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第八話 魔王様、土づくりをする
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初めての草刈りも中々乙なものだった。カマという道具を使ってザクザクと草を刈っていくのだが、それが面白い。
作業そのものはいたって単純だ。軍手をはめた左手で草を掴み、カマを根本に当てて勢いよく引く。その繰り返しだ。
「すごい! こんなに早く刈り終えるなんて。サナトさんって、見かけによらず体力あるんですね」
ブィンブィンと草を刈る魔法具を動かしながら、リベラが感心した声をかけてくる。
「そうか?」
「そうですよ。魔法具を使ってる私と、変わらない量の草刈ってるじゃないですか。その速さで刈ってたら普通は途中でばてますよ」
リベラに言われ、サナトはカマを引く手を止めて辺りを見渡した。
三ヘクトもの畑にぼうぼうに茂っていた雑草はほとんど刈り取られている。
サナトが奥側から、リベラが手前側から刈っていたのだが、今は二人ともほぼ中心にいる。つまり、同じ範囲の草を刈ったということだ。
「それにしても魔法具は貴重で滅多に手に入らないものだと思っていたが」
魔界と違って人間界では普通に出回っているのだろうか。
リベラが使っている魔法具は金属の長い柄の先に円盤のような刃という形状で、柄には刻んだ文字と小さな宝石があった。
魔法具の長い柄を持ち、リベラが先についている刃が地面に対して水平になるように動かしていく。すると、回転した刃が草をスパスパと刈っていくという、大変便利な魔法具だ。
宝石は魔力を増幅させる効果を持ち、文字は魔法の刃を回転させるという、発現内容を記している。これにより魔法使いでなくても、多少なりとも魔力を持っていれば使える。
魔力を全く持っていないと、うんともすんとも動かせないが、逆に魔力があれば女子供でも簡単に扱えるわけだ。
ちなみにもう一つ、リベラの母親用の同じ魔法具があった。しかし今のサナトはワッペンの効果により瘴気が出ないだけでなく、魔力を外に出すことも出来ないため魔力を流して動かすタイプの魔法具を使えない。
そのため便利な魔法具ではなく、カマを使ってひたすら草を刈っていた。
「貴重ですよ。買おうと思うと目の玉が飛び出るくらいの値段がします。でもこれ、お父さんの手作りですから」
「ふむ。リベラ殿の父上は魔法具職人か」
「いえ。違うんですけど、魔法具も作れます。お父さん、結構何でもできる器用貧乏な人なんですよ」
「ほう。それは凄いな」
器用貧乏で魔法具は作れないと思うのだが。そういえばベスがリベラの父は王宮勤めだと言っていたことを思い出す。人間の職業はよく知らないが、もしかすると魔法使いか何かなのかもしれない。
「凄いんですけど、燃料になる魔力を持ってる人が少ないでしょう? 使える人がいないんですよね」
リベラが困ったように笑って肩をすくめた。
「ふむ。魔力を持つ人間は少ないのか」
瘴気の満ちた魔界に住む魔族や魔物たちは魔力のない者の方が珍しいのだが、人間界はどうやら逆らしい。
「? 少ないに決まっているじゃないですか。サナトさんもないんでしょう?」
「ああ、まあ、そうだな」
リベラの言葉をサナトは肯定しておいた。
実際には持っているが使えないだけだが、そういうことにしておい方がよさそうだ。
「リベラ―ッ」
遠くからリベラを呼ぶ女の声がした。そちらを向くと、中年の女性が手を振りながらこちらへ歩いてくる。
「お母さん」
「む。リベラ殿の母御か」
道を歩いてくる女性はリベラに似ていた。陽光を弾く金髪と優しい青い瞳、同じようにふんわりとした雰囲気をまとっている。彼女は大きなカバンを下げていた。
「こんにちは。サナトさん。私はリベラの母のケレースです。この度は畑を借りて下さってありがとうございます」
「こちらこそ、素晴らしい畑を借りられて嬉しく思っている。よろしく頼む」
深々と頭を下げるケレースにサナトも深々とした礼を返した。
「ふふ、聞いていた通りの人ですね。草刈り、疲れましたでしょう? そろそろお昼ですよ。お弁当を持ってきたから、休憩がてら食べましょう」
ウィンクをしながら、カバンを掲げた。どうやら中身は昼飯らしい。
「特に休憩などいらないが」
特に疲れていないし、空腹よりもはやく畑作業をやりたかったサナトは休憩を渋った。
「ええ~、サナトさん、私はお腹ペコペコです」
「うちでとれた野菜を使っているんですよ。よかったら召し上がって下さい」
「何!? とれた野菜だと。それはぜひ頂こう」
野菜が食べられるということなら話は別だった。野菜は作るのも収穫するのもワクワクするが、食べるとどんな味がするのかも興味があった。
ケレースが畑の脇に建てられた小屋から、簡易のテーブルと椅子を出し、軽く拭いてから敷いた布の上にバスケットを置いた。リベラはその間に魔法具を仕舞っている。
「なんと、美しい」
テーブルに並べられたバスケットの中身を見て、サナトは思わず感嘆の声が漏れた。
バスケットの中身は、いかにも色の溢れる人間界の食べ物らしかった。実にカラフルに彩られている。
四角いパンには、上に赤いトマトマのソースが塗られ、レンホウソの緑とモロッコシの黄色、その上にはとろりと溶けたチーズがかかっていた。
焼いた薄切りのパンにベーコンと共にたっぷりと溢れそうなほどキャベッツが挟まれている。
さらにバスケットの中にはパンだけでなく、コロッコリーとゆで卵のサラダも添えられていて、そちらも緑と黄色の鮮やかな色彩を主張していた。
どれも見ただけで美味そうだ。
「さ、どうぞ召し上がれ」
「うむ、では遠慮なく」
さっそくレンホウソの乗った四角いパンに手を伸ばす。かじった途端にカリッとした歯触りと香ばしさが広がった。
噛むとソースの塩気とトロリと溶けたチーズがレンホウソの甘さと苦味とを調和させる。モロッコシのぷちぷちとした食感と甘味もまた、アクセントだった。
「美味しい。焼き立てを持ってきてくれたの?」
「そうよ。野菜の配達が終わってから作ってきたの」
母娘の会話を他所に、サナトはキャベッツのサンドを手に取る。こちらも焼いたパンがサクッと音を立てて、中からベーコンに挟まれたボリュームのあるキャベッツが口の中に溢れる。シャキシャキとした千切りキャベツに絡まるまろやかな調味料とベーコンの旨味が堪らず、あっという間に一つ平らげた。
「美味い。これは皆、畑でとれた野菜なのか?」
サラダにフォークを突き刺しつつ、サナトはケレースに尋ねた。そのまま口に運ぶ。小さな蕾の部分がプチプチと弾け、少し遅れて茎の甘さがきた。これも美味い。
「そうですよ。うちの自慢の野菜。美味しいでしょう?」
両手でサンドを持ち、リベラが嬉しそうに頬を染めた。サナトは大きく頷く。野菜がこれほど美味いのなら、ますます畑仕事にやる気が出るというものだ。
昼食が終わるとケレースは空になった弁当を片付けてくると、いったん帰っていった。
「さて、草刈りは終わりましたし、今度は耕しますよ」
リベラがすたすたと小屋に入っていく。小屋の中の脇には農具が立てかけられ、設置された棚にも様々な道具が仕舞われていた。他にも沢山の袋が積んである。
さらに中央。
そこにはかなり大きな魔法具が陣取っていた。
「これは?」
「畑を耕す魔法具です。前は牛を借りてひいてもらっていたんですけど、お父さんがこれを作ってくれたので借りなくてもよくなりました」
魔法具は手押し車に似ていた。違うのは車輪がごつごつと大きな凹凸があること。その後ろに大きな刃がついていることである。
リベラが左右に突き出したようにある持ち手を握り、魔法具を押して移動させる。小屋から出て、畑の脇に設置されたスロープから下りた。
畑に下りるとリベラの体が淡く光った。光はリベラから魔法具へ流れ込む。すると、魔法具がブルルと震え始めた。どうやら発動したらしい。
サナトは軽く驚いた。光は魔力だ。魔力の流れは魔法を使える者しか見えないが、リベラから流れた魔力量はかなりのものだった。
ゴゴゴという音を立てて、魔法具の刃が回転し始めた。ゴリゴリと土を掘り返していく。ゆっくりと魔法具を進めていくと、通った後の土が柔らかくなった。
その様子が興味深く、サナトは魔法具の回転する刃と、掘り起こされる土を眺めながら、リベラに並んで歩いた。
が、しばらくして飽きた。
「リベラ殿。何か他に出来ることはないだろうか」
魔法具を使ってみたいのは山々だが、魔力が出せないサナトはリベラと代わることも出来ない。魔法具はどんどん土を耕しているが、なにせ畑は広い。全部耕し終えるまでは、まだまだかかりそうだった。
「では、小屋から肥料を出してもらえますか。耕し終わったら肥料を混ぜ込んでもう一度耕すんです」
「うむ。お安い御用だ」
それからサナトはリベラに指示をもらいながら、耕した後の土に肥料を撒いた。肥料は米ぬか、油かす、魚粉を混ぜて発酵させたものだそうだ。
肥料を撒いた後、またリベラが魔法具で耕した。サナトはまたリベラの後を追っていく。しかし今度は肥料撒きではなく、うね上げだ。クワで土を軽く堀り、その土を中央に上げる。こうすると水はけがよくなるし、堀って低くなったところは通り道にもなる。
しばらくすると片づけを終えたケレースも合流し、三人でうねを上げていった。
こうして、日も傾くころにガジャ芋を植える畑が完成した。
作業そのものはいたって単純だ。軍手をはめた左手で草を掴み、カマを根本に当てて勢いよく引く。その繰り返しだ。
「すごい! こんなに早く刈り終えるなんて。サナトさんって、見かけによらず体力あるんですね」
ブィンブィンと草を刈る魔法具を動かしながら、リベラが感心した声をかけてくる。
「そうか?」
「そうですよ。魔法具を使ってる私と、変わらない量の草刈ってるじゃないですか。その速さで刈ってたら普通は途中でばてますよ」
リベラに言われ、サナトはカマを引く手を止めて辺りを見渡した。
三ヘクトもの畑にぼうぼうに茂っていた雑草はほとんど刈り取られている。
サナトが奥側から、リベラが手前側から刈っていたのだが、今は二人ともほぼ中心にいる。つまり、同じ範囲の草を刈ったということだ。
「それにしても魔法具は貴重で滅多に手に入らないものだと思っていたが」
魔界と違って人間界では普通に出回っているのだろうか。
リベラが使っている魔法具は金属の長い柄の先に円盤のような刃という形状で、柄には刻んだ文字と小さな宝石があった。
魔法具の長い柄を持ち、リベラが先についている刃が地面に対して水平になるように動かしていく。すると、回転した刃が草をスパスパと刈っていくという、大変便利な魔法具だ。
宝石は魔力を増幅させる効果を持ち、文字は魔法の刃を回転させるという、発現内容を記している。これにより魔法使いでなくても、多少なりとも魔力を持っていれば使える。
魔力を全く持っていないと、うんともすんとも動かせないが、逆に魔力があれば女子供でも簡単に扱えるわけだ。
ちなみにもう一つ、リベラの母親用の同じ魔法具があった。しかし今のサナトはワッペンの効果により瘴気が出ないだけでなく、魔力を外に出すことも出来ないため魔力を流して動かすタイプの魔法具を使えない。
そのため便利な魔法具ではなく、カマを使ってひたすら草を刈っていた。
「貴重ですよ。買おうと思うと目の玉が飛び出るくらいの値段がします。でもこれ、お父さんの手作りですから」
「ふむ。リベラ殿の父上は魔法具職人か」
「いえ。違うんですけど、魔法具も作れます。お父さん、結構何でもできる器用貧乏な人なんですよ」
「ほう。それは凄いな」
器用貧乏で魔法具は作れないと思うのだが。そういえばベスがリベラの父は王宮勤めだと言っていたことを思い出す。人間の職業はよく知らないが、もしかすると魔法使いか何かなのかもしれない。
「凄いんですけど、燃料になる魔力を持ってる人が少ないでしょう? 使える人がいないんですよね」
リベラが困ったように笑って肩をすくめた。
「ふむ。魔力を持つ人間は少ないのか」
瘴気の満ちた魔界に住む魔族や魔物たちは魔力のない者の方が珍しいのだが、人間界はどうやら逆らしい。
「? 少ないに決まっているじゃないですか。サナトさんもないんでしょう?」
「ああ、まあ、そうだな」
リベラの言葉をサナトは肯定しておいた。
実際には持っているが使えないだけだが、そういうことにしておい方がよさそうだ。
「リベラ―ッ」
遠くからリベラを呼ぶ女の声がした。そちらを向くと、中年の女性が手を振りながらこちらへ歩いてくる。
「お母さん」
「む。リベラ殿の母御か」
道を歩いてくる女性はリベラに似ていた。陽光を弾く金髪と優しい青い瞳、同じようにふんわりとした雰囲気をまとっている。彼女は大きなカバンを下げていた。
「こんにちは。サナトさん。私はリベラの母のケレースです。この度は畑を借りて下さってありがとうございます」
「こちらこそ、素晴らしい畑を借りられて嬉しく思っている。よろしく頼む」
深々と頭を下げるケレースにサナトも深々とした礼を返した。
「ふふ、聞いていた通りの人ですね。草刈り、疲れましたでしょう? そろそろお昼ですよ。お弁当を持ってきたから、休憩がてら食べましょう」
ウィンクをしながら、カバンを掲げた。どうやら中身は昼飯らしい。
「特に休憩などいらないが」
特に疲れていないし、空腹よりもはやく畑作業をやりたかったサナトは休憩を渋った。
「ええ~、サナトさん、私はお腹ペコペコです」
「うちでとれた野菜を使っているんですよ。よかったら召し上がって下さい」
「何!? とれた野菜だと。それはぜひ頂こう」
野菜が食べられるということなら話は別だった。野菜は作るのも収穫するのもワクワクするが、食べるとどんな味がするのかも興味があった。
ケレースが畑の脇に建てられた小屋から、簡易のテーブルと椅子を出し、軽く拭いてから敷いた布の上にバスケットを置いた。リベラはその間に魔法具を仕舞っている。
「なんと、美しい」
テーブルに並べられたバスケットの中身を見て、サナトは思わず感嘆の声が漏れた。
バスケットの中身は、いかにも色の溢れる人間界の食べ物らしかった。実にカラフルに彩られている。
四角いパンには、上に赤いトマトマのソースが塗られ、レンホウソの緑とモロッコシの黄色、その上にはとろりと溶けたチーズがかかっていた。
焼いた薄切りのパンにベーコンと共にたっぷりと溢れそうなほどキャベッツが挟まれている。
さらにバスケットの中にはパンだけでなく、コロッコリーとゆで卵のサラダも添えられていて、そちらも緑と黄色の鮮やかな色彩を主張していた。
どれも見ただけで美味そうだ。
「さ、どうぞ召し上がれ」
「うむ、では遠慮なく」
さっそくレンホウソの乗った四角いパンに手を伸ばす。かじった途端にカリッとした歯触りと香ばしさが広がった。
噛むとソースの塩気とトロリと溶けたチーズがレンホウソの甘さと苦味とを調和させる。モロッコシのぷちぷちとした食感と甘味もまた、アクセントだった。
「美味しい。焼き立てを持ってきてくれたの?」
「そうよ。野菜の配達が終わってから作ってきたの」
母娘の会話を他所に、サナトはキャベッツのサンドを手に取る。こちらも焼いたパンがサクッと音を立てて、中からベーコンに挟まれたボリュームのあるキャベッツが口の中に溢れる。シャキシャキとした千切りキャベツに絡まるまろやかな調味料とベーコンの旨味が堪らず、あっという間に一つ平らげた。
「美味い。これは皆、畑でとれた野菜なのか?」
サラダにフォークを突き刺しつつ、サナトはケレースに尋ねた。そのまま口に運ぶ。小さな蕾の部分がプチプチと弾け、少し遅れて茎の甘さがきた。これも美味い。
「そうですよ。うちの自慢の野菜。美味しいでしょう?」
両手でサンドを持ち、リベラが嬉しそうに頬を染めた。サナトは大きく頷く。野菜がこれほど美味いのなら、ますます畑仕事にやる気が出るというものだ。
昼食が終わるとケレースは空になった弁当を片付けてくると、いったん帰っていった。
「さて、草刈りは終わりましたし、今度は耕しますよ」
リベラがすたすたと小屋に入っていく。小屋の中の脇には農具が立てかけられ、設置された棚にも様々な道具が仕舞われていた。他にも沢山の袋が積んである。
さらに中央。
そこにはかなり大きな魔法具が陣取っていた。
「これは?」
「畑を耕す魔法具です。前は牛を借りてひいてもらっていたんですけど、お父さんがこれを作ってくれたので借りなくてもよくなりました」
魔法具は手押し車に似ていた。違うのは車輪がごつごつと大きな凹凸があること。その後ろに大きな刃がついていることである。
リベラが左右に突き出したようにある持ち手を握り、魔法具を押して移動させる。小屋から出て、畑の脇に設置されたスロープから下りた。
畑に下りるとリベラの体が淡く光った。光はリベラから魔法具へ流れ込む。すると、魔法具がブルルと震え始めた。どうやら発動したらしい。
サナトは軽く驚いた。光は魔力だ。魔力の流れは魔法を使える者しか見えないが、リベラから流れた魔力量はかなりのものだった。
ゴゴゴという音を立てて、魔法具の刃が回転し始めた。ゴリゴリと土を掘り返していく。ゆっくりと魔法具を進めていくと、通った後の土が柔らかくなった。
その様子が興味深く、サナトは魔法具の回転する刃と、掘り起こされる土を眺めながら、リベラに並んで歩いた。
が、しばらくして飽きた。
「リベラ殿。何か他に出来ることはないだろうか」
魔法具を使ってみたいのは山々だが、魔力が出せないサナトはリベラと代わることも出来ない。魔法具はどんどん土を耕しているが、なにせ畑は広い。全部耕し終えるまでは、まだまだかかりそうだった。
「では、小屋から肥料を出してもらえますか。耕し終わったら肥料を混ぜ込んでもう一度耕すんです」
「うむ。お安い御用だ」
それからサナトはリベラに指示をもらいながら、耕した後の土に肥料を撒いた。肥料は米ぬか、油かす、魚粉を混ぜて発酵させたものだそうだ。
肥料を撒いた後、またリベラが魔法具で耕した。サナトはまたリベラの後を追っていく。しかし今度は肥料撒きではなく、うね上げだ。クワで土を軽く堀り、その土を中央に上げる。こうすると水はけがよくなるし、堀って低くなったところは通り道にもなる。
しばらくすると片づけを終えたケレースも合流し、三人でうねを上げていった。
こうして、日も傾くころにガジャ芋を植える畑が完成した。
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