【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻

文字の大きさ
32 / 186

32. 泣き虫リーダー

 窓の外では、五人の若者が肩を組み、涙を流し、それでも笑っていた。

 死地に向かおうとしているのに。

 三万の魔物が待っているというのに。

 それでも、あんなにも輝いている。

 ――若者たちの、純粋な決意。

 ――死を前にした、揺るぎない絆。

 ――そして、自分たちがいつの間にか捨ててしまった、魂の輝き。

 冒険者たちは、それを見せつけられていた。

 かつて、自分たちにもあったはずのもの。

 いつの間にか、失ってしまったもの。

 それが今、窓の外で眩しく輝いている。

 老冒険者が酒臭い息で呟いた。

「……俺にも、あんな時代があった」

 その声はまるで墓碑銘を読み上げるかのように、重く、悲しみに満ちている。

 若い頃は、恐怖など感じなかった。

 仲間と共に、不可能に挑むことが、何よりも楽しかった。

 でも、いつからだろう。

 ただ酒を飲む金を稼ぐことだけが目的になったのは。

 隣の男も酒臭い息を吐きながら頷いた。

「仲間と共に、不可能に挑んだ日々が……」

 その目は、遠い過去を見つめていた。

 かつての仲間たち。

 共に笑い、共に泣き、共に戦った日々。

 あの頃は、死ぬことなど怖くなかった。

 仲間と一緒なら、どこへでも行けると思っていた。

「いつから俺たちは、保身ばかり考えるようになった?」

 その問いかけに、誰も答えられなかった。

 沈黙が、罪悪感のように重く垂れ込める。

 窓の外では、五人が歩き始めていた。

 死地に続く城門へと向かって。

 その背中を見送る冒険者たちの瞳には、もう蔑みなどなかった。

 代わりに浮かぶのは、憐れみと、嫉妬と、そして――。

 魂の奥底から湧き上がる、本物の敬意。

 カツン。

 静かな音が、ギルドホールに響いた。

 誰かが、ゆっくりと拳を胸に当てたのだ。

 冒険者の敬礼。

 それは、英雄に捧げる最高の礼。

 生還を祈り、武運を祈る、魂の礼。

 カツン、カツンと、敬礼の波が広がっていく。

 さっきまで嗤い、罵声を浴びせていた者が今、拳を胸に当て、頭を垂れている。

 他人を蹴落とすことしか考えていなかった者たちが、今、若き戦士たちに魂の敬礼を捧げている。

 それは、死地へ向かう若者たちへのはなむけであり、自分たちが失った勇気への、哀悼でもあった。

 ギルドホールは、静寂に包まれていた。

 何も言わず、ただ窓の外を見つめている。

 五人の姿が朝日に照らされ、金色に輝いていた。

 その光景が、網膜に焼き付いて離れない。

 やがて、五人の姿が避難者の群れの向こうに消えていく。

 それでも、冒険者たちは敬礼を解かなかった。

 見えなくなっても、まだ。


       ◇


「泣き虫リーダー! ふふっ」

 エリナが、くすくすと笑いながらレオンの肩を小突いた。

 その黒曜石のような瞳に、悪戯っぽい光が踊っている。

「うっせぇ!」

 レオンが、涙の跡を慌てて擦りながら怒鳴った。

 手の甲でゴシゴシと頬を擦る。

 その必死な様子が、また少女たちの笑いを誘った。

「あははっ、レオン、顔真っ赤!」

「うふふ、可愛らしいですわね」

「リーダーなのに泣き虫なんだから!」

「ボクより子供みたいだね」

 四人の笑い声が、朝の空気に溶けていく。

 レオンは、ムスッとしながらも、内心では嬉しかった。

 こうやって、からかわれることが。

 こうやって、笑い合えることが。

 カインたちといた頃には、こんな瞬間はなかったのだ。

「でも」

 エリナの声が、少しだけトーンを落とした。

 その頬が、朝焼けのようにほんのり染まっている。

 視線を逸らしながら、小さく呟く。

「悪くない」

 たった一言。

 でも、その一言に込められた温もりが、レオンの胸を熱くした。

 心を開くことをずっと恐れてきたエリナにとって、それは精一杯の言葉だった。

 ミーシャが、優雅な仕草で金髪をかき上げた。

 空色の瞳を細めて、微笑む。

「うふふ、素敵な涙でしたわ」

 聖女の、完璧な微笑み。

 でも、その瞳の奥に、何かが揺れている。

「本音を言えば、私も少し……」

 言葉が、途切れた。

 聖女の完璧な微笑みに一瞬、本物の感情のひびが走り、慌てて取り繕った。

「あたしも、ちょっと泣いちゃった」

 ルナが、真っ赤に腫れた目を袖でごしごしと擦った。

 仲間たちと一緒なら、自分の力を信じられる。

 そう思える自分がいた。

「ボクも……ちょっとだけね」

 シエルが、銀髪で顔を隠しながら呟いた。

 消え入りそうな、小さな声。

 男装の凛々しさはどこへやら、その仕草は完全に乙女だった。

 政略結婚の道具として扱われ、心を殺して生きてきた。

 それが今、初めて仲間のために震えている。

 五人は、自然と肩を並べて歩き始めた。

 城門へと向かって。

 石畳を踏む足音が、力強く響く。

 まるで、運命が刻むリズムのように。

 まるで、伝説の始まりを告げる鼓動のように。

感想 1

あなたにおすすめの小説

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

畑の隣にダンジョンが生えたので、農家兼ダンチューバーになることにした件について〜隠れ最強の元エリート、今日も野菜を育てながら配信中〜

グリゴリ
ファンタジー
 木嶋蒼、35歳。表向きは田舎で農業を始めて1年目の、どこにでもいる素朴な農家だ。しかし実態は、内閣直轄の超エリート組織・ダンジョン対策庁において「特総(特別総括官)」という非公開の最高職を務める、日本最高峰の実力者である。その事実を知る者は内閣総理大臣を含む極少数のみ。家族でさえ、蒼が対策庁を早々に退庁したと信じて疑わない。  SSSランクのテイムスキルと攻撃スキル、SSランクの支援スキルと農業スキルを18歳時に鑑定され、誰もが「化け物」と称えたその実力を、蒼は今日も畑仕事に注ぎ込んでいる。農作物の品質は驚異的に高く、毎日の収穫が静かな喜びだ。少し抜けているところはあるが、それもご愛嬌——と思っていた矢先、農業開始から1年が経ったある朝、異変が起きた。  祖父母の旧宅に隣接する納屋の床に、漆黒に金の縁取りをしたゲートリングが突如出現したのだ。通常の探索者には認識すらできないそれは、蒼だけが見えるシークレットプライベートダンジョン——後に「蒼天の根」と呼ばれることになる、全100階層の特異空間だった。  恐る恐る潜ったダンジョンの第1層で、蒼は虹色に輝くベビースライム「ソル」と出会い、即座に従魔として契約。さらに探索を進める中でベビードラゴンの「ルナ」、神狼種のベビーシルバーウルフ「クロ」を仲間に加えていく。そしてダンジョン初潜入の最中、蒼の体内に「究極進化システム」が覚醒する。ダンジョン内の素材をエボリューションポイント・ショップポイント・現金へと変換し、自身や従魔、親しい者を際限なく強化・進化させるこのシステムは、ガチャ機能・ショップ機能・タスク機能まで備えた、あまりにもチートじみた代物だった。  蒼は決める。「せっかくだから配信もしよう」と。農家兼ダンチューバーという前代未聞のスタイルで探索者ライセンスを取得し、「農家のダンジョン攻略配信」を開始した彼の動画はじわじわと注目を集め始める。  そんな中、隣のダンジョンの取材にやってきたのが、C級探索者ライセンスを持つ美人記者兼ダンチューバー・藤宮詩織だった。国際探索者協会の超エリート一家に生まれながら自らの道を切り開いてきた彼女は、蒼の「農家なのになぜかとても強い」という矛盾に鋭い鑑定眼を向ける。  隠れ最強の農家配信者と、本質を見抜く美人記者。チート級の従魔たちが賑やかに囲む日常の中で、二人の距離は少しずつ縮まっていく。ダンジョン攻略・農業・配信・ガチャ・そして予期せぬ大事件——波乱と笑いと感動が交錯する、最強農家の新米配信者ライフが、今幕を開ける。

追放された宮廷魔導師、実は王国の防衛結界を一人で維持していた

やんやんつけばー
ファンタジー
「成果が見えない者に、宮廷の席は与えられない」――十年間、王国の防衛結界を独力で維持してきた宮廷魔導師ルクスは、無能の烙印を押されて追放された。だが彼が去った翌日から、王都を守る六つの楔は崩壊を始める。魔物が辺境を襲い、大臣たちが混乱する中、ルクスは静かに旅に出ていた。もう結界は自分の仕事ではない。そう決めたはずなのに、行く先々で人々の危機に遭遇し、彼は再び魔法を使う。追放×ざまぁ×再起の王道ファンタジー。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

虐げられた前王の子に転生しましたが、マイペースに規格外でいきます!

竜鳴躍
ファンタジー
気が付いたら転生していました。 でも王族なのに、離宮に閉じ込められたまま。学校も行けず、家庭教師もつけてもらえず、世話もされず。社交にも出られず。 何故なら、今の王様は急逝した先代の陛下……僕の父の弟だから。 王様夫婦には王子様がいて、その子が次期王太子として学校も行って、社交もしている。 僕は邪魔なんだよね。分かってる。 先代の王の子を大切に育てたけど、体が弱い出来損ないだからそのまま自分の子が跡を継ぎますってしたいんだよね。 そんなに頑張らなくても僕、王位なんていらないのに~。 だって、いつも誰かに見られていて、自分の好きなことできないんでしょ。 僕は僕の好きなことをやって生きていきたい。 従兄弟の王太子襲名の式典の日に、殺されちゃうことになったから、国を出ることにした僕。 だけど、みんな知らなかったんだ。 僕がいなくなったら困るってこと…。 帰ってきてくれって言われても、今更無理です。 2026.03.30 内容紹介一部修正

追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る

夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!