初恋は苦い思い出。でも、出会うべく人と出会いました。

さこの

文字の大きさ
41 / 61

ジルベルト

しおりを挟む
 ~ジルベルト視点~

「ジルベルト様、たくさんプレゼントをしてくれてありがとうございます。でもこんなに良いの? まだ正式に婚約もしてないんだよ」

 オフィーリアが喜んでくれるのならどれだけでも! と言いたいが予算はある。父は婚約者となる子に初めてプレゼントする物に値段は関係ない。気に入ったものをプレゼントしてあげなさい。と言ってくれた。そして予算内に収まってしまった……僕もそうだけどオフィーリアはゴテゴテしたものは苦手だ。そういうところも好ましい。

「僕がプレゼントした物をオフィーリアが身につけてくれるのは嬉しいよ。それにこの首飾りもつけてくれるんだろう? 誕生日にお古というのはどうかとも思ったんだが……」
「嬉しいよ! お母様の……形見なんでしょう? それを私にくれるって事は認められている感じがします。それにデザインもステキだし大事にするね」

 オフィーリアは笑顔で言ってくれたのが嬉しい。町娘姿のオフィーリアも可愛かったけれどドレスで着飾ったオフィーリアも可愛いんだろうな……母にも会わせてあげたかった。僕の好きなオフィーリアだよ。って紹介すれば喜んでくれただろう。

「早く来月にならないかな……そうしたらオフィーリアが正式に婚約者だと周りに周知されるのにな」
「うん。皆に認められるように頑張る。そして来年はAクラスになって一緒にいられたらいいな」

「大丈夫だよ。ルシアンが付いているし、オフィーリアはちゃんと理解しているからすぐに成績が上がるはずだ」

「だと良いけれど。これで成績が上がれば先生クビになっちゃうかも?」

 冗談混じりにオフィーリアは言った。

「クビにはならないと思うよ」

 土壌改革などカルメル領で忙しく過ごしていると聞いている。


 そして週が明け学園に行く。


「ジルベルト・ロワール話がある。ついて来い!」

 朝っぱらから何だよ……

『我々は入学当時からオフィーリア・カルメル嬢に好意を持っている。我々は話し合いの結果、抜け駆けなしでオフィーリア嬢を見守ってきた。なのに君はオフィーリア嬢にちょっかいをかけている。ルール違反をしているんだ、分かるか?』

 以前こんなことを言われた子息達か……

「こんな所に連れてきて一体何の用事?」

 裏庭に連れてこられた。朝から裏庭に生徒は来ない為人目につかない場所だ。

「君には先日注意したはずだ! オフィーリア・カルメル嬢にちょっかいをかける事は禁ずると! フェロウズ公爵令嬢と親しくしているからといって、休日にオフィーリア・カルメル嬢を独占するとは何事か!」

 買い物を見られていたのか。別に良いけど。隠すつもりもない。あれはデートだ。


「聞く所によるとドレス店や宝飾品店へ行きオフィーリア嬢を物で釣っていると、」
「はぁ? オフィーリアは物で釣られるような令嬢ではない! オフィーリアを侮辱するのは許さない」

 聞き捨てならない! オフィーリアは物をねだった事なんて今まで一度もない!(サツマイモは別だ)逆に買い与えたいくらいだ!

「それに僕は君たちの言う“抜け駆け禁止”という意味のわからない条約に了承したつもりはない。好意を持っているなら正々堂々と戦うがいい! 言っておくけれど僕はオフィーリアが大好きだし本人にも伝えてある」

「何だって!」

「君たちも釣書を送ったりしたのだろう? それで断られたのなら諦めれば良いものを団体で見守るだなんて気色の悪い……話が以上ならここで失礼する」

 待てだの、話の途中だのと言っているが放っておこう。そんな事をぬかしても来月には諦めるだろう……婚約者同士の間に割って入るのは御法度だし、的外れな婚約破棄にもペナルティがついて回る。

 僕は正直言ってラッキーだ。フローリア嬢のおかげで知り合いになれてルシアンも協力してくれた。サツマイモを我が領地で育てていたというのも大きな幸運に繋がった。オフィーリアと気持ちが通じたのだから僕は何が何でもオフィーリアを幸せにすると決めた。

 校舎に向かっているとオフィーリアが登校してきたようで声をかけられた。

 
「ジルベルト様! おはよう。良い天気だね」
「おはよう。オフィーリア一人?」
「うん」
「教室まで送るよ」

 オフィーリアのカバンを奪い自分のものと二つ持つ。

「今日は教科書が多くて重いよ、自分で持つからいいよ!」
「これくらい大した事ない。僕は意外と力持ちなんだよ」

 何気ない会話をしてオフィーリアを教室まで送った。また昼に迎えにくる。と伝えて。この時にかなり人に見られていたんだが、オフィーリアには気にしないでおこう。と言った。

 あまりにも堂々としていたものだから、オフィーリア見守り隊ファイブ(勝手に命名)から果たし状まで送られてくることになった。


 もちろん受け取った。負ける気がしないからね……もちろんオフィーリアには内緒。


 

 
 
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

虚弱で大人しい姉のことが、婚約者のあの方はお好きなようで……

くわっと
恋愛
21.05.23完結 ーー 「ごめんなさい、姉が私の帰りを待っていますのでーー」 差し伸べられた手をするりとかわす。 これが、公爵家令嬢リトアの婚約者『でも』あるカストリアの決まり文句である。 決まり文句、というだけで、その言葉には嘘偽りはない。 彼の最愛の姉であるイデアは本当に彼の帰りを待っているし、婚約者の一人でもあるリトアとの甘い時間を終わらせたくないのも本当である。 だが、本当であるからこそ、余計にタチが悪い。 地位も名誉も権力も。 武力も知力も財力も。 全て、とは言わないにしろ、そのほとんどを所有しているこの男のことが。 月並みに好きな自分が、ただただみっともない。 けれど、それでも。 一緒にいられるならば。 婚約者という、その他大勢とは違う立場にいられるならば。 それだけで良かった。 少なくとも、その時は。

揺れぬ王と、その隣で均衡を保つ妃

ふわふわ
恋愛
婚約破棄の断罪の場で、すべては始まった。 王太子は感情に流され、公爵令嬢との婚約を解消する。 だが、その決断は王家と貴族社会の均衡を揺るがし、国そのものを危うくする一手だった。 ――それでも彼女は、声を荒らげない。 問いただすのはただ一つ。 「そのご婚約は、国家にとって正当なものですか?」 制度、資格、責任。 恋ではなく“国家の構造”を示した瞬間、王太子は初めて己の立場を知る。 やがて選ばれるのは、感情ではなく均衡。 衝動の王子は、嵐を起こさぬ王へと変わっていく。 そして彼の隣には、常に彼女が立つ。 派手な革命も、劇的な勝利もない。 あるのは、小さな揺れを整え続ける日々。 遠雷を読み、火種を消し、疑念に居場所を与え、 声なき拍手を聞き取る。 これは―― 嵐を起こさなかった王と、 その隣で国家の均衡を保ち続けた妃の物語。

婚約破棄したその場から、ざまぁは始まっていました

ふわふわ
恋愛
王国随一の名門、アルファルド公爵家の令嬢シャウラは、 ある日、第一王子アセルスから一方的に婚約を破棄される。 理由はただ一つ―― 「平民出身の聖女と婚約するため」。 だが、その“婚約破棄したその場”で、ざまぁはすでに始まっていた。 シャウラは泣かず、怒らず、抗議もしない。 ただ静かに席を立っただけ。 それだけで―― 王国最大派閥アルファルド派は王子への支持を撤回し、 王国最大の商会は資金提供を打ち切り、 王太子候補だったアセルスは、政治と経済の両方を失っていく。 一方シャウラは、何もしていない。 復讐もしない。断罪もしない。 平穏な日常を送りながら、無自覚のまま派閥の結束を保ち続ける。 そして王国は、 “王太子を立てない”という前代未聞の選択をし、 聡明な第一王女マリーが女王として即位する――。 誰かを裁くことなく、 誰かを蹴落とすことなく、 ただ「席を立った」者だけが、最後まで穏やかでいられた。 これは、 婚約破棄から始まる―― 静かで、上品で、取り返しのつかないざまぁの物語。 「私は何もしていませんわ」 それが、最強の勝利だった。

私の婚約者と駆け落ちした妹の代わりに死神卿へ嫁ぎます

あねもね
恋愛
本日、パストゥール辺境伯に嫁ぐはずの双子の妹が、結婚式を放り出して私の婚約者と駆け落ちした。だから私が代わりに冷酷無慈悲な死神卿と噂されるアレクシス・パストゥール様に嫁ぎましょう。――妹が連れ戻されるその時まで! ※一日複数話、投稿することがあります。 ※2022年2月13日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。

婚約破棄に乗り換え、上等です。私は名前を変えて隣国へ行きますね

ルーシャオ
恋愛
アンカーソン伯爵家令嬢メリッサはテイト公爵家後継のヒューバートから婚約破棄を言い渡される。幼い頃妹ライラをかばってできたあざを指して「失せろ、その顔が治ってから出直してこい」と言い放たれ、挙句にはヒューバートはライラと婚約することに。 失意のメリッサは王立寄宿学校の教師マギニスの言葉に支えられ、一人で生きていくことを決断。エミーと名前を変え、隣国アスタニア帝国に渡って書籍商になる。するとあるとき、ジーベルン子爵アレクシスと出会う。ひょんなことでアレクシスに顔のあざを見られ——。

妹の嘘を信じて婚約破棄するのなら、私は家から出ていきます

天宮有
恋愛
平民のシャイナは妹ザロアのために働き、ザロアは家族から溺愛されていた。 ザロアの学費をシャイナが稼ぎ、その時に伯爵令息のランドから告白される。 それから数ヶ月が経ち、ザロアの嘘を信じたランドからシャイナは婚約破棄を言い渡されてしまう。 ランドはザロアと結婚するようで、そのショックによりシャイナは前世の記憶を思い出す。 今まで家族に利用されていたシャイナは、家から出ていくことを決意した。

【完結】虐げられて自己肯定感を失った令嬢は、周囲からの愛を受け取れない

春風由実
恋愛
事情があって伯爵家で長く虐げられてきたオリヴィアは、公爵家に嫁ぐも、同じく虐げられる日々が続くものだと信じていた。 願わくば、公爵家では邪魔にならず、ひっそりと生かして貰えたら。 そんなオリヴィアの小さな願いを、夫となった公爵レオンは容赦なく打ち砕く。 ※完結まで毎日1話更新します。最終話は2/15の投稿です。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。

本物の『神託の花嫁』は妹ではなく私なんですが、興味はないのでバックレさせていただいてもよろしいでしょうか?王太子殿下?

神崎 ルナ
恋愛
このシステバン王国では神託が降りて花嫁が決まることがある。カーラもその例の一人で王太子の神託の花嫁として選ばれたはずだった。「お姉様より私の方がふさわしいわ!!」妹――エリスのひと声がなければ。地味な茶色の髪の姉と輝く金髪と美貌の妹。傍から見ても一目瞭然、とばかりに男爵夫妻は妹エリスを『神託の花嫁のカーラ・マルボーロ男爵令嬢』として差し出すことにした。姉カーラは修道院へ厄介払いされることになる。修道院への馬車が盗賊の襲撃に遭うが、カーラは少しも動じず、盗賊に立ち向かった。カーラは何となく予感していた。いつか、自分がお払い箱にされる日が来るのではないか、と。キツい日課の合間に体も魔術も鍛えていたのだ。盗賊たちは魔術には不慣れなようで、カーラの力でも何とかなった。そこでカーラは木々の奥へ声を掛ける。「いい加減、出て来て下さらない?」その声に応じたのは一人の青年。ジェイドと名乗る彼は旅をしている吟遊詩人らしく、腕っぷしに自信がなかったから隠れていた、と謝罪した。が、カーラは不審に感じた。今使った魔術の範囲内にいたはずなのに、普通に話している? カーラが使ったのは『思っていることとは反対のことを言ってしまう魔術』だった。その魔術に掛かっているのならリュートを持った自分を『吟遊詩人』と正直に言えるはずがなかった。  カーラは思案する。このまま家に戻る訳にはいかない。かといって『神託の花嫁』になるのもごめんである。カーラは以前考えていた通り、この国を出ようと決心する。だが、「女性の一人旅は危ない」とジェイドに同行を申し出られる。   (※注 今回、いつもにもまして時代考証がゆるいですm(__)m ゆるふわでもOKだよ、という方のみお進み下さいm(__)m 

処理中です...