【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻

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49. オーガジェネラル

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「おりゃぁ!」
「せいっ!」
「はぁぁぁ!」

 隘路を埋め尽くす魔物の群れ。押し合いへし合いながら、死に物狂いで突破しようとする。精鋭たちが次々と斬り伏せていくが、倒しても倒しても、後から後から湧いてくる。まるで終わりのない悪夢のようだった。

 疲労が蓄積し、剣が重くなり、動きが鈍くなっていく。

 エリナは、その光景を食い入るように見つめていた。

 Aランク剣士ブラッドの剣さばき。最小限の動きで、最大限の効果を生み出す達人の技。一切の無駄がない、洗練された殺人術。

(見える……全部、見える……)

 覚醒した視界が、ブラッドの動きの全てを捉えている。足の運び方、重心の移動、呼吸のタイミング。それらが一つの流れとなって、完璧な剣技を生み出している。

 体が、覚えていく。

 頭ではなく、魂で理解していく。

「交代します!」

 気づけば、エリナは前線に躍り出ていた。

 さっき体で覚えたブラッドの動き。最小限の足運び。無駄のない重心移動。呼吸と剣撃の完璧な調和。

 シュッ! とオークの喉を切り裂く。

 ザシュッ! とゴブリンの心臓を貫く。

 ズバッ! とリザードマンの首を跳ねる。

 一撃、一殺。

 迷いのない、完璧な剣技。

「ほう?」

 ブラッドの目が見開かれる。

 先ほどまでとは、まるで別人だった。剣速が桁違いに上がっている。動きに淀みがなく、まるで舞を舞っているかのように美しい。

 エリナは相手の動きを読み、百分の一秒先を行く。剣技の極意――先読みと反射の究極の融合。それは、長年の修練を積んだ達人だけが到達できる境地のはずだった。

 そして驚くべきは、その持久力。

 二十体、三十体と斬り伏せても、剣速が落ちない。むしろ加速していく。戦えば戦うほど、動きが洗練されていく。

(私……戦える……!)

 五年前、村を焼かれた日から、ずっと求めていた力。大切な人を守れなかった無力感を、ようやく払拭できる力。それが今、全身を駆け巡っている。

「エリナ! フォールバック!!」

 突然の後退命令に、エリナは動きを止めた。

「え……?」

 まだ戦える。まだまだ戦える。この力があれば、どこまでも戦い続けられる。そんな万能感が、全身を満たしていたのに――。

 エリナは困惑しながらも、渋々命令に従って下がった。

「くっ!」

 剣についた緑色の血を拭いながら、不満を口にする。

「まだ行けます!」

 ブラッドが首を振る。だが、その表情は先ほどとは違っていた。冷たい軽蔑ではなく、そこにあるのは――。

「これは前座だ。彼らに任せておけ」

 軽蔑ではなく、熱のこもった期待の眼差し。

「お前の出番に向けて、温存しておけ!」

「……え?」

 エリナは驚いて顔を上げる。

 認められた――。

 ついに、認められたのだ。

 あの厳格なブラッドが、自分を戦力として認めてくれた。温存しろと言ってくれた。それは、本番で自分の力が必要だと認めてくれたということ。

 胸の奥で、何かが熱く燃え上がる。

「ハ、ハイ!」

 元気よく返事をして、湧き上がってくる笑みを誤魔化しながら、水筒の水をゴクゴクと飲んだ。冷たい水が、熱を帯びた体を冷やしていく。

 隘路の向こうから、まだ魔物たちが押し寄せてくる。

 だが、エリナはもう怯えていなかった。

 赤い剣が、朝日を受けて輝く。

 五年前、全てを失った日から、エリナはずっと復讐だけを考えて生きてきた。家族を殺した盗賊たちへの憎しみ。自分だけが生き残ってしまった罪悪感。それだけが、彼女を動かす原動力だった。

 でも、今は違う。

 守りたいものができた。

 仲間がいる。信じてくれる人がいる。一緒に戦ってくれる人がいる。

 復讐の剣士は、守護の戦士へと生まれ変わりつつあった。


       ◇


 精鋭兵たちが交代しながら熾烈な前線を維持していた、その時だった。

 グォォォォ!

 大地を震わせる重低音の咆哮が、隘路全体に響き渡った。それは魔物の叫びというよりも、地獄の底から這い上がってきた悪魔の雄叫びのようだった。

 見れば、身長四メートルはあろうかという巨大なオーガジェネラルが、味方の魔物すら踏み潰しながら隘路を突進してくる。その姿は、まさに戦場の悪夢そのものだった。

 来た――。

 ブラッドもエリナも、反射的に剣の柄を握り締める。

 【運命鑑定】が示した、最後にして最大の脅威の登場だ。奴を逃せばアンデッドを再編されて悪夢は甦る。何としても、ここで仕留めなければならない。

 だが――。

「で、でかい……」

 エリナの顔が青ざめる。今まで見たどんな魔物とも、格が違った。

 筋骨隆々とした腕には、大木をそのまま削り出したような巨大な棍棒が握られている。一振りするだけで蜥蜴人リザードマンが数匹、まるで落ち葉のように吹き飛ばされていく。

 それはどう見ても、剣で戦うような相手ではなかった。

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