私は幼い頃に死んだと思われていた侯爵令嬢でした

さこの

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結婚して!

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 稽古の後は一旦汗をひかせて朝食となった。朝からシェフが張り切った様子で沢山の種類が並べられていた。

「卿が何を好きか分からなかったもので沢山用意してしまいました。侍従の方達もよろしかったどうぞ」

 朝食ルームにリアンとその侍従たちも共に来た。

「侯爵、お言葉に甘えて私の侍従も連れてきました。ありがとうございます」


 早速席に座ろうとするリアン。

「なんで? マリアの隣じゃないの?」

「卿はお客さまなんだよ? マリーは侯爵家の一員なんだから僕の隣に座っていてくれる?」

 唇を尖らすマリアベルにヴェルナーが言う。

「……せっかくリアンさんがいるのに」

 睨むような目つきでヴェルナーを見ると

「そうか……マリーはそんなに謹慎したいのか。残念だね父上には僕から言っておくよ」


 にこりと笑みを浮かべるヴェルナーだが目は笑ってない。あ……これ、本気のやつだ! 察したマリアベルは大人しくヴェルナーの横に座った。

 ちぇっ。

 食事が始まりパパとママは楽しそうにリアンさんと話をしているので、その様子をみていると不思議な感じがした。

 リアンさんをお母さんと呼んでいて二人っきりの家族だったのに、本当の家族がいてあの時は連れ戻された。

 そして今はリアンさんに会いたいと思いながらも、何不自由なく暮らしている。

 でもやっぱりリアンさんが恋しかったり……我儘なのかぁ。


「どうしたマリー? 大人しいな」

 パパに声をかけられた。考え事をしていたのがバレたかな。


「え? えっと……そうだ! リアンさんと乗馬したいって思って」

 デビュタントは長期休暇の時に行われたから学園は休み。リアンさんは会談があるみたいで仕事もしなきゃならないみたいだけど滞在期間も含めて少しは私との時間もあるよね?


「卿の迷惑にならないようにしなさい。食後のお茶の時にでも話をしたら良い。いいか? 大事なお客様なんだから」

 迷惑をかけるなって言われても……


「侯爵殿、お気遣いは有難いがどうか気になさらずに……」

 やっぱり迷惑じゃないんだ! ぱぁっーと顔が明るくなるのが自分でも分かる。
 でもパパがそれを察したようで……

「昨晩のことはヴェルナーから聞いた。これが迷惑とは言わずに何と言って表現すればいいのかパパは分からない」

 ? 昨晩? 首を傾げるマリアベル。

「なんかあったっけ?」

「…………」


 無言のリアン。


「……こほん。マリー後でお話ししましょうか。それと卿はお仕事もあるからずっとマリーと居られる訳ではないのよ? その辺は理解してるわね?」

 ママに言われて頷く。リアンさんは大公家の嫡男だって昨日聞いた。伯父さんの公爵家より上で準王族みたいな感じなんだって! 

「うん。空いた時間でいいから一緒に過ごしてくれる? リアンさん」

「あぁ、もちろんだよ」

 準王族って聞くと偉そうな感じがするけれど、リアンさんは変わらないと思ったら安心した。

 朝食が終わってお茶をして、その後はリアンさんと乗馬をすることになった。

 ******


「……なんで手を繋いだらダメなの?」

 プクッと頬を膨らませる。ダメダメばっかり。聞き飽きちゃったよ。


「マリアがもう大人だからだよ。そろそろ婚約者とかいてもおかしくないだろう? そんな話にならないのか?」

 婚約者? パパとママは無理して結婚しなくていいって言ってたよね? それに結婚は好きな人とするってママ言ってたし。

「……ならないよ。結婚は好きな人とするんでしょう? それならリアンさんがマリアと結婚してくれる?」

 そうだ! リアンさんがマリアと結婚してくれれば良いんだっ!

「……しない」

 なんでため息つくの! いい考えなのに!


「もしかしてリアンさんって……既婚者だったの? だから手を繋げないの?」

 それなら残念だけどリアンさんは大人だし……しゅんと落ち込んだ。リアンさんは大人で私はようやく大人の仲間入りをしたところだった。

「いや、結婚はしてないし婚約者もいない。マリアのことを思って言っている。年相応な人と将来を考えなきゃダメだろう?」

 年相応な人? 変なの……

「リアンさんは年相応な相手の人と結婚するの?」

「……いや、多分……しないと思うけど」

「なんで?」


「仕事や自分のことに夢中になっていたらこの歳になってしまって……婚期を逃した……と思う」

「それならマリアと結婚しよ!」

 腕を掴んで上目遣いでリアンをじぃーっと見つめると目を逸らされてしまった。

「……きっとこれからマリアには求婚してくる相手が沢山いる。俺みたいなおっさんと居てもつまらないだろ? マリアは久しぶりに俺に会えてはしゃいでいるだけだよ。ほら行くぞ」

 立ち止まっていたから、私たちの後ろは詰まっている。リアンさんの従者さんやメイドたち。


 手を繋いじゃダメって言われたから腕を組んだ。リアンさんは離そうとしたけれど頑として離さなかった。

 
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