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アップデート
「母には侯爵夫人の座は重かったんだ。父も母も政略結婚だと割り切っていたけど、父は人が良すぎたのと騙されたのと、自業自得でいろいろあったけれどその結果命を落とした。父は侯爵家の当主に向いていなかった。現に父を当主の座から降ろせと一族会議でも議題に上がっていましたからね。叔父上叔母上がいなかったらとっくに侯爵家は傾いていたでしょう」
フェルマンはお父様が亡くなった事をどう受け止めたんだろう。侯爵家から出されて再婚相手の家に行くことになったフェルマン様はこの家の被害者なのかもしれない。
「俺からみた伯父上は優しくて、助けを求める者には手を貸す。フェルマンと遊んでいる姿を見ると愛情を注いでいるように見えた」
「父のことは嫌いではなかったが当主の器ではなかった。俺はお前のことが羨ましかった。だからついこの前までの姿は面白かったぞ。今はエマちゃんがいるから、あぁはならんだろ。さてどうするんだい? このお二方に言いたい放題言われて黙っているなんて出来んだろう。決着つけようか」
フェルマン様の言葉で、侯爵家はお二方の家を切り捨てる事にした。お二方の家は領民に重い税金を課していたり、侯爵家の名前を使って借金を繰り返すなどお金関係のトラブルが絶えない。それでもって一族会議を欠席したり問題が多々ある中で一族の中から簡単に操れそうな女性をエルマンに嫁がせようとしていたのだ。その証拠を出されて2人は膝をつき、肩を落としがっかりとしていた。罪を認めて一からやり直してほしかったようで泳がせていたけれど、今回好き勝手言いたい放題のお二方の家にはペナルティーを科すことにした。
①一族から抜け自分たちの力で再建する。
②当主交代の上領地に侯爵家の人を常駐させ経営に携わる。
③爵位を返上し家族もろとも平民になる。
「古い考え方が悪いとは言っていないけれど、それに頼り変えないままだと新しい事にチャレンジができない。エルマンが自堕落な生活を送り領民に迷惑をかけるようなことがあれば、親として切り捨てる覚悟だ。それを自分で理解するためにフェルマンとの事も目を瞑っていたが、二度とあのような事はしないように! フェルマン! お前も反省しろ」
「はい、悪ふざけがすぎました」
侯爵様それはもっと早めに注意をするべきだったと思います。などと言えるわけなく、ただただ私は見ていた。結局②を選んだお二方で侯爵様は一族会議を開催し、今後の方針を決めるとのことだった。初日から侯爵家の洗礼を受けてしまった私は呆然としてしまった。侯爵家に嫁ぐとは生半可な気持ちじゃダメなんだわ。と思い至りいまさら断れないよな……なんてことをこれから何度も葛藤をするのだった。
「エマちゃんごめんなさいね。初日から汚いところを見せてしまって。でもね、いい人達なのよ! こんなのは一部の人だけだからね」
夫人それはフォローなのでしょうか? お金や地位が絡んでくると親戚が急に増えたりするから、一族の末端的な人達も侯爵家がついている! となると気が大きくなるのかもしれない。今の世界では単なる16歳で現世では中流家庭育ちだったから、ついていけない事も多そうだ。
「エルマンお前がしっかりとしないとエマさんに迷惑がかかるんだからな! フェルマンも頼むぞ。お前達は早々に仲直りするように!」
侯爵様に言われエルマンとフェルマンはお互い居心地が悪そうにしていた。
「喧嘩をしていたわけじゃありませんよ。ただフェルマンの顔を見ると自己嫌悪に陥ってしまうだけです」
「まぁ俺もそのようなものだなけど。俺らも大人にならないとな」
「エマちゃん、今日はごめんなさいね。私達はこの後やらなきゃいけないことができたから今日はエルマンとフェルマンのお茶の相手をしてあげてくれる?」
「あ、はい」
3人でお茶をする事になった。気まずいなぁ。
「フェルマン、すまなかったな」
「いや、俺も悪かった。なんだろな、バカだったよな」
「まぁ、そうだな。自分が置かれている立場を考えると甘えてたんだな」
「なんでも許されたしな。それに女の子達の本性が分かってげんなりしたよな」
「女性不信になりかけたところにエマと出会えてよかった」
「惚気だな。俺もエマちゃんがよかった」
「それは勘弁だ。エマを譲る気はない。フェルマンも認めた女性だろう?」
「そうだな、仲良くしろよ?」
なんだ。心配して損した。普通に落ち着いて話をしている。放っておいても大丈夫だろう。と思い、出されたチョコを摘んだ。これはブランデーが入っているチョコ! パキッとチョコが割れてとろりとリキュールが溢れてきたではないですか! これは美味しい。もう一つ、二つと口に入れる。チョコとブランデーってなんでこんなに合うの? はぁ。幸せ~。
「エマ、それ気に入ったのか?」
「うん。あれフェルマン様は?」
「父上と話をしに行った」
いつの間に!
「エルマンも食べる?」
チョコを一つ手に取るとそのまま口に入れた! ちょっと! 手まで舐めないで!
「ブランデーが入ってるのか」
「うん、美味しいね!」
「エマ、今日はすまなかったな。居心地悪かっただろ」
「あー、うん、まー、そうだねー。でもエルマンかっこよかったよ。ビシッと発言してたし、侯爵家の一員になるって大変な事なんだって洗礼を受けた感じかな?」
「母上は一族の中から嫁いだわけではないけど、お祖父様は古い考えは捨て新しい風を吹き込みたかったようだよ? エマとの事も了承すみだから今度こそお祖父様とあって欲しい」
「お祖父様は頭が柔らかい方なんだね! 私のいた世界ではアップデートって言うんだよ。スマホでいうところの新しい機能を追加したり、最新の状態にする事を言うの。不具合があってもすぐに対応できちゃうんだよ」
「アップデートか。良い言葉だな。俺もアップデートしていかなきゃな」
エルマンのなんでも受け入れれるところは頭が柔らかくお祖父様似なのかもしれない。今日の夜遅くに更にアップデートされてエルマンが最新の状態になったりするのかな。
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