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「…ひな坊?
お前、何かあったのか?」
「えっ」
彼が帰った後、お客さんも引いたので厨房の方に戻った。
すると、私の顔を見た久保店長が不思議そうな顔でそう訊いてきたのだ。
「お前、凄い顔が緩んでるぞ?
何がそんなに楽しいんだ?」
か、顔が緩んでる!?
言われてみれば、確かにほっぺたの辺りが上がってる気もしなくもない。
それってつまり、ニヤケてるって奴?
「やだ久保店長。
このぐらいの若い子ってのはね、箸が転がっても楽しいものなのよ」
そんな中、パート主任の小山さんが私の代わりにそう答えた。
「箸が転がったくらいでそんなに楽しいか?」
「楽しいわよぉ!
若い子ってのは、何やってても楽しくて仕方ないんだから。
ねぇ、ひなちゃん?」
「あ…はは…」
代弁してくれるのは有り難いんですが、小山さん!
箸が転がっても楽しいのは、10代の女の子の事じゃありませんっけ?
私、アラサーですよっ
アラウンド30なんですよーっ!
だけど久保店長が言った通り、私は今ものスゴくニヤケていたと思う。
それはもう、気持ち悪いくらいの笑顔で。
だって、今でもまだ胸がドキドキしてソワソワして、落ち着かないんだもん。
──『昼ご飯だけど、11時くらいでいい?
もっと遅くしようか?』
──『いえ、明日は3時から仕事だから、早い方が都合良いです』
──『じゃあ明日は11時に、約束な』
…初めてした、デートの約束。
学生時代、誰かから告白された事もなければ、した事だってない。
高校は女子校だったから、男の子との縁もなかった。
そうして卒業後、無事に就職はしても、青春を取り残したまま年ばかりくっていった。
そして現在。
28にもなれば、そのくらいの年齢の人を恋愛対象として見るのかなと思いながら仕事はしているんだけど。
私がいつまでも子どもみたいな顔してるから、同じくらいの年の男性はきっと私を恋愛対象としては見ないだろう。
でもそれが、私を恋愛から遠ざけた悪循環でもあるの。
だから彼も…決して恋愛対象としては見る相手ではない。
…んだけど。
初めてのデートにウキウキしてしまうのは、どうしても仕方のない事、だよね…?
お前、何かあったのか?」
「えっ」
彼が帰った後、お客さんも引いたので厨房の方に戻った。
すると、私の顔を見た久保店長が不思議そうな顔でそう訊いてきたのだ。
「お前、凄い顔が緩んでるぞ?
何がそんなに楽しいんだ?」
か、顔が緩んでる!?
言われてみれば、確かにほっぺたの辺りが上がってる気もしなくもない。
それってつまり、ニヤケてるって奴?
「やだ久保店長。
このぐらいの若い子ってのはね、箸が転がっても楽しいものなのよ」
そんな中、パート主任の小山さんが私の代わりにそう答えた。
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「楽しいわよぉ!
若い子ってのは、何やってても楽しくて仕方ないんだから。
ねぇ、ひなちゃん?」
「あ…はは…」
代弁してくれるのは有り難いんですが、小山さん!
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私、アラサーですよっ
アラウンド30なんですよーっ!
だけど久保店長が言った通り、私は今ものスゴくニヤケていたと思う。
それはもう、気持ち悪いくらいの笑顔で。
だって、今でもまだ胸がドキドキしてソワソワして、落ち着かないんだもん。
──『昼ご飯だけど、11時くらいでいい?
もっと遅くしようか?』
──『いえ、明日は3時から仕事だから、早い方が都合良いです』
──『じゃあ明日は11時に、約束な』
…初めてした、デートの約束。
学生時代、誰かから告白された事もなければ、した事だってない。
高校は女子校だったから、男の子との縁もなかった。
そうして卒業後、無事に就職はしても、青春を取り残したまま年ばかりくっていった。
そして現在。
28にもなれば、そのくらいの年齢の人を恋愛対象として見るのかなと思いながら仕事はしているんだけど。
私がいつまでも子どもみたいな顔してるから、同じくらいの年の男性はきっと私を恋愛対象としては見ないだろう。
でもそれが、私を恋愛から遠ざけた悪循環でもあるの。
だから彼も…決して恋愛対象としては見る相手ではない。
…んだけど。
初めてのデートにウキウキしてしまうのは、どうしても仕方のない事、だよね…?
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