【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻

文字の大きさ
5 / 8

5. 燃え上がる殺気

しおりを挟む
 そして、赤髪の少女へ。

「ルナ」

「なっ……なによ……」

 小さな体を震わせて、ルナが後ずさる。その緋色の瞳には、恐怖と困惑が渦巻いていた。

「君の魔力は、竜をも屠る。古代の伝説にしか登場しない、神話級の力だ」

「あ、あたしの力は、ただ暴走するだけの……。力だけあっても制御できなきゃただのゴミだわ!」

「そんなことはない」

 レオンは、穏やかに、しかし力強く告げた。

「君の炎は世界で最も美しい。その炎は、二度と君を裏切らない。僕が、そう導いてみせる」

「え……? えっ?!」

 ルナの大きな瞳から、涙が溢れそうになる。

 最後に、銀髪の弓使いへ。

「シエル」

「……なにかしら?」

 男装の少女は、警戒心を剥き出しにしてレオンを睨んでいた。だが、その碧眼の奥には、かすかな期待が揺れている。

「君の弓は、神域に達する。一度視た標的は、決して外さない。神弓の継承者。それが、君の真の姿だ」

 シエルの目が見開かれる。

「性別も、身分も、関係ない。君は君だ。籠の鳥は、いつか自由に空を翔ける。僕に手伝わせて欲しい」

 シエルの唇が、わずかに震えた。

 四人が、息を呑んでいた。

 路地裏に、沈黙が落ちる。

 風の音すら止んだような、張り詰めた静寂。

 生まれて初めてだった。

 本当に、生まれて初めて。

 彼女たちは、自分の価値を認めてもらえた。

 誰も見向きもしなかった。誰も信じてくれなかった。才能がない、役立たずだ、落ちこぼれだと、何度も何度も言われ続けてきた。

 なのに、この傷だらけの男は、初対面で。

 こんな薄汚れた路地裏で。

 彼女たちの「本当の姿」を、言い当てた。

 ルナの大きな瞳から、堪えきれなかった涙が一筋、頬を伝って落ちた。

「そ、そんなの……」

 震える声で、ルナが呟く。

「信じられない……信じられるわけ、ないじゃない……」

「信じなくていい」

 レオンは静かに答えた。

「今は、信じなくていい。でも、一つだけ言わせてくれ」

 レオンは、魂を込めて告げた。

 この言葉だけは、絶対に届けなければならない。

「君たちの才能は本物だ――」

 四つの宝石のような瞳が、レオンを見つめている。

 警戒と、期待と、恐怖と、希望が入り混じった、複雑な光。

「――世界すら、ひっくり返せる」

 沈黙が、路地裏を支配した。

 風が吹いた。

 少女たちの髪が揺れる。黒と金と赤と銀が、薄闘の中で儚く舞った。

 やがて、シエルが苦笑を漏らした。

 男装していても隠せない、その優雅な仕草。公爵令嬢として育った気品が、ふとした瞬間に滲み出る。

「世界をひっくり返す?」

 シエルは呆れたように肩をすくめた。

「随分と恥ずかしいセリフね。正気なの?」

「正気だ」

 レオンは臆さずに答えた。

「僕には未来が視えるんだ。信じられないかもしれないけど、本当に、君たちとなら――」

「嘘つき!!」

 突然、エリナが叫んだ。

 その美しい顔が、怒りで歪んでいる。

 いや、違う。

 あれは怒りじゃない、とレオンは気づいた。

 恐怖だ。

 また傷つくことへの、期待を裏切られることへの、恐怖。

「どうせあんたも同じでしょ!?」

 エリナは腰の剣に手をかけながら、叫び続けた。

「優しい言葉で近づいて、信用させて、利用して、最後には売り飛ばす! そういう奴らを、あたしは何人も見てきた! 何人にも、騙されてきた!」

 シャリン、と金属音が響く。

 錆びた刀身。手入れが行き届いていない、粗末な剣。

 だが、その構えは本物だった。

 五年間、復讐だけを糧に生きてきた戦乙女の構え。隙がない。

「そんな甘い言葉、信じられるわけないでしょ!!」

「男なんて、みんなクズよ!」

 ルナも立ち上がった。

 涙を拭いながら、その小さな手に不安定な炎が宿る。

 揺らめく赤い光。制御しきれていない、暴走寸前の魔力。

「あたしの力を見て、みんな逃げていった! まるで爆弾みたいに腫れもの扱いだわ! なのに今さら、信じろなんて……!」

「あらあら」

 ミーシャは微笑みを崩さない。

 だが、その空色の瞳は氷のように冷たく凍りついていた。

「優しい言葉で近づいてくる人は、必ず裏があるものですわ。ふふっ、聖女を演じてきた私には、よーく分かります。あなたの目的は何かしら? 私たちを売り飛ばすつもり? それとも、もっと――――下品なこと?」

 聖女の仮面の下から覗く、毒を含んだ言葉。

 シエルも弓を手に取り、矢をつがえた。

「悪いけど、ボクたちはもう騙されないよ」

 その碧眼が鋭く光る。

「消えて! 今すぐ立ち去れば、命だけは助けてあげる」

 四人の殺気が、レオンを包んだ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!

ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」 それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。 挙げ句の果てに、 「用が済んだなら早く帰れっ!」 と追い返されてしまいました。 そして夜、屋敷に戻って来た夫は─── ✻ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを 

青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ 学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。 お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。 お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。 レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。 でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。 お相手は隣国の王女アレキサンドラ。 アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。 バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。 バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。 せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました

処理中です...