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「おい、お前らしくないぞ」

「大丈夫です、リージュ様」

「えっ……?」

「こいつは、俺たちの本当の名を知っている。俺は、それを問い詰めていた」

「そういうことだったのか……」

 ルージュの行動に納得したリージュであったが、それと同時に綾子がなぜ知っているのかという理由についての不安が広がっていく。

 似たような感情を二人分ぶつけられていてもなお、綾子は落ち着いていた。

「私は……」

「その子は二人の味方よ、ルージュ、リージュ。安心して、手を離しなさい」

 いつもとは雰囲気の違う三月の声がした。ルージュは思わず手を離す。

 二人はそちらを振り返る。

 三月の後ろには流星と光輝もおり、その手には二人の服と剣がある。

「あんた……」
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