上 下
9 / 124
1

1-9

しおりを挟む
「ルージュ、ありがと」

「平気か?」

「そっちこそ。しかし、このままじゃ姫も殺されてしまうし、この国がどうなるか分からないな」

「そうだな……。兵士たちは父上の言葉に絶対服従だ。俺たちがどうにかするしかなさそうだ」

「俺たちが……。俺たちが、姫を助ける……。姫を助けるんだ!」

 何か閃いたようで、リージュは部屋の奥へと向かっていく。二人の剣が立て掛けてある場所へと向かい、二人分の剣を手にし、自分のものではない方をルージュへと差し出す。

 突然のことに何事かと考えているが、彼がしたいことが分からないまま、とりあえず剣だけを受け取る。

「リージュ、一体どうするんだ?」

「今すぐこの国を出てハイト国へと向かう。そして、王と姫のところへ行って現状を伝えるんだ」

「えっ……。そんなこと言って信じてもらえるのか。それに、ハイト国までは遠い。どうやって行くんだ?」
しおりを挟む

処理中です...