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 睨むような視線をリージュに向けるが、当の本人にその言葉が届いている様子はなかった。

 それでも、しばらくするとシムカから笑みが溢れてくる。

「ふふっ、久しぶりね、ルージュ、リージュ。突然来てびっくりしたわ」

「そのことなんだが、実は父上がハイト国へと攻め込もうと画策して、それを知らせるために急だが来たんだ」

「お父様とそんな予感がするって話してたんだけど、そうだったのね……。気を付けるわ。ところで、一部屋しか案内できないけれどそれでもいい?」

「俺は部屋があるだけ十分ですよ」

「なんなら、シムカの部屋でもいいけどな」

 遠慮のないリージュの発言に、怒りを通り越して呆れたルージュとシムカ。

「ずけずけと入り込んでくるような人に、レディの部屋は案内できないわね」

「誰のことだか」

「リージュ、いい加減にしろ」

 そう言いながら、ルージュはリージュの手を思い切り抓る。
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