お姉さまが家を出て行き、婚約者を譲られました

さこの

文字の大きさ
26 / 57

別室

しおりを挟む
「ごめんなさいねエクトル、この者たちがエクトルの相手はフェリシアさんじゃなく、姉のアリシアさんじゃないのかとしつこく聞くものだから、あなたの口で説明して頂戴」
王妃に言われエクトルは頷く

「婚約式にご出席頂いたかと思うのですが…私の相手はクリスタル伯爵家の二女のフェリシアです、名前が似ているのでどこかで聞き間違いをされたのでしょう?伯爵自身もたまに娘の名前を言い間違えてしまうと言っているくらいですから」
優雅に笑みを浮かべながら説明するエクトル 

「前回の夜会ではアリシア嬢と居たでしょう?」
フェリシアにしつこく絡んでいた侯爵子息の親だ。クリスタル伯爵にフェリシアと婚約したいと願い出たと聞いた

「それは婚約者フェリシアの姉ですからお話しすることもあるでしょう?」
飄々と答えるエクトル

「失礼ですが、エミリオ殿下とフェリシア嬢が仲良さげに二人でいたと聞きました、娘が悲しんでいます、フェリシア嬢とエミリオ殿下は何かあるのではないかと、」
エミリオの婚約者リリアナの父ランディ侯爵の話す途中で、侯爵を睨み低い声で

「は?フェリシアと兄上が?そんな事私が許すはずないだろう!クリスタル家には陛下が打診した縁談だ!それでフェリシアと婚約したが、私は満足している、まだ何か聞きたい事があるか?」
この場はシーンと静まり返る
おとなしい人間が怒ると怖い

「「いえ、申し訳ございませんでした」」
頭を下げる侯爵家の面々に
「うちはクリスタル伯爵家と縁が繋げて、息子は惚れているみたいだし問題はないんじゃないかしら?」

「「はっ!」」

頭を下げて申し訳なさそうにする侯爵家
「エクトル、ありがとうあなたの口から聞けて良かったわ、フェリシアさんが待っているわ、戻って良いわよ」
王妃はご機嫌でエクトルを見送った

「あの子が国に戻って来てくれて、好きな子ができて王家に迎えられるんだもの嬉しいじゃない?あんまり虐めないでよ」
じろっと王妃が睨んだ事により話は終わった



「やぁフェリシア今日も可愛いね」
悪気もなく遠慮もなく部屋へと入ってくるエミリオ
「第二王子殿下…どうしてここに」
困惑し、立って挨拶しようとするがヒールを脱いでしまった。ヒールの場所を確認すると寛いでいる長椅子の端に飛ばされていた…
その様子をエミリオに見られ、エミリオはフェリシアの隣に腰掛ける
「あのっ」
危険を感じ長椅子の端に身を寄せるフェリシア
「あまり近くには…その、座らない方が」
「なんで?近くにいないと話しにくいよね、フェリシア今日のドレス姿はとても美しいね、ブルーのドレスか似合っている」
ドレスを確認するように見入る
「エクトル様が選んでくださって」
牽制するようにエクトルの名前を出す

「エクトルの瞳の色だから?私も同じ色だけどね。この水色はあの花を思い出させるね」
グラデーションになっている胸元に目をやる
「はい、デザイナーさんにイメージして貰いました…」
「一緒に見に行ったあの花か、可憐でフェリシアそのものだったよ」
体をフェリシアの方へ向けてくるエミリオ
接近され逃げ場を失う

「申し訳ございません第二王子殿下、エクトル様がもうすぐ戻って来ますし、リリアナ様もお待ちでしょうから、そろそろ戻られてはいかがでしょうか?」
焦るフェリシア、この場から早く出て行って欲しい。手を長椅子の端に乗せて体重をかけたら手が滑ってしまい一瞬痛みが走る
「いたっ…」と声が出た
「どうした?」
エミリオが焦った様子でフェリシアの様子を見るので手を隠そうとするが
「見せて」と言われる手をエミリオに取られた
「血が出ている…引っ掛けたのか」
エミリオはフェリシアの傷口に、口を当て止血し、胸ポケットから緑のチーフを取り出しフェリシアの手に巻く
「とりあえず巻いておいて」
傷を舐められた事に驚きポカンとするフェリシア

「ごめんね怪我させちゃった」
エミリオが申し訳なさそうに謝ってくる
「い、いいえ第二王子殿下のせいでは…」
「その呼び方嫌いだって、嫌がらせか?」
フェリシアが座る長椅子の腰の近くに手を置く沈み込む手にエミリオの顔が近付く

「エミリオ殿下のせいではございませんが、もうすぐエクトル様が帰ってきます、お願いですからお戻りください」
震える声を出すと

「怖がらせるつもりはなかったんだけどね…戻るとするか、またねフェリシア」
頬にキスをして立ち上がる、ハラハラする侍女をチラリと横目で見て部屋を出て行った



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妹に全てを奪われた令嬢は第二の人生を満喫することにしました。

バナナマヨネーズ
恋愛
四大公爵家の一つ。アックァーノ公爵家に生まれたイシュミールは双子の妹であるイシュタルに慕われていたが、何故か両親と使用人たちに冷遇されていた。 瓜二つである妹のイシュタルは、それに比べて大切にされていた。 そんなある日、イシュミールは第三王子との婚約が決まった。 その時から、イシュミールの人生は最高の瞬間を経て、最悪な結末へと緩やかに向かうことになった。 そして……。 本編全79話 番外編全34話 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

王太子妃は離婚したい

凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。 だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。 ※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。 綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。 これまで応援いただき、本当にありがとうございました。 レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。 https://www.regina-books.com/extra/login

婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい

恋愛
婚約者には初恋の人がいる。 王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。 待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。 婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。 従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。 ※なろうさんにも公開しています。 ※短編→長編に変更しました(2023.7.19)

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

【長編版】この戦いが終わったら一緒になろうと約束していた勇者は、私の目の前で皇女様との結婚を選んだ

・めぐめぐ・
恋愛
神官アウラは、勇者で幼馴染であるダグと将来を誓い合った仲だったが、彼は魔王討伐の褒美としてイリス皇女との結婚を打診され、それをアウラの目の前で快諾する。 アウラと交わした結婚の約束は、神聖魔法の使い手である彼女を魔王討伐パーティーに引き入れるためにダグがついた嘘だったのだ。 『お前みたいな、ヤれば魔法を使えなくなる女となんて、誰が結婚するんだよ。神聖魔法を使うことしか取り柄のない役立たずのくせに』 そう書かれた手紙によって捨てらたアウラ。 傷心する彼女に、同じパーティー仲間の盾役マーヴィが、自分の故郷にやってこないかと声をかける。 アウラは心の傷を癒すため、マーヴィとともに彼の故郷へと向かうのだった。 捨てられた主人公がパーティー仲間の盾役と幸せになる、ちょいざまぁありの恋愛ファンタジー長編版。 --注意-- こちらは、以前アップした同タイトル短編作品の長編版です。 一部設定が変更になっていますが、短編版の文章を流用してる部分が多分にあります。 二人の関わりを短編版よりも増しましたので(当社比)、ご興味あれば是非♪ ※色々とガバガバです。頭空っぽにしてお読みください。 ※力があれば平民が皇帝になれるような世界観です。

全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。

彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。

出来レースだった王太子妃選に落選した公爵令嬢 役立たずと言われ家を飛び出しました でもあれ? 意外に外の世界は快適です

流空サキ
恋愛
王太子妃に選ばれるのは公爵令嬢であるエステルのはずだった。結果のわかっている出来レースの王太子妃選。けれど結果はまさかの敗北。 父からは勘当され、エステルは家を飛び出した。頼ったのは屋敷を出入りする商人のクレト・ロエラだった。 無一文のエステルはクレトの勧めるままに彼の邸で暮らし始める。それまでほとんど外に出たことのなかったエステルが初めて目にする外の世界。クレトのもとで仕事をしながら過ごすうち、恩人だった彼のことが次第に気になりはじめて……。 純真な公爵令嬢と、ある秘密を持つ商人との恋愛譚。

処理中です...