いつの日か、きみとサンタクロースと

名木雪乃

文字の大きさ
78 / 95
クリスマス編

78 クリスマスプレゼント

しおりを挟む
♢♢♢

 クリスマスの早朝、サムは自分の部屋でこっそり起き出した。
 誰にも見られず、一番最初にひとりで開けたいクリスマスプレゼントがあった。
 そのため、リビングのツリーの下ではなく、部屋に置いたままにしていた。

 アイリーンから渡されていたそれを、鞄の中から取り出す。
 ようやく目にすることができる喜びに頬が緩む。
 振ると水音がするので、液体なのはわかっていた。
 雪の結晶模様の包装紙を破くと、紺色の箱にオードトワレの文字が見えた。
 薄い水色の透明な液体の入った小瓶を手に取る。

(へえ、なに、俺にこれを?)

 サムはキャップを開けて香りを嗅いでみた。

(爽やかクール系か。きみはこんな男がお望みか? きみが好きで選んでくれた香りなら、喜んで使わせてもらうよ。ただ、俺はこんな爽やか系じゃないけどね。これをプレゼントに選んだって、どんな意味があるのかなあ。この香りの俺に……抱か……)

 爽やかなミントのような香りに包まれながらベッドに戻り、妄想を膨らませるサムだったが、また眠気に襲われ、自然と目を閉じていた。


♢♢♢


 目覚まし時計のベルが鳴り、リジーはその音で頭の中のスイッチが入ったかのように、すぐに目が覚めた。

 最初に頭に浮かんだのは、昨夜のジョンのことだった。

『きみに話さなければならない大事なことがある』

 その瞳は闇のように、暗く沈んでいた。
 
 でも、今、心配しても仕方がない。
 せっかくのクリスマス、ここはサンタクロースの家。

 気持ちを切り替えると、リジーは身体を起こしベッドから降りた。
 鏡の中の自分の顔を確認する。擦り傷の細かなかさぶたは、まあ、愛嬌だ。
 掌や手首の絆創膏を思い切って剥がす。
 明るく前向きだけが取り柄、鏡に映るちっぽけな自分に笑いかけた。

 リジーはシャワーを浴び、着替えると、階下に降りて行った。



 サンタクロース一家は、華やかな笑顔をたたえ、既にリビングルームに集っていた。

「おはようございます!!」
「おはよう、リジー!」

 リジーの瞳には、物語に出てくるような幸せな家族の光景が映った。
 マントルピースの上の家族の写真は、これからも増えていくに違いない。

(サンタクロースのニコラスさん、リンダさん、ダイアナさん、ヴィクトリアさん、ブレンダさん、ホリーちゃん、そして、サム。素敵なご家族)

 リジーも早く自分の家族に、母と祖母に会いたくなった。
 そして、そこにジョンもいてくれたら。

「リジー、ジョンにはサムを起こしに行ってもらったの。ふたりが来たら、朝食にしましょうね」

 リンダと3姉妹が連れだってキッチンへ向かう。

「はい。私もお手伝いします」
「あら、いいのよ。リジーはお客様なんだから、リビングで待っていて」

 ヴィクトリアに笑顔で制される。

「リジー、昨日はきみの活躍のおかげで<白猫>の美味しいマドレーヌが食べられた。今日は、出発の時間までゆっくりしているといい。他の武勇伝も聞かせてくれ」

 ソファに座っていたニコラスがにっこり笑って手招きする。

「え~!?」

(わ、ニコラスさんにも知られちゃったんだ。他の武勇伝って……そんなの無いのに~)

 リジーは急に身の置き所が無くなった。


 その時、ジョンが半開きの目のサムをに引きずるようにしてリビングルームに現れた。

「あ、おはよう、ジョン。おはよう、サム」
「おはよう、リジー」

 昨夜の憂いはどこにも感じさせない、いつものジョンだった。

「お、はよ、リジー」

 まだ眠そうなサムには途切れ途切れの、くぐもった声で返された。

「おはよう、サム。シャキッとしないか。気持ちの良い朝だろう」

 ニコラスからは柔らかな笑みが消え、威厳のある父親の表情が浮かびあがった。

「おはよう。朝は苦手なのに、突然凶暴な魔王に起こされたからさ……」

「誰が凶暴だって? 声をかけてもピクリともしないおまえが悪い」
「うへ、急に毛布剥いで胸ぐら掴むって、あり得ないんだけど?」
「ベッドから落とした方が良かったか?」
「げ、俺の扱いが段々荒くなってる気がする」
「優しくしてほしいのか?」
「……いや、朝から優しくするのはリジーだけにしておけよ」

 突如気だるさが消え、サムに悪魔の気配が宿った。

「!」「……」

 ジョンとリジー、ニコラスの動きさえも一瞬止まる。

 3人の動作を一瞬でも封じたことを自慢するかのように、悪魔は胸を張ったが、魔王よりも先にサンタクロースからゴツンと制裁を受けた。



 朝食が済むと、いよいよクリスマスプレゼントを開ける瞬間が近付き、リジーもワクワクしてきた。
 リジーたちとサンタクロース一家は、クリスマスツリーの方へ移動した。

 遠慮のない3姉妹たちが、自分あてのプレゼントの包みを手に取って、ビリビリと一斉に破き始める。
 次々と紙を破く音と、歓喜の声が続く。
 幸せの象徴のような、カラフルな包装紙の海ができあがる。
 3姉妹のプレゼントは洋服やインテリア雑貨、アクセサリー、目を見張るほど多かった。
 3人はプレゼントと包装紙とリボンの海の中で、幸せそうに笑っている。

 リジーは、リンダ、ディアナと共に姉妹たちのプレゼント品評会に参加させられていた。
 優しい父親の姿に戻ったサンタクロースのニコラスも、目じりの皺を深め、その様子を嬉しそうに眺めていた。

「きゃ~おいしい! リジー、ありがとう!!」

 女性たちは、リジーの贈ったチョコレート菓子を開けると、さっそく皆で口に入れていた。

「ほら、リジーちゃんも口を開けて」
「え? 私は、持ってきた本人なので、いいで……ふ……あ」

 ダイアナに無理やり口に入れられて、リジーはもごもごと口を動かした。

(ん~、おいしい、良かった。こんなに喜んでもらえて)

「おいしい。涙が出そう」
「口の中でマシュマロとチョコレートがとろけて、滑らかな舌触りで、味も最高!」

 ブレンダが頷きながら2個目に手を付けた。

「美味しいものを食べると、なんで頷きたくなるんだろうね」

 ホリーも蕩けそうな顔をして何度も頷いている。

「そうね」

 ヴィクトリアもリンダもダイアナも大きく頷いていた。
 ブレンダの持っていたチョコの箱に、大きい手が伸びて来て、ヒョイと摘まんで行く。

「ちょっと~、私たちのチョコなのに!」
「いいじゃん、味見したって。<シーズ・キャンディーズ>のチョコか? うまいな、これ」

 サムも満足そうに頷いた。

「サムはいつでもハーバーシティで食べられるでしょ? ここにシーズの支店は無いんだから遠慮しなさいよ! ていうか、たまには可愛い妹に何か送って寄こしなさいよ。兄貴の癖に何もくれないじゃん」
「は? 可愛いって、どこにそんな妹が? 騒がしい妹ならここにいるけどなあ」
「こら、止めなさい、ふたりとも」

 リンダが諫める。

「お母さん、サムが変わってない!」
「変わったわよ」
「え? どこが!?」
「顔が優しくなったじゃない」

 母親にそう言われ、サムがキッと目つきを変えたのと、ブレンダがサムを見たのはほぼ同時だった。
 
 微笑ましい兄妹のやりとりに、リジーは口元を綻ばせた。
 傍らに、いつもの気配を感じる。

「兄妹が羨ましい?」
「うん。そうだね。お兄ちゃんてなんだかいいよね」
「きみに望まれても、僕はきみのお兄ちゃんにはなりたくないな」

 耳元にジョンの息がかかり、リジーは動悸がした。

(ジョンをお兄ちゃんなんて、思ったことない……?)


♢♢♢
 

 プレゼントの開封はまだ続いていた。
 ニコラスが、ジョンからのプレゼントのボトルワインの包みを開き、丁寧に持ち上げる。
 ラベルをじっくり眺めると、目を輝かせ、ほおっと息を吐いた。
 その様子を、ジョンとサムは食い入るように見ていた。

「ありがとう、ジョン。なかなか自分じゃこんな上等のワインは買わないからな。嬉しいよ。ボルドーの赤。<シャトー・デュクリュ・ボーカイユ>か。感激だよ」
「喜んでいただけて良かったです。僕はワインのことは詳しくないので、知り合いから勧められた銘柄にしました」
「私も少し嗜む程度で、まったくの初心者だよ」
「サムから、プレゼントにワインを提案されたんです」

「馬鹿、ばらすなよ」

 サムがジョンの背中を小突く。

「サムから?」

 ニコラスの視線をまともに受けたサムが、慌てて目を逸らした。

「いっつも、安っぽいワインをみんなで大事そうに飲んでたからさ、好きなのかと思って」
「ありがとう、サム」
「俺のプレゼントはワインクーラーだけど、ジョンのプレゼントに合わせたわけじゃないからな」
「わかった、わかった」

 ニコラスが目じりを下げ、息子に微笑みかける姿は、ジョンの心も幸せで満たした。


♢♢♢


「お客様のプレゼントは、埋もれないように、こちらに置いたわよ。サムのもこっちにあるから」

 別に敷いた赤いマットのほうにリジーとジョン、サムへのプレゼントが置いてあるようだった。
 リンダが3人を促す。

 リジーは散々迷った結果、ジョンにはリクエストされたいつものクッキーと幾何学模様のシンプルなマグカップ、サムにはガラスに銀色の蔦の装飾があるフォトフレームにした。

「ありがとう、リジー。持ちやすいし、質感が良いね。コーヒーが美味しく飲めそうだ。クッキーも嬉しいよ」

 ジョンがカップを持つと、手に包み込み、嬉しそうにしていた。
 ジョンに喜んでもらえたようで、リジーはホッとした。

「俺にもありがとな、リジー。早速アイリーンと一緒の写真でも撮って飾るかな」

 サムがニタニタする。

「アイリーンて誰?」

 耳ざといヴィクトリアが聞いて来る。

「俺の美人の彼女」

 サムがすました表情で言い切る。

「ま、あんたに彼女ですって? 奇特な子もいたものね~」

「すごく素敵な女性なんですよ」

 リジーがそう言うと、サムは益々にやけた。

「やだ、しまりのない顔しちゃって。突っ張って不機嫌な顔してた頃とはずいぶん違うわね。良い友達と素敵な彼女がいて、多少まともになったのね。姉としても嬉しいわ。ジョン、リジー、これからも馬鹿な弟をよろしくお願いします」
「はい」

 ジョンとリジーはしっかり縦に頷いた。

「馬鹿なって、ふたりともそこは否定無しかよ!」
「馬鹿だろう」ジョンが小さく呟く。
「昨日は褒めてたろ?」
「感謝はしてると言ったが、褒めてはいない」
「これだよ、俺の純粋な心を弄ぶ魔王め、昨夜の感動を返せ!」

「うるさいわよ、サム。さあ、残りのプレゼントもさっさと開けなさいよ!」

 ヴィクトリアの声がふたりのじゃれ合いを遮るように響いた。

「わかったよ」

 サムは姉の言葉に従って、置いてあった小さめの包みを手にした。

「それは、オーナーから、サムとご家族へのプレゼントだ。おまえの家で過ごすと伝えたら、プレゼントにそれを持っていくように言われた」
「え? シンドバッドさんから?」
「そうだ」
 
 サンタクロース一家がみなサムの周りに寄ってきていた。
 その場にいる全員の視線が、サムが手にしているガラスの小物入れに注がれている。
 薄黄緑色をした菱形の切込みのデザインのガラスに、半透明の乳白色の縁取りが見える蓋つきの入れ物だった。

「とても綺麗なガラスのキャンディポットね」

 女性たちの目はそれに釘付けだった。

「これはヴァセリンガラスといって、人体に悪い影響が出ないほどの極わずかのウランを着色材として入れて作ってあるんです。1940年代までは大量に作られていましたが、今はもう僅かしか制作されてはいませんので、昔作られた品は希少価値の高いアンティークとして人気です。見ていてください」

 ジョンは説明を区切ると、小さな懐中電灯をポケットから取り出し、ガラスに光を当てた。
 すると、ガラスがエメラルドのような鮮やかな緑色の色彩を放った。

「!!!」

 その幻想的な美しさに、リビングルームに感嘆の声が上がる。
 リジーも目を見張った。一瞬で心を奪われるほどの美しさだった。

「このライトは紫外線ライトです。着色材のウランが発光しているんです。もちろん自然光でも反応して、その日によって違った神秘的な姿を見ることができます」

 女性たちは丁寧に手渡ししながら、窓にかざしたり、ライトを当てたりして見惚れていた。

「こんな美しい品を私たちに? いただいて良いのかい?」

 我に返ったニコラスが、ジョンにたずねている。

「はい、オーナーのデイビッドからの気持ちです。サムには世話になっていますし、オーナーは僕よりもサムと気が合うようですし」

 リジーはジョンの言葉に思わず噴きそうになり、口を両手でおさえてそのまま小さくなった。
 デイビッドが帰省した時の、テンションの高いふたりの抱擁を思い出してしまったのだ。

「もしかして、シンドバッドさんと俺がラブラブで妬いちゃってる?」

 サムがジョンの肩に手を回し、顔色をうかがった。

「いいや。オレの分まで懐いてもらってありがたい」

 ジョンは澄ました顔で、その手を捻りながら外す。

「痛てて。おまえも少しは甘えてやればいいのに」
「十分甘えている」
「え~? 俺の見てない所でずるい! 俺にも甘えろ」
「は? 何を言ってる!」

 なおも抱きつこうとするサムからジョンは素早く身をかわした。
 身体をかわされよろけたサムの先にリジーがいた。その栗色の頭に、なにか当然のように肘を載せた。
 頭を固定され、じたばたしていたリジーがジョンに助けられるまでほんの数秒。
 ジョンはリジーを自分の背後に隠す。
 今度はサムがジョンに頭を掴まれ、さらに頭頂部をぐりぐりとされる。
 サムは痛がる素振りを見せながらも嬉しそうにへらへら笑っていた。

 サンタクロース一家は、目の前で繰り広げられる寸劇を楽しく観ていた。


♢♢♢


「あ~、お取込み中かと思うが……」

 ニコラスがうまい具合に間に割って入る。
 ジョンはサムを横に放すと、ニコラスに向き直った。

「ジョン、本当に素晴らしいプレゼントをありがとう。それから、サムの事、感謝していると、デイビッドさんにお伝えください」
「はい。オーナーに伝えます」

 ジョンは、ニコラスの心からの感謝の気持ちを受け取った。


『持っている素材に光を当ててやれば、宝石のように輝く。ジョン、店に<ヴァセリンガラス>のキャンディポットがあっただろう? それをサムと彼の家族へ、私からのプレゼントとして渡したいから、用意しておいてくれ』
『はい、シンドバッドさん』

 ジョンはデイビッドのことを思い出し、温かい気持ちになった。

 そして自分のそばに寄り添い、ほんわかとした笑顔で見上げて来るリジーの肩を抱き寄せた。


―――――――――――――――――――――

*ヴァセリンガラスとは:日本ではウランガラス、アメリカではワセリン(有名な薄黄色の軟膏)の色に似ているので、ヴァセリンガラスと呼ばれているそうです。ウィキペディアの記事も参考にさせていただきました。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎ 王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。 ……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。 追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。 無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」 騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る

家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。 しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。 仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。 そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

忘れ去られた婚約者

かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』 甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。 レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。 恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。 サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!? ※他のサイトにも掲載しています。 毎日更新です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

辺境伯夫人は領地を紡ぐ

やまだごんた
恋愛
王命によりヴァルデン辺境伯に嫁ぐことになった、前ベルンシュタイン公爵令嬢のマルグリット。 しかし、彼女を待っていたのは60年にも及ぶ戦争で荒廃し、冬を越す薪すら足りない現実だった。 物資も人手も足りない中、マルグリットは領地の立て直しに乗り出す。 戦しか知らなかったと自省する夫と向き合いながら、少しずつ築かれていく夫婦の距離。 これは、1人の女性が領地を紡ぎ、夫と共に未来を作る「内政×溺愛」の物語です。 全50話の予定です ※表紙はイメージです ※アルファポリス先行公開(なろうにも転載予定です)

処理中です...