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久しぶりの学園
しおりを挟む「キャサリン様、お久しぶりですわ」
同志の皆さんからお声がかけられた。
「お久しぶりです。一ヶ月ほど? お休みをいただきましてご心配をお掛けしました。お手紙もありがとうございました」
休んでいた時に頂いた手紙に対してお礼を伝える。
「皆さんのお陰でこの通り怪我も治りましたから、お茶会を開きますのでご招待してもよろしいでしょうか?」
心配をかけてお見舞いを送ってくださる同志の方もいましたもの。ルヴィもいつの間にか合流していた。アレクはセリアさんと話をして二人でどこかに行った……いつの間に話をするような関係に……?
「あら。楽しみですわ!」
「喜んで参加いたしますわ!」
「ウエストウッド邸へ行くのはいつぶりかしら?」
などと喜んでくれている様子だった。久しぶりに教室の席に座る。隣の令息が声をかけてきた。
「おはよう。もう大丈夫なのかい?」
「おはようございます。もう痛みも感じませんし、家族が大袈裟なだけですのよ」
やっぱり学園はいいわね! こうやって人と話をしていると日常に戻ったという感じがするもの。もうすぐ授業が始まる。との時にアレクが戻ってきた。そういえば学園でも家でもいつも一緒っておかしいわね。アレクにはプライバシーもあるんだし。お昼は同志の方達にお誘いいただいたからアレクを解放してあげようと思った。
復帰後はまた食堂でお昼を取る事にした。アレクとルヴィがもう一ヶ月以上の前の話だから、誰も気にしてない。と言ってくれたから。
「キャシー食堂へ行くか?」
アレクに声をかけられた。
「ううん。今日はお友達に誘われたから久しぶりだし、ご一緒しようと思うの」
「……そうか。分かった」
アレクは誰と食べるんだろう? クラスに友達もいるから大丈夫だよね? ってプライバシーに口出しするのはやめるんだった!
******
「キャサリン様は本当に変わられたわよね?」
髪型を変えてからの話かしら?
「そうですか?」
「あの巻き髪ってすごく時間もかかるし、早起きしなくちゃいけないでしょう? 手入れも大変なのに子息達は分かってくれないのよねぇ……手間のかかる髪型だから余裕がないと出来ない証なのに」
元縦巻き仲間達は分かってくれるのよね! やっぱり同志だわ!
「そうですよね! 家に帰ってすぐに湯船で頭をふやかしていましたもの。手入れをしてくれるメイド達には感謝しかありませんわ。それに……縦巻きを卒業すると宣言したらすっごく喜んでいて申し訳なかったですわ」
「キャサリン様は頑張っていましたわねぇ」
「えぇ。ローハン殿下に似合うと言われて調子に乗っていたのですわ」
「そのローハン殿下ですが、まさか子爵令嬢と婚約するとは思っていませんでしたわね。私たちって一体なんだったのでしょう……」
分かりますわ! 皆さん頷いていた。よく考えれば失礼な話。婚約者候補が何人もいて、そのまま数年放置。その後平民の恋人が出来て、私たちはショックを受け婚約者候補を辞退。それに焦った王家が貴族なら誰でもOKだなんて……バカにしていますわ! ローハン殿下の評判は落ちたも同然ですわ。休んでいた一ヶ月で学園で何か変わった事がなかったかと聞いてみた。
「噂の平民の方とお別れした。と耳に入ってきましたわ。恋人のように振る舞っておられましたので驚きましたわ。お互い納得してお別れしたのでしょうかね」
ここではこれ以上殿下の話を出来ません。どこで聞かれているか分かりませんし……
「あとは……」
くすくすと笑いながらお話をする令嬢達。
「アレックス様にお願いしてキャサリン様へのお手紙を私達渡していたでしょう?」
「はい、その節はありがとうございました」
アレックスは手紙伝達係のようだ。と言っていたわね。ついでだから良いけど。とも言っていた。
「アレックス様への恋文だと思われて、アレックス様はモテると噂になっていましたがキチンとオチまでもが噂になっているところは流石ですわね。アレックス様はちゃんとお好きな方がいますもの。ね?」
アレクに好きな令嬢が?! え、もしかして……
悶々としていた。ルヴィだと思っていたけれど、さっきセリアさんと二人でいるところを見た。婚約者の話をしたら怒っていたし、ただならぬ恋をしているとか!?
楽しくお昼を過ごし教室に戻る。アレクはまだ戻ってきていなかった。授業の準備をしていると隣の子息に声を掛けられた。
「休みの間は何をしていたの?」
一ヶ月も休んだから単なる興味で聞いて来たのだろうけれどこうやって話しかけられたのは初めてだわ。
「私は何故かよく躓くので、ウォーキングレッスンを始めましたの。それと猫ちゃんが我が家に来てくれて癒されています」
隣の子息も猫ちゃんが好きらしく、二匹飼っているそうだ。ただ屋敷が広い為探すのが大変で、使用人達を困らせる猫だという。狭いところが好きで中々見つからないとか……そういう習性のようだ。
「勉強になりますわ」
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