お姉さまが家を出て行き、婚約者を譲られました

さこの

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お見舞い

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「エクトル殿下が来られました」
侍女にそう告げられ、頭がパニックになる
「私に?お姉様ではなく?」
「はい、左様でございます。フェリシアお嬢様がお倒れになってから毎日お花を届けてお見舞いに来られていました、お会いください」
頭を下げられた
「…そう、でもお部屋にお入れするのは失礼ではない?」
家族以外の男性を自室に入れる事に躊躇する
「旦那様がお許しくださっておりますので大丈夫ですよ」
にこりと微笑む侍女たち

ベッドから起き上がれるがまだ、身体中が痛い。背中にクッションを敷き詰められ、起き上がっても楽な姿勢になった。
肩にストールをかけられ髪を梳かされ、見苦しくないように整えられた

コンコンコンとノックされ返事をすると扉を開けてエクトルが入ってきた
「やぁ、フェリシア調子はどう?」
心配した顔つきでベッドの横に用意された椅子にエクトルが腰掛けた

「このような格好で第三王子殿下にお会いする失礼をお許しください」
頭を下げるフェリシアに困った顔をする

「そうか…本当に忘れてしまったんだな」

なんとなく力がないような表情だ、どうしてそんな悲しそうな顔をするのか分からない

「忘れる?わたくしは何か忘れてしまったのですか?」
キョトンとした顔つきのフェリシア

「私と君との関係だよ」
「…第三王子殿下とわたくしの?どういう意味ですか…?」

「その第三王子殿下という呼び方も」
「わたくしは一度しかお会いした事、ありませんよね…?」
フェリシアの手をギュッと握り下を向くエクトル

握られた手はとても温かく懐かしい感じがした

「王子殿下…そのっ、手を離して、」
「離さない、フェリシアはわたしの婚約者だ」
真剣な顔つきのエクトルから目が離せない
「わたくしと、王子殿下、が?何かの間違いでは」
頭を抑えるフェリシア

「間違いではないよ。婚約式も終えてお披露目も終わっている。私はフェリシアを愛している」
「でも、でも王子殿下はお姉様の婚約者様で…」
事実が受け入れられないフェリシア
頭が痛くなる
「…うっ、頭が」
「フェリシア!」
呼吸が荒くなりはぁはぁと息をするフェリシアを優しく抱きしめた
「ゆっくり息をして、」
背中をさすりゆっくり息をさせようとするエクトル
「そうだ、ゆっくり」

呼吸が整ったところでフェリシアから離れた
「ど、して、わたくしが王子殿下と…」
呼吸が整ったが苦しかったのか涙目のフェリシア
「私とフェリシアはお互いに惹かれていたからだよ、覚えてない?」
考えながらもこくんと頷くフェリシア

フェリシアの頭をゆっくりと撫で
「そうか、それでも良い。私はフェリシアのことが好きだよ」
優しく微笑むエクトルがどことなく寂しそうだ
「王子殿下という呼び方は他人みたいで悲しくなるから前みたいにエクトル呼んで欲しいんだ」
「エクトル殿下?」
ううんと首を振られた
「…エクトル様」
嬉しそうにそうだよと言われた。

「わたくしはどうして覚えていないんでしょうか、その、エクトル様と婚約した事や体が痛いのはどうして?」
フェリシアの手を両手で握りなおす

「フェリシアは学園に行ってて不幸な事故で階段から落ちてしまった…その時に頭を打ってしまった、そのせいで一部の記憶が曖昧になっているんだ。だから私とのことを忘れてしまったみたいだ」
悲痛な面持ちでエクトルは話だした

「階段から…不幸な事故…?」
覚えていない…学園で?足を滑らせたのだろうか

「そうでしたか…皆さんにご心配をおかけしてしまって申し訳ございませんでした」
頭を下げるフェリシア
「いや、フェリシアは悪くないんだ、だからゆっくり休んで、少しでもはやく起き上がれるようになって欲しい」
「…はい」
エクトルの手に包まれていると温かい
「あまり食欲もないようだから皆んなが心配している。ちゃんと食べなきゃ力が付かないよ」
「ふふ…はい」
気遣いが嬉しいと思いつい笑みが漏れた
「そうだ、渡すのが遅くなったけどお見舞い」
フェリシアが好きだったお茶と焼き菓子を渡した
「花は侍女に渡してあるから後で飾って貰えるそうだよ」

「お気遣いありがとうございます。お菓子なら食べられそうですね、嬉しい」
と言ってエクトルの顔を見て笑った







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