8 / 19
私のお父様、フルーリー伯爵
しおりを挟むお父様の執務室の扉をノックする。
コンコンコココンと軽く叩くと私だと分かってくれるはず。
「チェリーか? 入りなさい」
ふふっ。やはり分かってくださったわ
「はい。お父様失礼します」
入室するとお父様と執事が書類と戦っていました。我が家の領地では葡萄が栽培されていて、ワインの名産地でもあります。
赤ワインは隣国の王室にも重宝されていて、王子様が視察にも来たことがあります。
その際にお礼にと王子様に我が家でも貴重な年代物のワインをお渡ししたら相当喜んで頂いて、隣国が産地のブルーダイヤをプレゼントしていただきました。
お母様と私には素晴らしいネックレスを、お父様とヒューバードにはネクタイピンと、カフスでしたわ。
ワインにはそれほどの価値があるようでした。それから年に二度、父は直接隣国の王室に出向いてワインを納めに行くようになりました。
もちろん我が国の王室も御用達ですので、国内貴族に流通するのはほんの僅かです。
王室が優先となってしまいますもの。
「座りなさい」
父が立ち上がり、応接用のソファーに腰を掛けたタイミングで私も父に向かい合うように腰掛けました。
「お茶のご用意をして参ります」
執事が頭を下げて、退出をしました。父が最も信頼している執事で、私も小さい頃から大好きな執事です。
いつも執事服はピシッと立ち姿は凛としていてます。
「どうかしたか?」
「はい、実は……」
今日ユリシーズ様に言われたことを話しし始めました。話の途中に執事が戻ってきて、そっとお茶を出してくれました。
話の腰を折らないようにと、お茶の準備をしたら机に戻り書類に目を通し出しました。ちゃんと聞いてはいるものの邪魔をしないようにとの配慮だと思います。
「そうか……。チェリーはユリシーズ殿のことをどう思っているんだ?」
「嫌いでは無いのですが、今回の事で自分勝手な方だと思いました。ご自分にしか興味がないと言うか……お好きにどうぞと思ってしまいました」
ふむ。とお父様が言って
「あちらがどう出るかだな。もちろん婚約破棄はうちからしてもいいよ。
ユリシーズ殿の心変わりが原因だ。侯爵殿と話をするからあまり深く考えなくとも良い」
「政略結婚なのではないのですか? そんな簡単に?」
「まぁ……な。でもまたすぐに婚約の話が出るという可能性もあると言う事は覚えておいて欲しいんだ。絶対に悪いようにはしないと約束するよ。チェリーが嫌なら断っても構わないから。私たちはチェリーの幸せを願っているんだよ」
お父様は席を立ち頭を撫でてくださりました。
「さぁ、そろそろ部屋に戻りなさい」
「はい、お父様お話を聞いてくださりありがとうございました」
お父様にハグと頬にキスをして退出しました。
部屋に戻りふぅ。と一息吐き
「婚約破棄しても良いんだ……」
と安心しました。怒られるかと思っていましたのに、お父様は寛容でした。
*☼*―――――*☼*―――――
少しお知らせです。以前書いていた
【殿下が恋をしたいと言うのでさせてみる事にしました。婚約者候補からは外れますね】
番外編をようやく更新しました。
宜しかったらそちらもご覧ください(* ᴗ ᴗ)
685
あなたにおすすめの小説
婚約者に心変わりされた私は、悪女が巣食う学園から姿を消す事にします──。
Nao*
恋愛
ある役目を終え、学園に戻ったシルビア。
すると友人から、自分が居ない間に婚約者のライオスが別の女に心変わりしたと教えられる。
その相手は元平民のナナリーで、可愛く可憐な彼女はライオスだけでなく友人の婚約者や他の男達をも虜にして居るらしい。
事情を知ったシルビアはライオスに会いに行くが、やがて婚約破棄を言い渡される。
しかしその後、ナナリーのある驚きの行動を目にして──?
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります)
夫のかつての婚約者が現れて、離縁を求めて来ました──。
Nao*
恋愛
結婚し一年が経った頃……私、エリザベスの元を一人の女性が訪ねて来る。
彼女は夫ダミアンの元婚約者で、ミラージュと名乗った。
そして彼女は戸惑う私に対し、夫と別れるよう要求する。
この事を夫に話せば、彼女とはもう終わって居る……俺の妻はこの先もお前だけだと言ってくれるが、私の心は大きく乱れたままだった。
その後、この件で自身の身を案じた私は護衛を付ける事にするが……これによって夫と彼女、それぞれの思いを知る事となり──?
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります)
婚約者の私を見捨てたあなた、もう二度と関わらないので安心して下さい
神崎 ルナ
恋愛
第三王女ロクサーヌには婚約者がいた。騎士団でも有望株のナイシス・ガラット侯爵令息。その美貌もあって人気がある彼との婚約が決められたのは幼いとき。彼には他に優先する幼なじみがいたが、政略結婚だからある程度は仕方ない、と思っていた。だが、王宮が魔導師に襲われ、魔術により天井の一部がロクサーヌへ落ちてきたとき、彼が真っ先に助けに行ったのは幼馴染だという女性だった。その後もロクサーヌのことは見えていないのか、完全にスルーして彼女を抱きかかえて去って行くナイシス。
嘘でしょう。
その後ロクサーヌは一月、目が覚めなかった。
そして目覚めたとき、おとなしやかと言われていたロクサーヌの姿はどこにもなかった。
「ガラット侯爵令息とは婚約破棄? 当然でしょう。それとね私、力が欲しいの」
もう誰かが護ってくれるなんて思わない。
ロクサーヌは力をつけてひとりで生きていこうと誓った。
だがそこへクスコ辺境伯がロクサーヌへ求婚する。
「ぜひ辺境へ来て欲しい」
※時代考証がゆるゆるですm(__)m ご注意くださいm(__)m
総合・恋愛ランキング1位(2025.8.4)hotランキング1位(2025.8.5)になりましたΣ(・ω・ノ)ノ ありがとうございます<(_ _)>
私の療養中に、婚約者と幼馴染が駆け落ちしました──。
Nao*
恋愛
素適な婚約者と近く結婚する私を病魔が襲った。
彼の為にも早く元気になろうと療養する私だったが、一通の手紙を残し彼と私の幼馴染が揃って姿を消してしまう。
どうやら私、彼と幼馴染に裏切られて居たようです──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。最終回の一部、改正してあります。)
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。
海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。
アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。
しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。
「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」
聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。
※本編は全7話で完結します。
※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる