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「俺たちのことについて誰も何も気付いた様子はなかったからな。面倒なことには巻き込みたくない」

「それはそうだが……」

「そうだろ? 深く考えないで、一般人を装えばいいさ」

「一般人って……」

 リージュはルージュの肩に腕を回し、身体を少し自らの方へと近付ける。

「俺たちは仲のいい兄弟だよね、お兄ちゃん?」

「……分かったからやめろ。ふざけてないで戻るぞ」

 振り払ってようやく自由になったところで、ルージュは手を洗う。軽く水滴を払ってから、そばに置かれていた白いタオルで完全に水気を拭き取る。

 遅れてリージュも同じ行動をしていき、ルージュの後ろを追い掛けるようについていく。

 廊下を戻り、改めて内装を眺める。外観の古めかしさを崩さないような落ち着いた色合いをしているが、新しさは維持されている。
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