お姉さまが家を出て行き、婚約者を譲られました

さこの

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傷口のチーフ

エミリオにキスをされた頬に手を当て呆然として動けないでいると扉が開かれエクトルが戻ってきた


「ごめん、遅くなってしまった」
エクトルがフェリシアの隣に腰掛けるとフェリシアの様子がおかしい 

「フェリシア?」
もう一度声をかけると今気づいたような素振りをする
「えっ?ごめんなさい、戻ってこられたんですね」
驚いた顔でエクトルを見るフェリシア

「何このチーフ、誰か来た?」

フェリシアの手に巻かれた明らかに男物のチーフを苦々しい気持ちで見る
部屋に入るまでは巻いていなかったが、下を向き何か言いにくそうな顔をするフェリシア

チラッとエクトルが侍女を見るので恐る恐る答える
「その…第二王子殿下がいらしまして…」

「兄上か…フェリシア手を」
そっとフェリシアの手を取り緑のチーフを剥ぎ取り、侍女に捨てるようにと伝えた

「怪我、したのか…一体どこで?」
かすり傷のようだが血が滲んでいる
「長椅子の端で手を引っ掛けてしまいました」
眉が下がり怯えるような仕草だ
「何があった?」
エクトルは怒る様子はなく優しい口調で聞いてくるので今あった出来事を話した


「頬に…キスをしただと?傷口を舐めた…」
こくんと頷くフェリシア
「消毒液を持ってきてくれ」
エクトルの侍従を走らせる

「兄上…」
声に怒気が含んでいる
「あの、エクトル様申し訳ございませんでした」
明らかに機嫌が悪いエクトルが怖くて謝る

「いや、フェリシアは悪くない、この際はっきりと言っておく…何か誤解をしていると思うが、私はフェリシアが好きだ、アリシアに紹介された日に君に恋をした、恐らくアリシアはそれを分かっていた」

「お姉様が…」
「あぁ、アリシアは初めから私に興味はない、話をしていても壁があった、それでフェリシアを紹介された。何故か二人にさせたがっていたよね?」
「はい、私にも気になる人はいないかと聞かれて、エクトル様のお名前を出してきました」
「婚約式の衣装だが、アリシアが着るには可愛すぎるデザインだった」
「…サイズも私にぴったりでした」
「本心は分からないけど、アリシアは、フェリシアと私を婚約させたかったんじゃないかとさえ思う」

「お姉様が?」
「あぁ、本人に聞いてみないと分からないけど…居ないからな、今探させているんだけど、内密の為人員が中々確保できないんだ」
苦い顔をする
「はい、家の方でも探してるいるそうです。父が言っていました」

「それで、返事を聞かせてくれる?」
「えっ?」
「フェリシアが好きだって事、皆には悪いが婚約者がフェリシアになった時嬉しかったんだ」
ドキドキと心臓が口から出そうだ


「お姉様の事が…お姉様の無事を確認しないと」
「そうか、それまで待つよ、アリシアが戻ってきても私はフェリシアと結婚する、それは覚えておいて欲しい」
こくんと赤い顔で頷く


侍従が消毒液を持って待ちかねている
そっと机の上に置かれ消毒液を布に浸すエクトル
「まず傷口を消毒しよう、傷口を舐めるなんて、バイ菌を増やしてどうするんだよ!」
ぶつぶつ文句を言うエクトル

「自分でやりますから、貸してください」
布を取ろうと手を出すが、エクトルが渡してくれず大人しくされるがままだ

「あとは頬か?念入りに消毒をしたい所だが、かぶれた困る、私だってフェリシアにした事ないのに」
ぶつぶつと文句が絶えないらしい
「よしこれくらいで良いか」
傷口は消毒されエクトルのチーフを丁寧に巻かれた
「汚れてしまいます!」
エミリオもそうだがなぜ自分のチーフを巻くのか…

お茶を一杯飲み会場に戻る事になった
「兄上だ、こっちにくる」
フェリシアの腰を抱き体を寄せた







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