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リュシエンヌが可愛い!
しおりを挟む~グレイソン視点~
初めてリュシエンヌと元上司のパーティーに参加した。招待状には婚約者を連れて来て欲しい。と書いてあった。元上司は侯爵家を継ぐ為に騎士団を辞めた。新人の頃からとても世話になっていたので、婚約者を紹介したいと素直にそう思った。私の今後を心配してくれていたので、リュシエンヌを見たら安心してくれるだろう。
久しぶりに会った元上司、ブラン卿はリュシエンヌを見て言った。
『グレイ良い子を見つけたな』
しみじみと言った。
『えぇ、自分でもそう思います』
『お、グレイの口から惚気が出るとはな。まぁ楽しんでいってくれ』
自分でも人前でこんなことを言う様になるとは思わなかったし、リュシエンヌといると(口角が上がり目尻が下がり)優しい顔つきになった。と言われることも増えた。
主催者であるブラン卿に挨拶をし、会場にいるとリュシエンヌがダンスを楽しむ人々を眺めていた。踊りたいのだろうか?
『リュシエンヌ、一曲どうだ?』
『喜んで!』
正直言ってダンスは嗜み程度にしか踊れない。しかしこれからリュシエンヌとこうやってパーティーに参加することも増えるだろうと思い改めて(内緒で)練習をして来た。
一曲目が終わりそうな時、リュシエンヌが私をじっと見つめてきた。くっ……下から見つめてくるなんて……こうやってリュシエンヌが腕の中にいるとそのまま抱きしめてしまいそうになる。さらに見つめられる……なんなんだよっ!
『……もう一曲踊ろうか』
『はい、嬉しいですわ』
正解か……良かった。煩悩と戦いながらもあっという間に二曲踊りきった! 早く離れないと……
『リュシエンヌ何かドリンクを貰ってこようか』
『はい、お願いします』
リュシエンヌの両親は他家のパーティーで飲み物を口にしないと言っていたな。トレーに並んでいるものではなく、オーダーして貰ってこよう。
『グレイではないか!』
私を騎士団本部へと推薦してくれた恩人に声をかけられた。上司であるブラン卿の上司だった。この方は引退して若い者に剣術を教えているエキスパートだ。
『その節はお世話になりました』
礼を重んじる方だから挨拶は欠かせない。後でリュシエンヌを紹介しよう。そう思い話をした。リュシエンヌの事が気になるが、時間にして十分程、話をさせて貰った。
すぐにリュシエンヌの元へと戻る。一人にしたことを謝罪すると私の隊の者と話をしたと言う。誰だ、一体!? 聞いてみるが中々名前を言わない! 嫌な考えが頭をよぎる。
しかしリュシエンヌは名前を知らないので、失礼だと思って言えなかった。と言う。
『その方のお名前をお聞きしたとは思うのですが、わたくしレイ様と婚約したことに浮かれていて、副隊長様のお名前くらいしか覚えていませんの。練習中はレイ様に夢中で周りの声も聞こえませんし……他の方に興味はありませんもの。お話しされた方は人気No.3の騎士様ですわ。茶色の髪の、』
シオンか。何かとリュシエンヌに声をかけているんだよな、あいつ……
『確かそんなお名前でしたわ! スッキリしましたわ』
リュシエンヌは本当に興味がないんだな……それにしてもシオンは人気No.3なのか。知らなかった。順位は変わる? あぁ、そうか。興味がなかったから全く知らなかった……
『……離れた私が悪いのだが、何かあっては困る。これからは遠慮せずに私を呼びに来て欲しい』
リュシエンヌの近くに男がいると思うと心配で気が狂いそうになる。
『レイ様が他所行きのお顔でお話をされている姿を見ているのもわたくし好きですわ』
くそ、可愛いな。そんな顔を他の男にみせないでくれ。
『ふふっ大丈夫ですわよ? わたくしはレイ様一筋ですから』
そんなことを言われて嬉しくないはずがない。肩に腕を回しギュッと胸元に寄せた。その可愛い顔を他の男に見られたくない。それくらい可愛いっ!
『くそ、今日も可愛いな』
『レイ様大好きですわ』
……これは困った!
『あまりそう言うことは、こんな所で言わないでくれ……』
『だーい好きです』
抱きしめる手に力が入ってしまう。こんなに可愛い生き物は未だかつて知らない。家に持ち帰りたい……
『……酔っているのか?』
『うーん、どうでしょう』
どこまで私を翻弄するのだろうか!
リュシエンヌは私に抱きついて来た。思いっきり返したいのだが余裕ある様に背中に軽く手を当てた。
限界だ!
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