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第七話 魔王様、フラグを立てる
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「すいませんっしたぁーーっ。友達っ、上下関係なしの友達でぇお願いしゃぁす」
隷属の指輪の効力で地面に体を押さえつけられたままのベスが、姿勢を変える。両手を頭の上の地面に着け、足を折り畳んだ、いわゆる土下座の姿勢である。
「ふん。上下関係なしか」
「ほ、ほら、見た感じサナトと俺の年は同じくらいだろぉ。友人とした方が都合がいいって」
「ふむ」
土下座したまま軽そうな笑顔を浮かべるベスを、サナトはじっと見下ろした。
この男と対等、というのが少し気に食わないが。
なにぶんサナトは人間たちの社会を知らない。ベスが都合がいいと言うのなら、そうなのだろう。
それに。実を言えば友人、という響きは悪くない。
「いいだろう」
指輪に念じて地面に押さえつける効力を解いてやった。
こうして、サナトとベスの関係は友人というポジションに落ち着くことになった。
****
二人が畑に向かうと、あぜ道の草刈りをしていたリベラがこちらに気付き、立ち上がって手を振ってくれた。
「おはようございます。サナトさん、ベスさん」
「はよぉー、リベラ。今日も精が出るねぇ」
「……美しい」
へらへらと手を振るベスの横で、サナトは呆然と呟いた。
「えっ?」
リベラの顔が下から上へと、みるみる赤くなっていく。サナトの隣のベスがヒューッと口笛を吹いた。
「なんだよ、サナト。朝っぱらから口説いてんのかぁ?」
ニヤニヤと下品な顔をしているベスと、赤くなって動きを止めたリベラに、サナトは大きく頷いた。
「ああ。そうかもしれん。こんなに美しいものを見たのは初めてだ」
「えっ、そんな……やだ、サナトさん」
なにやらリベラがあわあわと手を動かしているが、サナトの視線は彼女を通り越して、畑に向けられていた。
そう。口説いている。この素晴らしい野菜を。
朝露が道端の雑草や畑に植わっている野菜を濡らし、光を反射している。人間界の朝は、昼よりもキラキラと光っていて一段と美しかった。
「このキャベッツの美しく巻いた葉に、朝露の艶やかなことよ。なんという芸術的な組み合わせだろう! それにコロッコリー! こんもりと深い緑に丸い水滴。これはどんな宝石にも勝る! ああ、レンホウソの先についた滴の中に、さらにレンホウソが映っているとは。理想が具現化したような美しさよ」
「あ、美しいってそっち……そうですよね、そっちですよね。やだ、私ったら」
サナトが野菜の美しさを語るにつれ、リベラの顔がさらに赤くなっていった。頬に手を当ててうつむくと、今度はぱたぱたと手であおぎ始めた。どうやら顔の火照りを冷ましているようだ。
もしかすると熱でもあるのだろうか。
にわか知識ではあるが、昨日人間についての文献も読んできた。
文献によると、人間は魔物よりも弱く、些細なことで病気になったり体調を崩しやすい生き物だと書いてあった。リベラにはこれから畑や野菜のことを教えて貰わねばならないというのに、それは困る。
「顔が赤いが、大丈夫か? リベラ殿」
熱を測る道具を使えば正確だが、あいにく持っていない。
手っ取り早く熱を測ろうと、サナトはリベラの額に自分の手のひらを当てた。
「少し、熱いか……?」
手のひらに伝わってきたのは、丸みを帯びた額の形と吸いつくような肌、サナトよりも熱い体温。もう少しじっくりと測ろうと、サナトは手のひらに意識を集中した。
「っ~~~~~っ、ささささ、サナトさんっ」
ところが、リベラが裏返ったような声を上げてのけ反った。
後ろにのけ反ったためにバランスを崩し、片足を後ろに出して支えようとする。
しかしリベラが立っていたのは、あぜ道の端。出した足は空を切り、リベラの体がさらに大きく後ろへ傾いた。
リベラの背後は畑である。このままでは美しいキャベッツが下敷きになってしまう。
「危ない、リベラ殿」
サナトは宙を泳いだリベラの手を掴んだ。しかし掴んだ手首は予想よりも細くて、あまり力を入れては折れそうだった。慌てて手を掴む力を弛め、反対の手でリベラの背中を支える。必然的にすっぽりとリベラが腕の中に収まった。
腕の中のリベラを見れば首もとまで赤く、瞳が潤んでいる。熱の症状だ。
「やはり熱が」
確かこういう時は温かくして寝るのが一番だった。仕方がない。残念だが、畑はリベラが良くなるまでお預けか。
「きゃーっ、違うんです。大丈夫ですっ。あの、離れてください。すぐ治りますから」
「しかし……」
「んなーーっ、何やってんだぁ。しかしじゃねぇよ、いいから離れろって」
なぜか悲鳴を上げられて、ばんばんとリベラに胸を叩かれた。ベスにも脇腹を小突かれる。
離れれば治るというのがどうにも釈然としないのだが、人間にはそういう病気もあるのだろうか。
サナトは首を捻りながらも、リベラから離れた。
「ああ、びっくりしました」
サナトが取った距離よりも、さらに数歩ほど離れたリベラが胸を押さえた。
「けっ。イチャつきやがって」
「イチャついてなどおらんわ」
つばでも吐きかけそうな表情のベスの指輪を、軽く締めておく。
「……っ痛ててててっ、すみませんっしたーっ」
反対の手で指を押さえるベスを半目で見やる。
全く、この下僕……いや、『友人』はすぐに調子に乗る。時々こうして、しつけをしてやらねばならんようだ。
ベスに制裁を加え終えたサナトがリベラに意識を戻すと、彼女はしきりに自身の胸を撫でながら、ぶつぶつと呟いていた。
「サナトさんは心配してくれただけよ、リベラ。さっきのは何でもない、何でもない、何でもないの」
回復呪文でも何でもなさそうだが、あれで治るのだろうか。
「よし、もう大丈夫です!」
どうやら治ったらしい。勢いよく上げたリベラの顔は、頬がほんのりと赤いものの、後は普通に戻っていた。
「治ってなによりだ。ではさっそくだが、ガジャ芋を植えるのだろう? 何をすればいい?」
いよいよ待ちに待った畑仕事だ。
昨日は、魔王に挑みかかってくる、どこそこの国の騎士団だのどこそこの英雄だのを蹴散らしたり、戦いを挑んできた配下を適当にあしらいながらも、サナトの頭の中はガジャ芋でいっぱいだった。
サナトは居ても立っても居られずに、きょろきょろと辺りを見渡した。が、肝心の種芋が見当たらない。
「ふふふ。サナトさん。ガジャ芋でも何でも野菜に必要なのは、まず土づくりなのですよ。ガジャ芋に最適な土づくりはですね、最低でも二週間ほどかかるんです」
「な、そんなにかかるのか」
そういえば、『初めてさんでも大丈夫! 美味しい野菜の育て方』にそのようなことも書いてあった気がする。育て方にばかり気を取られて、すっかり失念していた。
「はい。ベスさんから聞いているとは思いますけど、うちは急にお父さんが王都へ向かったものだから、向こうの畑が手のついていない状態なんです。なので申し訳ないですが、雑草を刈って耕すところからになります」
「ふむ。分かった。問題ない。雑草を刈るのも畑を耕すのも面白そうだ」
「よし。俺はもういなくてもいいだろ。じゃあな、サナト」
ベスがしゅたっと片手を上げてから振った。
「うむ。ご苦労」
労ってやると、やや腰をかがめてへらへらとした笑みを貼り付けたまま去っていった。
どうせ昨日渡してやった報酬で、またギャンブルでもやるのだろう。ベスが向かった方向は農具屋ではなかった。
「ベスさんも、もう少し真面目に仕事をすればいいんですけど」
「無理であろうな」
サナトの一言を聞いたリベラが頬に手を当てたまま、ため息を吐いた。
隷属の指輪の効力で地面に体を押さえつけられたままのベスが、姿勢を変える。両手を頭の上の地面に着け、足を折り畳んだ、いわゆる土下座の姿勢である。
「ふん。上下関係なしか」
「ほ、ほら、見た感じサナトと俺の年は同じくらいだろぉ。友人とした方が都合がいいって」
「ふむ」
土下座したまま軽そうな笑顔を浮かべるベスを、サナトはじっと見下ろした。
この男と対等、というのが少し気に食わないが。
なにぶんサナトは人間たちの社会を知らない。ベスが都合がいいと言うのなら、そうなのだろう。
それに。実を言えば友人、という響きは悪くない。
「いいだろう」
指輪に念じて地面に押さえつける効力を解いてやった。
こうして、サナトとベスの関係は友人というポジションに落ち着くことになった。
****
二人が畑に向かうと、あぜ道の草刈りをしていたリベラがこちらに気付き、立ち上がって手を振ってくれた。
「おはようございます。サナトさん、ベスさん」
「はよぉー、リベラ。今日も精が出るねぇ」
「……美しい」
へらへらと手を振るベスの横で、サナトは呆然と呟いた。
「えっ?」
リベラの顔が下から上へと、みるみる赤くなっていく。サナトの隣のベスがヒューッと口笛を吹いた。
「なんだよ、サナト。朝っぱらから口説いてんのかぁ?」
ニヤニヤと下品な顔をしているベスと、赤くなって動きを止めたリベラに、サナトは大きく頷いた。
「ああ。そうかもしれん。こんなに美しいものを見たのは初めてだ」
「えっ、そんな……やだ、サナトさん」
なにやらリベラがあわあわと手を動かしているが、サナトの視線は彼女を通り越して、畑に向けられていた。
そう。口説いている。この素晴らしい野菜を。
朝露が道端の雑草や畑に植わっている野菜を濡らし、光を反射している。人間界の朝は、昼よりもキラキラと光っていて一段と美しかった。
「このキャベッツの美しく巻いた葉に、朝露の艶やかなことよ。なんという芸術的な組み合わせだろう! それにコロッコリー! こんもりと深い緑に丸い水滴。これはどんな宝石にも勝る! ああ、レンホウソの先についた滴の中に、さらにレンホウソが映っているとは。理想が具現化したような美しさよ」
「あ、美しいってそっち……そうですよね、そっちですよね。やだ、私ったら」
サナトが野菜の美しさを語るにつれ、リベラの顔がさらに赤くなっていった。頬に手を当ててうつむくと、今度はぱたぱたと手であおぎ始めた。どうやら顔の火照りを冷ましているようだ。
もしかすると熱でもあるのだろうか。
にわか知識ではあるが、昨日人間についての文献も読んできた。
文献によると、人間は魔物よりも弱く、些細なことで病気になったり体調を崩しやすい生き物だと書いてあった。リベラにはこれから畑や野菜のことを教えて貰わねばならないというのに、それは困る。
「顔が赤いが、大丈夫か? リベラ殿」
熱を測る道具を使えば正確だが、あいにく持っていない。
手っ取り早く熱を測ろうと、サナトはリベラの額に自分の手のひらを当てた。
「少し、熱いか……?」
手のひらに伝わってきたのは、丸みを帯びた額の形と吸いつくような肌、サナトよりも熱い体温。もう少しじっくりと測ろうと、サナトは手のひらに意識を集中した。
「っ~~~~~っ、ささささ、サナトさんっ」
ところが、リベラが裏返ったような声を上げてのけ反った。
後ろにのけ反ったためにバランスを崩し、片足を後ろに出して支えようとする。
しかしリベラが立っていたのは、あぜ道の端。出した足は空を切り、リベラの体がさらに大きく後ろへ傾いた。
リベラの背後は畑である。このままでは美しいキャベッツが下敷きになってしまう。
「危ない、リベラ殿」
サナトは宙を泳いだリベラの手を掴んだ。しかし掴んだ手首は予想よりも細くて、あまり力を入れては折れそうだった。慌てて手を掴む力を弛め、反対の手でリベラの背中を支える。必然的にすっぽりとリベラが腕の中に収まった。
腕の中のリベラを見れば首もとまで赤く、瞳が潤んでいる。熱の症状だ。
「やはり熱が」
確かこういう時は温かくして寝るのが一番だった。仕方がない。残念だが、畑はリベラが良くなるまでお預けか。
「きゃーっ、違うんです。大丈夫ですっ。あの、離れてください。すぐ治りますから」
「しかし……」
「んなーーっ、何やってんだぁ。しかしじゃねぇよ、いいから離れろって」
なぜか悲鳴を上げられて、ばんばんとリベラに胸を叩かれた。ベスにも脇腹を小突かれる。
離れれば治るというのがどうにも釈然としないのだが、人間にはそういう病気もあるのだろうか。
サナトは首を捻りながらも、リベラから離れた。
「ああ、びっくりしました」
サナトが取った距離よりも、さらに数歩ほど離れたリベラが胸を押さえた。
「けっ。イチャつきやがって」
「イチャついてなどおらんわ」
つばでも吐きかけそうな表情のベスの指輪を、軽く締めておく。
「……っ痛ててててっ、すみませんっしたーっ」
反対の手で指を押さえるベスを半目で見やる。
全く、この下僕……いや、『友人』はすぐに調子に乗る。時々こうして、しつけをしてやらねばならんようだ。
ベスに制裁を加え終えたサナトがリベラに意識を戻すと、彼女はしきりに自身の胸を撫でながら、ぶつぶつと呟いていた。
「サナトさんは心配してくれただけよ、リベラ。さっきのは何でもない、何でもない、何でもないの」
回復呪文でも何でもなさそうだが、あれで治るのだろうか。
「よし、もう大丈夫です!」
どうやら治ったらしい。勢いよく上げたリベラの顔は、頬がほんのりと赤いものの、後は普通に戻っていた。
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いよいよ待ちに待った畑仕事だ。
昨日は、魔王に挑みかかってくる、どこそこの国の騎士団だのどこそこの英雄だのを蹴散らしたり、戦いを挑んできた配下を適当にあしらいながらも、サナトの頭の中はガジャ芋でいっぱいだった。
サナトは居ても立っても居られずに、きょろきょろと辺りを見渡した。が、肝心の種芋が見当たらない。
「ふふふ。サナトさん。ガジャ芋でも何でも野菜に必要なのは、まず土づくりなのですよ。ガジャ芋に最適な土づくりはですね、最低でも二週間ほどかかるんです」
「な、そんなにかかるのか」
そういえば、『初めてさんでも大丈夫! 美味しい野菜の育て方』にそのようなことも書いてあった気がする。育て方にばかり気を取られて、すっかり失念していた。
「はい。ベスさんから聞いているとは思いますけど、うちは急にお父さんが王都へ向かったものだから、向こうの畑が手のついていない状態なんです。なので申し訳ないですが、雑草を刈って耕すところからになります」
「ふむ。分かった。問題ない。雑草を刈るのも畑を耕すのも面白そうだ」
「よし。俺はもういなくてもいいだろ。じゃあな、サナト」
ベスがしゅたっと片手を上げてから振った。
「うむ。ご苦労」
労ってやると、やや腰をかがめてへらへらとした笑みを貼り付けたまま去っていった。
どうせ昨日渡してやった報酬で、またギャンブルでもやるのだろう。ベスが向かった方向は農具屋ではなかった。
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