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フェリシアの記憶
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「フェリシア!大丈夫かっ」
エクトルが帰り、間もなくファビオが帰ってきた。
「お兄様…お願いがあるの。聞いてもらえる?」
メイドや侍女を外させファビオと二人になった
「どうした?フェリシアからのお願い事なんて」
フェリシアの隣に腰掛け優しい口調で言われた。元々家族思いでとても優しいのだが、あの件以来過保護が過ぎるみたいだが嬉しく感じる
「あの、ね、…記憶が戻ったみたい…今日、出された問題を解いている途中で思い出したの。この問題を解いた事があるって…お兄様ごめんなさい、辛い思いをさせてしまいました」
疲れているファビオの顔を見て申し訳なくなり涙が溢れた
「フェリシアの所為ではないよ、そうか…記憶が戻ったのか。辛かったのはお前の方だ、良く頑張ったな」
フェリシアの頭を撫でた
驚いているだろうが、落ち着いた様子を見せる
「お姉様も戻って来られたから、もう家の問題はないと思うの」
「…そうだね、姉上が戻ってきて皆安心している」
「お兄様にお願いがあるの…」
「なんだ?言ってごらん」
「……あのね、」
「うん?」
言いにくそうなフェリシアだが次の言葉を待ってくれる
「私の記憶は戻ってない事にしたいの」
ファビオの顔を真剣な眼差しで見る
「どうして?」
驚いた顔をするファビオだが反論はせずまた言葉を待ってくれた
「だって…私に記憶がない方がお姉様は家に戻りやすかったのではないですか?」
真剣な顔つきでファビオを見る
「…まぁ、そうかもしれない」
「お姉様の頬が赤かったの。お父様に怒られて叩かれたのではないでしょうか?」
姉が出て行った時の父は見た事がないほどに怖かった。家族には見せない顔…でもあれも父なのだろうと思い出す
「姉上はこれから家族の信頼を取り戻すために頑張るだろう…姉上も自分のせいだと自分を責めている。フェリシアの事を思い、出て行ったが最悪な事が起きた…もっと違うやり方があったんだ…」
拳を握りしめるファビオは辛そうに言った
そっとファビオの手を握る
「だからお姉様が出て行った事を忘れるの。知らない方がお姉様はこれから邸での生活が過ごしやすくなると思うの」
「…………。」
無言のファビオ
「リリアナ様の事も忘れる。私あの時死んだかと思って…もうみんなに会えなくなると思って悲しかったのだけど、生きているもの。リリアナ様もわざとではありませんでしたし…たまたま運が悪かっただけです」
目を瞑り下を向くファビオ
「それだとね、話が合わなくなるのでエミリオ殿下の事も忘れます。苦手ではありますが優しく接してくださったのは間違いではありません。お兄様のご友人ですから」
涙がポツリとフェリシアに握られている手に落ちた
「お兄様、どうしましたか…」
ファビオの涙を見た事がなくて焦る
「フェリシア、すまない。私は弱い。誰かのせいにしたくて…フェリシアを傷つけた相手を許せなくて、エミリオを傷つけてしまった」
「ケンカしたのなら仲直りしないといけませんね。エミリオ殿下はお兄様のご友人でもありお仕事をするにあたってとても大事な方なんでしょう?私のせいで友情にヒビが入るのは心苦しいです」
ギュッとファビオの手を握ると優しく握り返してくれた
「エクトル様との婚約も思い出しました。お姉様に悪いと遠慮ばかりしていましたが、記憶をなくしてでも良いと仰ったエクトル様の気持ちがとても嬉しくて…毎日会いにきてくださって…この気持ちはお姉様に負けられませんね。忘れたくはありませんが記憶を失って得たものもあったので、忘れる事にします。エクトル様を慕っている気持ちは確かにありますもの」
ふふふと笑うフェリシア
「そこでお兄様にお願いです」
「なに?」
「この事は私とお兄様の二人だけの秘密です。私は一部の記憶がないままです。これから嘘をついて…記憶がない演技をしなくてはなりません。お兄様には共犯になってもらいたいの。お願いを聞いてくださるのでしょう?」
「そんな事か…お安い御用だ。フェリシアと秘密を共有できるなんて嬉しい限りだよ。私もその優しい嘘にのろう」
「リリアナ様もエクトル様も記憶がないと知ったらそれ以上私には近づかないでしょう?まず会ったら初めまして。と挨拶をするの。王太子殿下やエレナ妃、両陛下にもよ?王族に嘘をつくなんて大罪ですよ?お兄様も共犯ですからね。お願いしますね」
二人でくすくすと笑い合う
「それは不敬罪で捕まっても仕方がない。せめて牢屋は一緒にしてもらえるよう頼まなくてはな。一人では寂し過ぎるよ」
「うん、お兄様大好き。ありがとう」
ファビオにギュッと抱きつくと優しく返してくれた
「私の可愛いフェリシア、これは二人だけの秘密だ」
「ふふっ。お兄様にしかこんな事頼めませんもの。頼りになりますね」
エクトルが帰り、間もなくファビオが帰ってきた。
「お兄様…お願いがあるの。聞いてもらえる?」
メイドや侍女を外させファビオと二人になった
「どうした?フェリシアからのお願い事なんて」
フェリシアの隣に腰掛け優しい口調で言われた。元々家族思いでとても優しいのだが、あの件以来過保護が過ぎるみたいだが嬉しく感じる
「あの、ね、…記憶が戻ったみたい…今日、出された問題を解いている途中で思い出したの。この問題を解いた事があるって…お兄様ごめんなさい、辛い思いをさせてしまいました」
疲れているファビオの顔を見て申し訳なくなり涙が溢れた
「フェリシアの所為ではないよ、そうか…記憶が戻ったのか。辛かったのはお前の方だ、良く頑張ったな」
フェリシアの頭を撫でた
驚いているだろうが、落ち着いた様子を見せる
「お姉様も戻って来られたから、もう家の問題はないと思うの」
「…そうだね、姉上が戻ってきて皆安心している」
「お兄様にお願いがあるの…」
「なんだ?言ってごらん」
「……あのね、」
「うん?」
言いにくそうなフェリシアだが次の言葉を待ってくれる
「私の記憶は戻ってない事にしたいの」
ファビオの顔を真剣な眼差しで見る
「どうして?」
驚いた顔をするファビオだが反論はせずまた言葉を待ってくれた
「だって…私に記憶がない方がお姉様は家に戻りやすかったのではないですか?」
真剣な顔つきでファビオを見る
「…まぁ、そうかもしれない」
「お姉様の頬が赤かったの。お父様に怒られて叩かれたのではないでしょうか?」
姉が出て行った時の父は見た事がないほどに怖かった。家族には見せない顔…でもあれも父なのだろうと思い出す
「姉上はこれから家族の信頼を取り戻すために頑張るだろう…姉上も自分のせいだと自分を責めている。フェリシアの事を思い、出て行ったが最悪な事が起きた…もっと違うやり方があったんだ…」
拳を握りしめるファビオは辛そうに言った
そっとファビオの手を握る
「だからお姉様が出て行った事を忘れるの。知らない方がお姉様はこれから邸での生活が過ごしやすくなると思うの」
「…………。」
無言のファビオ
「リリアナ様の事も忘れる。私あの時死んだかと思って…もうみんなに会えなくなると思って悲しかったのだけど、生きているもの。リリアナ様もわざとではありませんでしたし…たまたま運が悪かっただけです」
目を瞑り下を向くファビオ
「それだとね、話が合わなくなるのでエミリオ殿下の事も忘れます。苦手ではありますが優しく接してくださったのは間違いではありません。お兄様のご友人ですから」
涙がポツリとフェリシアに握られている手に落ちた
「お兄様、どうしましたか…」
ファビオの涙を見た事がなくて焦る
「フェリシア、すまない。私は弱い。誰かのせいにしたくて…フェリシアを傷つけた相手を許せなくて、エミリオを傷つけてしまった」
「ケンカしたのなら仲直りしないといけませんね。エミリオ殿下はお兄様のご友人でもありお仕事をするにあたってとても大事な方なんでしょう?私のせいで友情にヒビが入るのは心苦しいです」
ギュッとファビオの手を握ると優しく握り返してくれた
「エクトル様との婚約も思い出しました。お姉様に悪いと遠慮ばかりしていましたが、記憶をなくしてでも良いと仰ったエクトル様の気持ちがとても嬉しくて…毎日会いにきてくださって…この気持ちはお姉様に負けられませんね。忘れたくはありませんが記憶を失って得たものもあったので、忘れる事にします。エクトル様を慕っている気持ちは確かにありますもの」
ふふふと笑うフェリシア
「そこでお兄様にお願いです」
「なに?」
「この事は私とお兄様の二人だけの秘密です。私は一部の記憶がないままです。これから嘘をついて…記憶がない演技をしなくてはなりません。お兄様には共犯になってもらいたいの。お願いを聞いてくださるのでしょう?」
「そんな事か…お安い御用だ。フェリシアと秘密を共有できるなんて嬉しい限りだよ。私もその優しい嘘にのろう」
「リリアナ様もエクトル様も記憶がないと知ったらそれ以上私には近づかないでしょう?まず会ったら初めまして。と挨拶をするの。王太子殿下やエレナ妃、両陛下にもよ?王族に嘘をつくなんて大罪ですよ?お兄様も共犯ですからね。お願いしますね」
二人でくすくすと笑い合う
「それは不敬罪で捕まっても仕方がない。せめて牢屋は一緒にしてもらえるよう頼まなくてはな。一人では寂し過ぎるよ」
「うん、お兄様大好き。ありがとう」
ファビオにギュッと抱きつくと優しく返してくれた
「私の可愛いフェリシア、これは二人だけの秘密だ」
「ふふっ。お兄様にしかこんな事頼めませんもの。頼りになりますね」
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