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 二人きりの落ち着いた空間になると、リージュは部屋の奥に置かれているソファに向かって歩いていき、どさっと腰掛ける。

「いつまでシムカに尻に敷かれた状態なんだよ」

「べ、別にそんなつもりはない。ただ、女性には優しくしているだけだ。それよりも、リージュこそ態度を改めたらどうだ。いつまでも子どもじゃないんだ」

「俺は親しげを込めたつもりなんだがな」

 すっかりと開き直った様子のリージュの隣にゆっくりと腰掛ける。

 ふぅ、と息を付き、緊張が解れたようで頭を後ろに下げて全身をソファに預ける。

 すると突然、部屋の灯りが消えた。

 ビクリと反応し、二人はサッと立ち上がる。

「何だ……?」

「姫は大丈夫かな……?」

 暗い部屋をゆっくりと進んでいき、部屋を出ていこうとする。手探りの状態に、いつもよりもゆっくりとした足取りであった。
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