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23. 『アルカナ』という意志
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「願うんじゃなくて、掴むための名前……」
ルナは目を閉じてその響きを反芻する。
四つ葉のクローバーは、『幸運を願う』名前だった。
でも、アルカナは違う。
『運命を掴む』名前だ。
受け身ではなく、能動的。
そんな意志が、込められている。
エリナがしみじみと呟いた。
「そうか……。『四つ葉のクローバー』は、もう卒業なのね……」
少し寂しそうな声。
四人で過ごした日々への、惜別の念。
でも、その漆黒の瞳には、新たな決意が宿っていた。
「でも、悪くないわ」
復讐だけが、生きる意味だと思っていた。
運命を呪い、過去に囚われ、未来を見ることができなかった。
でも、今は違う。
アルカナ。運命のカード。
自分の手で、運命をめくる。
過去ではなく、未来を見る。
それが、新しい自分なのだ。
「いいね!」
レオンが皆を見回した。
「どう? 『アルカナ』で」
四人が、それぞれに頷いた。
力強く。確かに。
「よし!」
レオンが拳をグッと握りしめた。
「僕らは『アルカナ』だ!」
その声が、店内に響き渡る。
「輝く未来を、この手で勝ち取ろう!」
「やったぁ!」
ルナが両手を挙げて歓声を上げる。
「いい響きね」
エリナが満足そうに頷く。
「決まりっ!」
シエルがこぶしをふるう。
「ふふっ、良かった……」
ミーシャが本心から微笑んだ。
仲間に、認められた。
その喜びが、ミーシャの胸を温かく満たしていた。
五人は顔を見合わせ、そして同時に笑い出す。
明るい、希望に満ちた笑い声。
それは、『腹ペコグリフォン亭』の喧騒の中で、一際輝いて響いていた。
『四つ葉のクローバー』という願いは、『アルカナ』という意志へと昇華した。
幸運を待つのではなく、運命を掴みに行く。
それが、このパーティの新しい形だった。
その瞬間。
レオンの視界に、金色の文字が浮かんだ。
【スキルメッセージ】
【運命のカードが切られた】
【パーティ名「アルカナ」登録完了】
【新たな物語が、今、始まる】
レオンは静かに目を閉じた。
胸の奥で、熱いものがこみ上げてくる。
仲間がいる。希望がある。そして、未来がある。
『アルカナ』
運命のカードを手にした、五人の物語。
それが、今日から始まるのだ。
◇
『腹ペコグリフォン亭』の重い扉を押し開けると、昼下がりの風が頬を撫でた。
店内の熱気と喧騒を背に、五人は石畳の通りに足を踏み出す。
「さて」
レオンが大きく伸びをしながら言った。
「次は、各自装備の一新だ!」
その言葉に、少女たちの反応は様々だった。
ルナは反射的に金貨の包みをキュッと抱きしめる。
ナプキンに包まれた四十枚の金貨。
温もりすら感じる重さ。
これは初めて手にした、本物の成功の証。
自分の力で稼いだ、正真正銘のお金。
今まで、こんな大金を持ったことがなかった。
魔法学院にいた頃は、学費も生活費も、全て学院が負担してくれていた。
退学してからは、日銭を稼ぐのがやっとだった。
残飯で飢えを凌ぎ、野宿で夜を過ごし、ボロボロの服を着続けた。
そんな日々を過ごしてきたルナにとって、金貨四十枚は、途方もない大金だった。
「嫌よ!」
ルナは、頬を膨らませて叫んだ。
「せっかく手にした大金なのに!」
その姿は、宝物を取り上げられそうな子供のようだった。
両手で包みを抱え、体をくるりと背けて、守りの姿勢を取っている。
緋色の瞳には、切実な光が宿っていた。
――これは、あたしのお金。
――やっと手に入れた、あたしのお金。
――誰にも、渡さない!!
エリナも、同じだった。
黒曜石のような瞳を潤ませながら、小さな拳をぎゅっと握りしめている。
その手の中には、同じように金貨の包みが握られていた。
「こ、このお金……」
震える声だった。
「全部使えっていうの……?」
その声には、今まで味わってきた貧困への恐怖が滲んでいた。
五年間、一人で生きてきた。
依頼の報酬は微々たるもので、武器の修理代と食費でほとんど消えた。
宿に泊まれない夜は、路地裏で眠った。
冬の寒さに凍えながら、空腹に耐えながら、それでも生き延びてきた。
だから、お金を手放すのが怖い。
せっかく手に入れたものを、失うのが怖い。
また、あの日々に戻るかもしれないと思うと、体が震えてしまう。
レオンは、優しくため息をついた。
二人の気持ちは、痛いほど分かる。
貧困を知っている者にしか分からない、お金への執着。
それは、生存本能に根ざした、深い恐怖なのだ。
ルナは目を閉じてその響きを反芻する。
四つ葉のクローバーは、『幸運を願う』名前だった。
でも、アルカナは違う。
『運命を掴む』名前だ。
受け身ではなく、能動的。
そんな意志が、込められている。
エリナがしみじみと呟いた。
「そうか……。『四つ葉のクローバー』は、もう卒業なのね……」
少し寂しそうな声。
四人で過ごした日々への、惜別の念。
でも、その漆黒の瞳には、新たな決意が宿っていた。
「でも、悪くないわ」
復讐だけが、生きる意味だと思っていた。
運命を呪い、過去に囚われ、未来を見ることができなかった。
でも、今は違う。
アルカナ。運命のカード。
自分の手で、運命をめくる。
過去ではなく、未来を見る。
それが、新しい自分なのだ。
「いいね!」
レオンが皆を見回した。
「どう? 『アルカナ』で」
四人が、それぞれに頷いた。
力強く。確かに。
「よし!」
レオンが拳をグッと握りしめた。
「僕らは『アルカナ』だ!」
その声が、店内に響き渡る。
「輝く未来を、この手で勝ち取ろう!」
「やったぁ!」
ルナが両手を挙げて歓声を上げる。
「いい響きね」
エリナが満足そうに頷く。
「決まりっ!」
シエルがこぶしをふるう。
「ふふっ、良かった……」
ミーシャが本心から微笑んだ。
仲間に、認められた。
その喜びが、ミーシャの胸を温かく満たしていた。
五人は顔を見合わせ、そして同時に笑い出す。
明るい、希望に満ちた笑い声。
それは、『腹ペコグリフォン亭』の喧騒の中で、一際輝いて響いていた。
『四つ葉のクローバー』という願いは、『アルカナ』という意志へと昇華した。
幸運を待つのではなく、運命を掴みに行く。
それが、このパーティの新しい形だった。
その瞬間。
レオンの視界に、金色の文字が浮かんだ。
【スキルメッセージ】
【運命のカードが切られた】
【パーティ名「アルカナ」登録完了】
【新たな物語が、今、始まる】
レオンは静かに目を閉じた。
胸の奥で、熱いものがこみ上げてくる。
仲間がいる。希望がある。そして、未来がある。
『アルカナ』
運命のカードを手にした、五人の物語。
それが、今日から始まるのだ。
◇
『腹ペコグリフォン亭』の重い扉を押し開けると、昼下がりの風が頬を撫でた。
店内の熱気と喧騒を背に、五人は石畳の通りに足を踏み出す。
「さて」
レオンが大きく伸びをしながら言った。
「次は、各自装備の一新だ!」
その言葉に、少女たちの反応は様々だった。
ルナは反射的に金貨の包みをキュッと抱きしめる。
ナプキンに包まれた四十枚の金貨。
温もりすら感じる重さ。
これは初めて手にした、本物の成功の証。
自分の力で稼いだ、正真正銘のお金。
今まで、こんな大金を持ったことがなかった。
魔法学院にいた頃は、学費も生活費も、全て学院が負担してくれていた。
退学してからは、日銭を稼ぐのがやっとだった。
残飯で飢えを凌ぎ、野宿で夜を過ごし、ボロボロの服を着続けた。
そんな日々を過ごしてきたルナにとって、金貨四十枚は、途方もない大金だった。
「嫌よ!」
ルナは、頬を膨らませて叫んだ。
「せっかく手にした大金なのに!」
その姿は、宝物を取り上げられそうな子供のようだった。
両手で包みを抱え、体をくるりと背けて、守りの姿勢を取っている。
緋色の瞳には、切実な光が宿っていた。
――これは、あたしのお金。
――やっと手に入れた、あたしのお金。
――誰にも、渡さない!!
エリナも、同じだった。
黒曜石のような瞳を潤ませながら、小さな拳をぎゅっと握りしめている。
その手の中には、同じように金貨の包みが握られていた。
「こ、このお金……」
震える声だった。
「全部使えっていうの……?」
その声には、今まで味わってきた貧困への恐怖が滲んでいた。
五年間、一人で生きてきた。
依頼の報酬は微々たるもので、武器の修理代と食費でほとんど消えた。
宿に泊まれない夜は、路地裏で眠った。
冬の寒さに凍えながら、空腹に耐えながら、それでも生き延びてきた。
だから、お金を手放すのが怖い。
せっかく手に入れたものを、失うのが怖い。
また、あの日々に戻るかもしれないと思うと、体が震えてしまう。
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