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クラス替え

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「やった! Aクラスだ!!」

 張り出されたクラス替えの表に私の名前があった!

「当然だろう」
「当然ね」
「そうだな」

 フローリア様、ルシアン様、ジルベルト様が返事をした。当然ってことはないんだよ? テストの間は緊張してたし!

「これで残りの学園生活はみんなで過ごせるね」
「はいっ。ルシアン様のおかげです。ありがとうございます」
「オフィーリアが頑張った証だよ」
 

 この学年はレベルが高いと言われているからテスト中は緊張したけれど、よかったぁ~! Aクラスって、他のクラスとは全く違って棟も離れているし専用の教室もあるし、食堂まである特別待遇! そりゃみんなAクラスに入りたがるわけよね。Aクラスは二年生と三年生の交流会もあるし、知り合いになっておくと後々良いかも……なんて、打算的な考えも脳裏に浮かぶ。

 ジルベルト様とはその後仲良く過ごしているし、食堂で二人で過ごすこともある。フローリア様とルシアン様も相変わらず仲が良いし、これから二年間楽しみでしかない。

 新入生が入ってきて今年の新入生には珍入生? と言われる子もいるみたい。珍しい二つ名だわね。関わりたくないなぁ……

 Aクラスは他の校舎よりも奥まっているから、結構歩くのだけどそれすら良い運動と思えば問題ないし、遠いからと文句を言う人もいない。ジルベルト様と帰りの馬車に向かって歩いていた時だった。

「あら、お久しぶりですこと」

 ジルベルト様の方を見て久しぶりという令嬢。あっ! この子……レストランでジルベルト様に声を掛けていた子だわ。ジルベルト様の前にドンっと立ち指を差した。

「わたくしというものがありながら婚約をするとは何事ですのー!」

 あら。あらららら……ジルベルト様が虫でも見るような目つきになった。

「……噂の珍入生だよ、オフィーリア行こう」
「この方が? でもいいの放っておいて……」

 周りにいる生徒がざわついていた。

「お待ちなさい! これは婚約詐欺に当たる行為なのよ! 訴えても良いくらいなんだからっ」

 ……ジルベルト様このような方と婚約の話が? それはちょっと同情に値するかも。

「キミ一体なんなんだ? 僕はキミと婚約の約束なんかしてないし、ご覧の通り隣には愛しの婚約者がいるんだけど」

 私の肩を抱き寄せるジルベルト様。そして耳元でごめん。変なことに巻き込んで。と言ってくれたので頭を左右に振っておいた。この令嬢の妄想なのね。

「忘れたとは言わせないわよ! あれは十年前の事よ。噴水に落ちたあなたを助けて服まで用意してあげた時に、この人には私がいないとダメなんだと思い将来は私と一緒にいなさいと言ったでしょう!」

「は? キミ何言ってんの? わざと噴水に落としてから用意してきた服は……女性用だったよね? 子供ながらにキミのこと嫌いだったんだよね……」

 ジルベルト様が黒い……そして周りの生徒がザワザワとし始めた。

「ひ、ひどい。そんなことしてないっ!」
「どういう思考回路してるいるのか分からないけれど、記憶の改ざんをするのはやめろ。マジ迷惑」

 ジルベルト様じゃない話し方……すごく怒っていることだけは伝わるけれど……

「僕に二度と声を掛けてこないように。警告という形での抗議をするからそのつもりで」

「私はっ、ずっと待ってたのに! 私が十六歳になるまで!」

「はぁっ……一回目の抗議の時は子供だったから仕方がない。と母が許してあげるようにと言ったんだ。するとキミの両親が教育を見直すと約束した。何も変わってない!」

「しっかりと教育されたわよ! 成績だって上位だし、それに貴方のお母様はもう亡くなった、」
「はぁっ? 勉強ができるからって何? 人間として礼儀を学べと言いたいな。こんな騒ぎを起こしたら家名に傷が付くことになる、態度を改めないとこの学校ではやっていけない。社交界で爪弾きにされるだけだ、行こうオフィーリア」

「え、でも」

 ぷるぷると震えて項垂れている。いいの?!

「僕は突き落とされた挙句にドレスを着せられそうになったんだ……オフィーリアでいうところの黒歴史だ。掘り返されたくない……それに母のことも侮辱した」

 ……それは、うん、何ともいえない。


 ******

「このバカっ! 大勢の生徒の前でなんて事を……恥ずかしくて人前に出せん! それにロワール伯爵家からは十年前に寛大なお心で許して頂けたのに! おまえがしたことは殺人罪と侮辱罪なんだぞ! 子供だからと伯爵夫妻が大目に見てくれたんだ! 成人する娘だと責任が違う!」

「……え、殺人罪? なんで?」

「十年前一緒にいたおまえの従姉妹が、止められなかった自分に責任があると言って謝りに行ってくれたんだ。あの言葉があったから許されたと思え……」

「カリーナ姉様が? なんで? 私は助けてあげた側なのに?」

「おまえが噴水に突き落としたんだ! 子供が落ちるには深すぎる噴水だった! 悲鳴を聞いた庭師が来てくれなかったらおまえは今頃殺人罪でもうこの世にはいないしうちの存続も危ぶまれだだろうな……厳しく教育をしてきたつもりだったが、またロワール家にご迷惑をかけた! 学園には行くな。おまえは謹慎していろ」

 部屋に連れて行かれて鍵を閉められてしまった!

「開けなさい! 十六になったら結婚しても良いっていったわよね、お父様! お母様!」


「……まさかロワール子息と結婚できると思っていたとは……記憶も曖昧だし、あなたどうしましょう」

「家にいさせると世間体も悪いし家の者も甘やかしてしまう。施設に預けて反省した様子が見られたらどこかに嫁に……反省しなければ一生神の元へ」

 どちらにしても嫁に行くルートになった。

 
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