上 下
77 / 124
6

6-1

しおりを挟む
 何かに呼ばれたような気がした。

 そう思ったルージュはすっと手を伸ばしていた。だが、自分の目の前には何かが遮っており、少し伸ばしたところでぶつかってしまった。

 原因が何かを確かめようと目を開けると、暗闇が目の前に広がっていた。

「えっ……?」

 予想外のことに驚き、両手を動かせる範囲で動かしていく。

「いてっ」

 左側に何かがぶつかったと同時にリージュの声が聞こえた。再び同じところを掴む。

「痛いっつってるだろ!」

 叫ぶと同時にルージュの腕を強く掴むリージュ。その力は殴りそうな勢いであった。

「悪い」

「せめて優しくやれよ。その勢いがあるんだったら目の前のやつにぶつけてくれ」

「やっぱり何かあるのか……。よし、二人で押すぞ」
しおりを挟む

処理中です...