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 満足した解答を引き出せないことに、二人に怒りが少しずつ募っていく。だが、怒り任せにしては話が進まない、と理性が抑え込み、仕方なく話を聞いている。

 そして、手に持っていた服を二人へと差し出す。

「で、学校ということで、制服着用してね。はい、これ。多分大きさは大丈夫だと思うわ」

「あ、あぁ……」

「えーっと、あとは……。あ、そうそう、名前。ルージュは朔、リージュは周って名乗ってね。ここでは私たち三人以外、みんな名前は偽物よ」

「偽物、か……」

 自分たちに付けられた名前を忘れないように、それぞれブツブツと呟いていた。

「じゃ、着替えたら部屋の外で待っててね」

 それだけ言うと、三月は空になった皿を持って出て行った。

 手に残された服を見ながら、静かになった部屋で立ち尽くす。

「……どうしたものか」

「これも俺たちが戻るためだ。リージュ、一週間の我慢だ」

「はぁ……。面倒だなー……」
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