お姉さまが家を出て行き、婚約者を譲られました

さこの

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アリシアの帰宅

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アリシアの帰宅は早々に邸の者に伝えられた。
父と対面をした後、母に会いに行く
久しぶりに見る母も少し痩せた気がした。
私が家を出て以来、心配をかけたのだろう
父やファビオと違い母は優しく、お帰りなさいと抱きしめ、父に叩かれた頬を撫でてくれた。母の優しさに触れて堪え切れずに泣いた。

この日は疲れてしまったので、部屋に戻るとメイドに頬と瞼を冷やされた。熱を持っていたのだろう、気持ちが良かった

フェリシアにどう言う顔をして会えばいいのか…いや考えるのはやめよう、出来る事をするだけだ 
エクトルはいつも午後に訪れると聞いた。フェリシアには午前中に会いに行こう


日差しが眩しい…朝が来たようだ
ベルを鳴らし侍女を呼ぶ。朝食は自室で取り身支度を頼んだ
頬が少し腫れているが口の中は切れていなかったのが幸いだった
邸にいた時のように身支度を整えて、フェリシアの部屋へと行った
ノックをして部屋に入る

「お姉様!」

ぱぁっと明るい顔でフェリシアが迎えてくれた。ソファに座り本を読むフェリシアに何も変わったところは感じられなかった。
立ち上がろうとするフェリシアだが、一瞬顔を引き攣らせた。どこか痛むのだろう

「フェリシア、隣に座っても良いかしら?」
「はい、もちろん」
フェリシアの隣に腰掛ける。久々に見たフェリシアは美しく儚げであった
「話を聞いたわ。辛かったでしょうね」

いつもと変わらない口調でフェリシアと向き合った
「はい。階段から落ちたとのことですが、覚えていなくて…皆さんに迷惑を掛けた事が心苦しくて」
しゅんと肩を落とすフェリシアを優しく気遣うように撫でた
「あなたは悪くないの。もう身体の具合は良いの?来るのが遅くなってごめんなさいね」

「来てくださって嬉しいです。ご心配をおかけしました」
謝るフェリシアに胸が痛む

「…お姉様、エクトル様の事なんですが」
言いにくそうにエクトルの名前を出してきた

「私覚えていなくて…エクトル様はお姉様の婚約者では無かったのですか?本当に私の婚約者なのですか?」

不安そうに聞いてくる。エクトルと仲が良いと聞いているので、その不安はいち早く取り除かなければならない

「私は単なる候補に上がっただけよ。あなたも候補者だったの。エクトル殿下もフェリシアもお互いに惹かれていたのよ。私は貴方達のキューピッドなのよ?」

ふふっと笑いフェリシアを見ると、顔をピンクに染めていた。可愛かった

「いつもお見舞いに来てくださるんでしょう?聞いているわよ」

「はい、とてもよくして下さって、お庭をお散歩したり、お茶をしています」
久しぶりに会う大好きなフェリシアが幸せそうで良かった…エクトルに感謝だ

「そう?エクトル殿下にお礼を言わなきゃね。今日も来られるの?」

「はい、今日はお昼過ぎに来てくださるの」
えへへとはにかむフェリシア

「そうなの、嬉しそうね」

「そ、そんな事はありませんよ」
「照れなくても良いのに。仲良くしているみたいで安心したわ」
心からの気持ちだ。ホッとしている

「エクトル様は毎日忙しいのに来てくださって、嬉しいけど、ゆっくりだけど普通に歩けるようにもなったから、執務に専念していただきたくて。お兄様もあれから早く帰ってこられるしお父様も、屋敷に籠ったままなの。お姉様からも通常に戻るように伝えてくださらない?」

申し訳なさそうな顔をするフェリシアに胸を打たれた
「あら?皆んなフェリシアから離れたくないのね」
「そうじゃなくて、安心させたいの」
ぷくっと頬を膨らませて反論する
変わらないわね、フェリシアは

「ふふっ、それとなく聞いてみるわね」
姉妹仲良く話をしていると、少し早目にエクトルが来たようだった

「楽しそう話し声が扉の向こうまで聞こえていたよ」
「「エクトル様」殿下」
アリシアが立ち上がり礼をしようとするが制止された
「アリシア嬢、お久しぶりです。昨晩戻られたとファビオに聞きました」
早く来た理由はファビオだった
「フェリシア、調子が良さそうだね」
笑顔で「はい」と答える

「今日も散歩に行かれるのであれば、わたくしは失礼いたしますね」
すっと立ち上がるアリシア

「久しぶりに会ったんですからアリシア嬢も一緒にどうですか?」
エクトルに引き止められた
「お姉様、だめ?」
上目遣いでフェリシアに頼まれてNOとは言えなかった
「そうですね、それではわたくしもお付き合いさせていただきます」

フェリシアがエクトルの手を取り歩き出した
手を繋ぎ仲の良さが窺えた。
庭の東屋に準備がされていた。
自然と隣合わせに寄り添うように座るエクトルとフェリシア思った以上に仲が良さそうだ

「アリシア嬢はまた領地に?」
机を挟んでお茶を飲むアリシアに質問をする
「いいえ」

「そうですか、フェリシア良かったな」
「はい」
嬉しそうに返事をするフェリシア
「お姉様に話をしていたんですけど、もう歩けるようになりましたし、毎日邸に来てくださるのは申し訳なくて…執務もあるのでしょう?」
「気にしなくて良いと何度も言っているのに」
「…それならわたくしが、王宮にエクトル様に会いに、」

「だめだ!」


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