80 / 95
クリスマス編
80 虹色のオーラ
しおりを挟む
視点が所々変わります。
―――――――――――――――――――――
リジーはその後、サンタクロース家の3姉妹に誘われ、リビングでお茶とお菓子をごちそうになりながら話をして寛いでいた。
4人だけのお茶会だった。ジョンとサムはニコラスの手伝いに駆り出され、リンダとダイアナも近所のパーティに呼ばれ留守だった。
リビングのテーブルには所狭しとお菓子類が並べられている。
ヴィクトリアは27歳、ブレンダが22歳、ホリーが17歳だった。
ヴィクトリアは隣町で教師をしていて、ブレンダはこの町の病院の看護師、ホリーは高校卒業後は大学に進学を希望しているらしい。
若い娘4人の話題は尽きない。ファッション、化粧品、雑貨、お菓子、インテリア、そして恋愛。
リジーは姉妹がいないので、いたらこんなに楽しいのかとひとりっ子の自分が少し残念な気持ちになった。
「私たち、てっきりリジーがサムのガールフレンドだと思ってたのよ」
ヴィクトリアが、そう言うとクッキーを摘まんだ。
「そうそう、あのサムが女の子を連れて来るって聞いたから」
ブレンダも同調し、チョコレートバーをかじった。
「サムからは、妹みたいな扱いをされてると思います」
「そうなの?」
「でも、見た感じ、リジーには明らかに優しいよね」
「それは、ジョンがいるから……でしょうか」
「そうね、サムはジョンにはなぜか従順よね。何か弱みでも握られてるのかな」
「さ、さあ?」
「魔王って呼んでるし、やたらと怖がってるよね」
「ふりをしてふざけてるだけで、本当に怖がってはいないと思います。ふたりは仲が良いし、お互い信頼し合ってます」
「うん、それはわかるよ」
「リジーはジョンとはどういう風に知り合って、恋人になったの?」
棒つきキャンディを口にくわえたホリーに突然話をふられ、リジーは慌てた。
自然と頬が熱くなる。
(どんなふうに話せばいいの?)
「え~っと、私がジョンのお店の上の部屋に引っ越したのが出会いです。彼の部屋も向かいでした。元々私の母とジョンが知り合いで、母から私の面倒を見て欲しいと頼まれていたから、彼は最初から親切でした。いつも優しくて、助けてくれて、それで私、好きになってしまいました……」
恥ずかしくなって、声も尻すぼみになり、俯く。
「そうかあ、それは、好きになっちゃうよね」
ホリーは口から出したキャンディをまたぺろりと舐める。
「いいなあ、好きな人と同じところに住んでるの? ほぼ同棲だね」
ブレンダがズバッと口にする
「ち、違います! 同じアパートメントだけど、一緒の部屋じゃないですし」
「時間の問題だよね」
「……」
リジーは何も言えなくなった。
ホリーも気まずい顔をし、ヴィクトリアが目でブレンダを制している。
「で、ジョンもリジーが好きになったんだ。どんな風に告白されたの?」
それでもホリーが熱心に聞いて来る。
リジーは、恥ずかしさで頭の中が茹ってくるのを感じた。
「こ、告白? え、ど、ど、んなだったかなんて……」
リジーは思い巡らして、さらに動揺した。
「て、て、停電があって、それでお互い好きだって告白して、あ~だめ! 色々ありすぎて、うまく説明できない!!」
リジーの頭は早くも沸騰してパンクした。
そしてとうとう頭を抱えてうずくまった。
♢♢♢
3姉妹は、パニックになったリジーの姿に妙に納得していた。
あのミステリアスな魅力を持つジョンにせまられたら、平静ではいられないだろう。
自分たちだっておそらく……。別な意味でも彼は魔王っぽい。
♢♢♢
「わかった、リジー。じゃあ、ジョンはリジーのどんなところが好きって言ってくれてるの?」
ホリーが凝りもせず続ける。
「え?」
(そういえば、聞いたことが無い。聞くことじゃないけど。いったいこんな私のどこが好き? なんだろう)
「私はいつもうっかりでそそっかしくて、何かやらかして迷惑かけるしかしてなかったのに……それが引き寄せられる甘い蜜って……何なんでしょうか?」
♢♢♢
動揺してうろたえる様子のリジーに、3人は顔を見合わせた。
その中で、ヴィクトリアはすぐに温かい笑顔になった。
「素敵だわ。ジョンはきっとあなた自身が大好きなのね。あなたのどこがじゃなくて、どんなあなたでも好きで受け入れてるのよ。羨ましい……。何も不安なことないわね。そのままの自分で良いんだもの。すでに夫婦の域に達してるみたい。運命の相手なのね」
「ヴィクトリアさん……」
リジーはほっとして落ち着いたようだ。
さすが教師、うまくまとめた、とブレンダとホリーは感心した。
「私、リジーのほんわかした温かい雰囲気が好きよ。一緒にいても気をつかわないし癒される感じで」
ブレンダもフォローした。
「リジーがサムの恋人だったら良かったのに。そしたら、年も近いし、お友達みたいに楽しかったかも」
ホリーも身を乗り出す。
「ありがとう」
リジーはすっかりもとの状態に戻ったようだった。
♢♢♢
「そういえば、サムのガールフレンドって、どんな人? リジーは知ってるの?」
ヴィクトリアが笑顔のまま聞いてくる。
「はい、アイリーンさんはブルネットの髪に緑の瞳で、すごく美しい人です。勇敢でキリッとしてて、でもお話しすると優しくて、サムと一緒だとなんだか無理に気を張ってる感じがするけど、すごく楽しそう。サムはデレッとしてるかも」
「サムがデレっと?」
「そうです、ふたりでいる雰囲気がすごく良い感じなんです。美男美女でお似合いですし」
リジーはうまく言い表せない自分がもどかしかった。
「イメージ湧かない」とヴィクトリア。
「あのサムがデレねえ」
ブレンダも首をかしげている。
感じてはいたが、サムは家族に対しては相当冷めた態度のようだ。
「あ~あ、みんないいな。特定の人がいて、幸せで。ヴィクトリアもブレンダもボーイフレンドと順調でしょ?」
ホリーがボソッと呟いた。
「私も努力して自分を磨いてるのに、素敵な人と出会いすらない。どうしてなの?」
「あなた、まだ高校生だし、慌てなくても大丈夫よ。好きな人だってまだいないんでしょ?」
「だって、同級生の男子は身体は大きいくせにみんな子供っぽくて、年下みたいな感じで好きになる要素ない」
「まずは、好きな人から見つけることね」
ヴィクトリアが諭す。
「うん……」
ヴィクトリアが肩を抱くと、ホリーは頭を姉に寄せた。
努力……自分は何もしていない。何もしていないのに、ジョンは自分のことを好きになってくれた。
自分は彼に相応しいのだろうか。
(隣にいていいの? 本当に?)
リジーは胸のペンダントに手を当てた。
♢♢♢
リジーがまた深刻そうなムードを作り始めたので、3姉妹は目配せした。
「先生、ほら」
ブレンダがヴィクトリアを見る。
ヴィクトリアが重い口を開こうとしたとき、玄関ドアの外が急に騒がしくなった。
「帰ったぞ!」
ドアのノックと共に、ニコラスの威厳のある声が響いた。
「あ、良い所に……」
ホリーがドアを開けると、ニコラスとサム、ジョン、リンダとダイアナもいた。
「お帰りなさい、お父さん。みんな一緒だったのね」
「ただいま、ホリー。そこで会ってな。お、皆でおしゃべり会か? 楽しそうだったな」
中に入って来たニコラスは、リビングの華やかな様子に笑みを浮かべた。
♢♢♢
「お帰りなさい。お疲れさまでした」
ソファに座っていたリジーは立ち上がった。
サムとリンダも入って来る。
ダイアナは満面の笑みでジョンの左腕に縋り付いていた。
「うまそうなのを自分たちだけでこっそり食べやがって」
サムが並べてあったマフィンをひょいとつまみ食いする。
「こら! サム! 行儀が悪いわよ!」
ヴィクトリアは、すかさずサムを注意した。
「こっちは肉体労働だったんで、腹ペコなんだよ!」
マフィンは既にサムの口の中に消えていた。
「リジーちゃん、ごめんね。ちょっと魔王さんをお借りしてましたよ」
ダイアナは上機嫌のようで、声が弾んでいた。
「い、いえ……どうぞ」
(どうぞって、おかしいか……)
リジーは思わず口にしてから、自分でくすっと笑う。
ダイアナはジョンをリジーの傍まで連れて来ると、腕を離して、自分はソファに腰かけた。
ジョンと目が合う。ダイアナに優しくするジョンは嫌いじゃない。
年配の女性を気遣う態度は、むしろ好ましいと思っている。
「お帰りなさい」
「ただいま。リジー」
ジョンが目を細め、自然に右手を伸ばしリジーの頬に触れようとして、引っ込めた。
「?」
「こっちの手は冷たいのを忘れてた」
ジョンがそう言うので、リジーはジョンの手を触ってみた。
「ほんとだ、冷えてる。温めてあげる」
リジーはジョンの手を温めようと両手で握り締める。
そして、ジョンのひんやりしている指先に口付けると、自分の頬へいざなった。
「きみが冷たいだろう……」
ジョンが戸惑って離そうとした手を、リジーはギュッと握りなおした。
「気持ち良いからこのまま」
「……リジー?」
「みんなでたくさんお話してたの。楽しかったよ!」
「良かった」
「うん」
リジーはジョンを幸せにしようと改めて強く決意した。
ジョンのそばにいて、ジョンが望む幸せを一緒に掴む。
努力ももちろんする。色々毎回落ち込んでいても始まらない。
ジョンは自分を望んでくれたのだから。それに全力で応えよう。全力で愛する。
(それが私にできること)
♢♢♢
サンタクロース一家は、リジーとジョンのまわりに虹色のオーラが現れたように錯覚した。
ふたりの醸し出す別世界に引き込まれる。
「このふたりはレアなパターンよ。参考にならないかも」
ヴィクトリアはホリーにこそっと耳打ちした。
「そんな気がする……」
ホリーも遠い目をした。
「おい、そこ! 目の毒だから、それ以上ここで幸せオーラを出すな!」
と、サムがふたりに向かって別の毒を吐いた。
―――――――――――――――――――――
リジーはその後、サンタクロース家の3姉妹に誘われ、リビングでお茶とお菓子をごちそうになりながら話をして寛いでいた。
4人だけのお茶会だった。ジョンとサムはニコラスの手伝いに駆り出され、リンダとダイアナも近所のパーティに呼ばれ留守だった。
リビングのテーブルには所狭しとお菓子類が並べられている。
ヴィクトリアは27歳、ブレンダが22歳、ホリーが17歳だった。
ヴィクトリアは隣町で教師をしていて、ブレンダはこの町の病院の看護師、ホリーは高校卒業後は大学に進学を希望しているらしい。
若い娘4人の話題は尽きない。ファッション、化粧品、雑貨、お菓子、インテリア、そして恋愛。
リジーは姉妹がいないので、いたらこんなに楽しいのかとひとりっ子の自分が少し残念な気持ちになった。
「私たち、てっきりリジーがサムのガールフレンドだと思ってたのよ」
ヴィクトリアが、そう言うとクッキーを摘まんだ。
「そうそう、あのサムが女の子を連れて来るって聞いたから」
ブレンダも同調し、チョコレートバーをかじった。
「サムからは、妹みたいな扱いをされてると思います」
「そうなの?」
「でも、見た感じ、リジーには明らかに優しいよね」
「それは、ジョンがいるから……でしょうか」
「そうね、サムはジョンにはなぜか従順よね。何か弱みでも握られてるのかな」
「さ、さあ?」
「魔王って呼んでるし、やたらと怖がってるよね」
「ふりをしてふざけてるだけで、本当に怖がってはいないと思います。ふたりは仲が良いし、お互い信頼し合ってます」
「うん、それはわかるよ」
「リジーはジョンとはどういう風に知り合って、恋人になったの?」
棒つきキャンディを口にくわえたホリーに突然話をふられ、リジーは慌てた。
自然と頬が熱くなる。
(どんなふうに話せばいいの?)
「え~っと、私がジョンのお店の上の部屋に引っ越したのが出会いです。彼の部屋も向かいでした。元々私の母とジョンが知り合いで、母から私の面倒を見て欲しいと頼まれていたから、彼は最初から親切でした。いつも優しくて、助けてくれて、それで私、好きになってしまいました……」
恥ずかしくなって、声も尻すぼみになり、俯く。
「そうかあ、それは、好きになっちゃうよね」
ホリーは口から出したキャンディをまたぺろりと舐める。
「いいなあ、好きな人と同じところに住んでるの? ほぼ同棲だね」
ブレンダがズバッと口にする
「ち、違います! 同じアパートメントだけど、一緒の部屋じゃないですし」
「時間の問題だよね」
「……」
リジーは何も言えなくなった。
ホリーも気まずい顔をし、ヴィクトリアが目でブレンダを制している。
「で、ジョンもリジーが好きになったんだ。どんな風に告白されたの?」
それでもホリーが熱心に聞いて来る。
リジーは、恥ずかしさで頭の中が茹ってくるのを感じた。
「こ、告白? え、ど、ど、んなだったかなんて……」
リジーは思い巡らして、さらに動揺した。
「て、て、停電があって、それでお互い好きだって告白して、あ~だめ! 色々ありすぎて、うまく説明できない!!」
リジーの頭は早くも沸騰してパンクした。
そしてとうとう頭を抱えてうずくまった。
♢♢♢
3姉妹は、パニックになったリジーの姿に妙に納得していた。
あのミステリアスな魅力を持つジョンにせまられたら、平静ではいられないだろう。
自分たちだっておそらく……。別な意味でも彼は魔王っぽい。
♢♢♢
「わかった、リジー。じゃあ、ジョンはリジーのどんなところが好きって言ってくれてるの?」
ホリーが凝りもせず続ける。
「え?」
(そういえば、聞いたことが無い。聞くことじゃないけど。いったいこんな私のどこが好き? なんだろう)
「私はいつもうっかりでそそっかしくて、何かやらかして迷惑かけるしかしてなかったのに……それが引き寄せられる甘い蜜って……何なんでしょうか?」
♢♢♢
動揺してうろたえる様子のリジーに、3人は顔を見合わせた。
その中で、ヴィクトリアはすぐに温かい笑顔になった。
「素敵だわ。ジョンはきっとあなた自身が大好きなのね。あなたのどこがじゃなくて、どんなあなたでも好きで受け入れてるのよ。羨ましい……。何も不安なことないわね。そのままの自分で良いんだもの。すでに夫婦の域に達してるみたい。運命の相手なのね」
「ヴィクトリアさん……」
リジーはほっとして落ち着いたようだ。
さすが教師、うまくまとめた、とブレンダとホリーは感心した。
「私、リジーのほんわかした温かい雰囲気が好きよ。一緒にいても気をつかわないし癒される感じで」
ブレンダもフォローした。
「リジーがサムの恋人だったら良かったのに。そしたら、年も近いし、お友達みたいに楽しかったかも」
ホリーも身を乗り出す。
「ありがとう」
リジーはすっかりもとの状態に戻ったようだった。
♢♢♢
「そういえば、サムのガールフレンドって、どんな人? リジーは知ってるの?」
ヴィクトリアが笑顔のまま聞いてくる。
「はい、アイリーンさんはブルネットの髪に緑の瞳で、すごく美しい人です。勇敢でキリッとしてて、でもお話しすると優しくて、サムと一緒だとなんだか無理に気を張ってる感じがするけど、すごく楽しそう。サムはデレッとしてるかも」
「サムがデレっと?」
「そうです、ふたりでいる雰囲気がすごく良い感じなんです。美男美女でお似合いですし」
リジーはうまく言い表せない自分がもどかしかった。
「イメージ湧かない」とヴィクトリア。
「あのサムがデレねえ」
ブレンダも首をかしげている。
感じてはいたが、サムは家族に対しては相当冷めた態度のようだ。
「あ~あ、みんないいな。特定の人がいて、幸せで。ヴィクトリアもブレンダもボーイフレンドと順調でしょ?」
ホリーがボソッと呟いた。
「私も努力して自分を磨いてるのに、素敵な人と出会いすらない。どうしてなの?」
「あなた、まだ高校生だし、慌てなくても大丈夫よ。好きな人だってまだいないんでしょ?」
「だって、同級生の男子は身体は大きいくせにみんな子供っぽくて、年下みたいな感じで好きになる要素ない」
「まずは、好きな人から見つけることね」
ヴィクトリアが諭す。
「うん……」
ヴィクトリアが肩を抱くと、ホリーは頭を姉に寄せた。
努力……自分は何もしていない。何もしていないのに、ジョンは自分のことを好きになってくれた。
自分は彼に相応しいのだろうか。
(隣にいていいの? 本当に?)
リジーは胸のペンダントに手を当てた。
♢♢♢
リジーがまた深刻そうなムードを作り始めたので、3姉妹は目配せした。
「先生、ほら」
ブレンダがヴィクトリアを見る。
ヴィクトリアが重い口を開こうとしたとき、玄関ドアの外が急に騒がしくなった。
「帰ったぞ!」
ドアのノックと共に、ニコラスの威厳のある声が響いた。
「あ、良い所に……」
ホリーがドアを開けると、ニコラスとサム、ジョン、リンダとダイアナもいた。
「お帰りなさい、お父さん。みんな一緒だったのね」
「ただいま、ホリー。そこで会ってな。お、皆でおしゃべり会か? 楽しそうだったな」
中に入って来たニコラスは、リビングの華やかな様子に笑みを浮かべた。
♢♢♢
「お帰りなさい。お疲れさまでした」
ソファに座っていたリジーは立ち上がった。
サムとリンダも入って来る。
ダイアナは満面の笑みでジョンの左腕に縋り付いていた。
「うまそうなのを自分たちだけでこっそり食べやがって」
サムが並べてあったマフィンをひょいとつまみ食いする。
「こら! サム! 行儀が悪いわよ!」
ヴィクトリアは、すかさずサムを注意した。
「こっちは肉体労働だったんで、腹ペコなんだよ!」
マフィンは既にサムの口の中に消えていた。
「リジーちゃん、ごめんね。ちょっと魔王さんをお借りしてましたよ」
ダイアナは上機嫌のようで、声が弾んでいた。
「い、いえ……どうぞ」
(どうぞって、おかしいか……)
リジーは思わず口にしてから、自分でくすっと笑う。
ダイアナはジョンをリジーの傍まで連れて来ると、腕を離して、自分はソファに腰かけた。
ジョンと目が合う。ダイアナに優しくするジョンは嫌いじゃない。
年配の女性を気遣う態度は、むしろ好ましいと思っている。
「お帰りなさい」
「ただいま。リジー」
ジョンが目を細め、自然に右手を伸ばしリジーの頬に触れようとして、引っ込めた。
「?」
「こっちの手は冷たいのを忘れてた」
ジョンがそう言うので、リジーはジョンの手を触ってみた。
「ほんとだ、冷えてる。温めてあげる」
リジーはジョンの手を温めようと両手で握り締める。
そして、ジョンのひんやりしている指先に口付けると、自分の頬へいざなった。
「きみが冷たいだろう……」
ジョンが戸惑って離そうとした手を、リジーはギュッと握りなおした。
「気持ち良いからこのまま」
「……リジー?」
「みんなでたくさんお話してたの。楽しかったよ!」
「良かった」
「うん」
リジーはジョンを幸せにしようと改めて強く決意した。
ジョンのそばにいて、ジョンが望む幸せを一緒に掴む。
努力ももちろんする。色々毎回落ち込んでいても始まらない。
ジョンは自分を望んでくれたのだから。それに全力で応えよう。全力で愛する。
(それが私にできること)
♢♢♢
サンタクロース一家は、リジーとジョンのまわりに虹色のオーラが現れたように錯覚した。
ふたりの醸し出す別世界に引き込まれる。
「このふたりはレアなパターンよ。参考にならないかも」
ヴィクトリアはホリーにこそっと耳打ちした。
「そんな気がする……」
ホリーも遠い目をした。
「おい、そこ! 目の毒だから、それ以上ここで幸せオーラを出すな!」
と、サムがふたりに向かって別の毒を吐いた。
0
あなたにおすすめの小説
辺境伯夫人は領地を紡ぐ
やまだごんた
恋愛
王命によりヴァルデン辺境伯に嫁ぐことになった、前ベルンシュタイン公爵令嬢のマルグリット。
しかし、彼女を待っていたのは60年にも及ぶ戦争で荒廃し、冬を越す薪すら足りない現実だった。
物資も人手も足りない中、マルグリットは領地の立て直しに乗り出す。
戦しか知らなかったと自省する夫と向き合いながら、少しずつ築かれていく夫婦の距離。
これは、1人の女性が領地を紡ぎ、夫と共に未来を作る「内政×溺愛」の物語です。
全50話の予定です
※表紙はイメージです
※アルファポリス先行公開(なろうにも転載予定です)
10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
専業プウタ
恋愛
25歳の桜田未来は中学生から10年以上引きこもりだったが、2人暮らしの母親の死により外に出なくてはならなくなる。城ヶ崎冬馬は女遊びの激しい大手アパレルブランドの副社長。彼をストーカーから身を張って助けた事で未来は一時的に記憶喪失に陥る。冬馬はちょっとした興味から、未来は自分の恋人だったと偽る。冬馬は未来の純粋さと直向きさに惹かれていき、嘘が明らかになる日を恐れながらも未来の為に自分を変えていく。そして、未来は恐れもなくし、愛する人の胸に飛び込み夢を叶える扉を自ら開くのだった。
天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎
ギルドで働くおっとり回復役リィナは、
自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。
……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!?
「転ばないで」
「可愛いって言うのは僕の役目」
「固定回復役だから。僕の」
優しいのに過保護。
仲間のはずなのに距離が近い。
しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。
鈍感で頑張り屋なリィナと、
策を捨てるほど恋に負けていくカイの、
コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕!
「遅いままでいい――置いていかないから。」
恋と首輪
山猫
恋愛
日本屈指の名門・城聖高校には、生徒たちが逆らえない“首輪制度”が存在する。
絶対的支配者・東雲財閥の御曹司、東雲 蓮の「選んだ者」は、卒業まで彼の命令に従わなければならない――。
地味で目立たぬ存在だった月宮みゆは、なぜかその“首輪”に選ばれてしまう。
冷酷非情と思っていた蓮の、誰にも見せない孤独と優しさに触れた時、みゆの心は静かに揺れはじめる。
「おめでとう、今日から君は俺の所有物だ。」
イケメン財閥御曹司
東雲 蓮
×
「私はあなたが嫌いです。」
訳あり平凡女子
月宮 みゆ
愛とか恋なんて馬鹿らしい。 愚かな感情だ。
訳ありのふたりが、偽りだらけの学園で紡ぐカーストラブ。
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
死んでるはずの私が溺愛され、いつの間にか救国して、聖女をざまぁしてました。
みゅー
恋愛
異世界へ転生していると気づいたアザレアは、このままだと自分が死んでしまう運命だと知った。
同時にチート能力に目覚めたアザレアは、自身の死を回避するために奮闘していた。するとなぜか自分に興味なさそうだった王太子殿下に溺愛され、聖女をざまぁし、チート能力で世界を救うことになり、国民に愛される存在となっていた。
そんなお話です。
以前書いたものを大幅改稿したものです。
フランツファンだった方、フランツフラグはへし折られています。申し訳ありません。
六十話程度あるので改稿しつつできれば一日二話ずつ投稿しようと思います。
また、他シリーズのサイデューム王国とは別次元のお話です。
丹家栞奈は『モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します』に出てくる人物と同一人物です。
写真の花はリアトリスです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる