。 医療従事者と思われるボサボサマスク男は運転手の処置をして、月が文句を言う間もなく、救急車に同乗して去ってしまった。 最悪の出会いをし、二度と会いたくない相手の正体は⁇ 作品はフィクションです。 本来の仕事内容とは異なる描写があると思います。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【短編】淫紋を付けられたただのモブです~なぜか魔王に溺愛されて~

双真満月
恋愛
不憫なメイドと、彼女を溺愛する魔王の話(短編)。 なんちゃってファンタジー、タイトルに反してシリアスです。 ※小説家になろうでも掲載中。 ※一万文字ちょっとの短編、メイド視点と魔王視点両方あり。

処理中です...