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「もう、どうしたの?」

 高い声が通路の方から響き渡ってきた。そちらの方を見ると、ピンク髪の白っぽい服を纏った少女が向かってきている。

「姫!」

「シムカ! 無事だったのか」

「無事? 一体何かあったの?」

 シムカはリージュの言葉に疑問を抱きながらも、二人のことをじっと見つめていた。

「ひ、姫……?」

「もぉ、いい加減姫はやめてって言ってるでしょ、ルージュ。それに、私とあなたたちは同い年なんだから、そんなに気を遣わなくたっていいわよ」

「俺たち結構尻に敷かれてる感じだもんな」

「リージュ、あんたは一言余計よ」

 睨むような視線をリージュに向けるが、当の本人にその言葉が届いている様子はなかった。
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