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 そんな四人はとても明るく接し、仲がよいのだと伺える。その端にもう一人、無表情のまま座っている少女がいた。

 ルージュが先にその存在に気付いたようで、チラリと視線を向ける。

 彼女はすぐにそれに気付いたようで、ゆっくりと口を開く。

「……綾子よ。よろしく」

 凛と透き通る声は、小さいながらもルージュの耳にしっかりと響いていた。

「よろしく」

「じゃ、自己紹介も終わったところで、早速役決めをしましょう。光輝、あとはよろしく」

「ったく……朔、周、端から椅子を取ってきて適当に座ってくれ。それから話を始める」

「はい」

 二人は部屋を見渡して椅子を探す。

 全員が揃ってもかなり広いこの部屋には、壁一面の本棚や机など、様々なものがびっしりと並んでいた。

 そこから皆が座っている椅子と同じものを取って戻っていく。

 ルージュが先に進んでいき、それを綾子の隣へと置いて座る。さらにその隣にはリージュが座る。

「それじゃ、劇でやる話の概要をする」

 光輝はそう言い、手に持っている本を手にしながら語り出した。
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