【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻

文字の大きさ
55 / 123

55. 突然のモテ期

しおりを挟む
「そうだよ。誰が見ても立派なレディーだよ」

 するとシエルは口を尖らせた。

「えー、今まで頑張って変装してきたのに……胸だってさらし巻いたりして……」

「え? これで巻いてるの?」

 レオンは思わずシエルのふくよかな胸を覗き込んでしまう。確かに男装用のさらしで圧迫しているはずなのに、それでも隠しきれないほどの双丘そうきゅうが――――。

「いやぁ! エッチ!」

 反射的にシエルはレオンの頬を張った。

 パァン! といい音が響きわたる――――。

「痛てて……。ゴ、ゴメン……」

 レオンは慌てて謝る。頬がジンジンと痛んだ。

「あ、いや、ごめんなさい。やりすぎちゃった……」

 シエルも自分の過剰反応を後悔し、思わずレオンの頬をそっと撫でた。

「普通にさ、女の子の格好にしなよ」

「でも……それじゃすぐにバレそうで……って、こんなに目立ったら街に帰ったらバレちゃう……かも……」

 シエルの声が、不安に震える。

 コカトリスを撃ち落とした銀髪の弓手。その噂は、もう街中に広がっているだろう。アステリア家の追手が、それを聞きつけないはずがない。

「バレたってもう構わないよ。シエルは神業を持つ弓手なんだから、堂々と独立すれば」

「そう簡単に行くかしら……」

 シエルは大きくため息をつき、うつむく。

 貴族社会の闘の深さを、彼女は誰よりも知っていた。公爵家の権力は絶大で、その影響力は王国の隅々にまで及んでいるのだ。

「大丈夫、僕の見た未来ではアルカナは五人のままだった。シエルもメンバーだったよ?」

「ほ、本当? でも、絶対あの人たち、どんな手を使ってでも捕まえに来るわ。そして捕まったら最後、あのハゲの王族に政略結婚させられるんだわ」

 シエルの声は、恐怖に震えていた。

 過去の記憶が蘇る。父に呼び出された日。政略結婚を告げられた日。六十歳を超えた好色な大貴族の顔写真を見せられた時の、あの吐き気。

 自分は商品だと、人間ではないのだと、突きつけられたあの瞬間。

 あの絶望を、二度と味わいたくなかった。

「大丈夫。何があっても僕が守ってあげるからさ」

 レオンの声は、力強かった。

 迷いも、躊躇もない。ただ、真っ直ぐな誓いだけがそこにあった。

「え……? 守って……くれるの?」

 シエルの碧眼が、驚きに揺れる。

 守る。

 その言葉を、シエルは生まれて初めて聞いた気がした。

「そりゃそうだよ。シエルは大切な仲間。どんな手を使っても守り切るさ」

「ほ、本当……?」

 シエルの声が震えた。

 『守り切る』

 その言葉が、胸の奥深くに沁み込んでいく。

「本当さ、約束する」

 レオンはニコッと笑う。

 その笑顔を見た瞬間、シエルの中で何かが弾けた。

「レオンーー!」

 シエルはいきなりレオンに抱き着いた。感情が溢れ、もう抑えきれなかった。

 家を飛び出してから誰も信じられず、誰にも頼れず、ただ逃げ続けてきた。

 寂しかった。

 怖かった。

 誰かに守ってほしかった。

 その願いが、今、ようやく叶おうとしている。

「お、おいおい、ど、どうしたんだ?」

 レオンは行き場のなくなった手を上げて困惑する。

「ボク、『守る』なんて初めて言われたかもしれない」

 シエルの声は、涙に震えていた。

「え? 護衛ならいくらでもいただろ?」

「護衛が守ってるのは自分の仕事だし、貴族社会の掟よ。ボクのことなんて、なんとも思ってないわ」

 シエルの言葉には、深い孤独が滲んでいた。

 誰も、自分という人間を見てくれなかった。見ていたのは、アステリア家の紋章と、政略結婚に使える「商品価値」だけ。シエルという一人の少女の心を、誰も気にかけてはくれなかった。

「そ、そうか……それは辛かったね……」

 レオンは、シエルの頭を優しく撫でた。

 その温もりが、彼女の心を溶かしていく。凍りついていた何かが、ゆっくりと解けていくのを感じていた。

 シエルは碧眼に涙を浮かべながら、レオンの瞳を見つめる。

「約束よ? 期待しちゃうからね?」

 その涙に濡れる碧い瞳には、切実な願いが込められていた。

 もう一人は嫌だ。

 もう逃げ続けるのは嫌だ。

 ずっとこの人のそばにいたい。ずっとこの人に守られていたい。

「も、もちろんだよ」

 レオンはシエルの迫力に気圧されながらも、ニコッと笑って頷いた。

 シエルにはその笑顔が、どんな誓約書よりも確かなものに映った。

「嬉しい!」

 遠慮も羞恥も忘れて、きつく抱き着くシエル。ただ全身で喜びを表現した。

 温かい。

 レオンの体は、こんなにも温かかった。

「お、おいおい……」

 その勢いにレオンはたじたじになる。

 ピロン!

 その時、レオンの脳裏にまたメッセージが浮かんだ。

【スキルメッセージ】  
【好感度上昇】  
 シエル:90→120【ラブ】※要注意  

(はぁっ!?)

 また限界突破してしまった。

 彼女たちはなぜこんなにチョロいのか――――?

 普通に『仲間を守る』と言っただけで、なぜ落ちるのか?

 逆に言えばそれだけ彼女たちはひどい扱いを受け続けてきたのだろう。

 普通に接するだけのレオンにも、すがりたくなるほどの悲しい孤独が彼女たちを蝕んでいたのだろう。

 だからこそ、こんなにも深く、こんなにも強く、想いを寄せてくれているのだ。

 だが――――。

 レオンは思わず宙を仰いだ。

 セリナに振り回されて、最後には手ひどく裏切られたばかりなのだ。

 女性とはしばらく距離を取っておきたいレオンにとって、降って湧いたような突然のモテ期にどうしたらいいのか見当もつかず、思わず深いため息をついた。

(これ、本当に大丈夫なのか……?)

 茜色に染まった空が、どこまでも広がっている。

 ひしっと抱きついてくるシエルの熱を感じながら、レオンは新たな戦いがさらに一段深化してしまったことを憂えた。

 三人の美少女から好感度を限界突破されている。

 これは、ある意味では、Sランクの魔物と戦うよりも危険かもしれない。

 ただ、不思議と嫌ではなかった。

 むしろ、この温もりを守りたいと思う自分もいる。

 彼女たちの笑顔を、彼女たちの未来を、何があっても守り抜きたいと。

(……まあ、なんとかなるか)

 レオンは小さく笑って、シエルの銀髪を優しく撫でた。

 夕陽が、二人の影を長く伸ばしていく。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~

ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。 異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。 夢は優しい国づくり。 『くに、つくりますか?』 『あめのぬぼこ、ぐるぐる』 『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』 いや、それはもう過ぎてますから。

【完結】国外追放の王女様と辺境開拓。王女様は落ちぶれた国王様から国を買うそうです。異世界転移したらキモデブ!?激ヤセからハーレム生活!

花咲一樹
ファンタジー
【錬聖スキルで美少女達と辺境開拓国造り。地面を掘ったら凄い物が出てきたよ!国外追放された王女様は、落ちぶれた国王様゛から国を買うそうです】 《異世界転移.キモデブ.激ヤセ.モテモテハーレムからの辺境建国物語》  天野川冬馬は、階段から落ちて異世界の若者と魂の交換転移をしてしまった。冬馬が目覚めると、そこは異世界の学院。そしてキモデブの体になっていた。  キモデブことリオン(冬馬)は婚活の神様の天啓で三人の美少女が婚約者になった。  一方、キモデブの婚約者となった王女ルミアーナ。国王である兄から婚約破棄を言い渡されるが、それを断り国外追放となってしまう。  キモデブのリオン、国外追放王女のルミアーナ、義妹のシルフィ、無双少女のクスノハの四人に、神様から降ったクエストは辺境の森の開拓だった。  辺境の森でのんびりとスローライフと思いきや、ルミアーナには大きな野望があった。  辺境の森の小さな家から始まる秘密国家。  国王の悪政により借金まみれで、沈みかけている母国。  リオンとルミアーナは母国を救う事が出来るのか。 ※激しいバトルは有りませんので、ご注意下さい カクヨムにてフォローワー2500人越えの人気作    

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

処理中です...