金魚姫【一部公開】

まつのこ

文字の大きさ
上 下
6 / 7
1

3

しおりを挟む
 ディアは手を動かしながら、アウラの方に視線を向け、ニコリと微笑んで口を開く。

「とりあえず、明日は森の先にある街へ行くよ。そろそろ買い物をしないといけないからね」

「その先は?」

「その先……。特に決めてないかな。けれど、アウラを危険な目にはあわせないつもり」

「……ありがとう」

 アウラの声はやけに小さいものだったが、その感謝をディアは聞き逃さなかった。本心から出ている感謝の言葉に、思わず微笑んでいた。

「危険な目にあわせたくないから、ぼちぼちしたら今日はもう寝よう。明るくなってから移動ね」

「分かった」

 するとアウラは立ち上がり、外へ出ていく。水の前で目を閉じ、軽く呼吸をする。
しおりを挟む

処理中です...