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74. 戦場の女神たち
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「レ、レオン……貴様、何のつもりだ……!」
カインの声が震える。
かつて自分が一方的に蹂躙した男が、今では堂々と自分の前に立っている。
クズが自分に逆らっている。
その事実が、カインの心を揺さぶった。
「襲撃の件、罪を認めて自首しろ。そうすれば、まだ刑は軽くなる」
レオンの言葉に、カインの顔が歪む。
「ハハハハハ! 何を言ってるんだ! 証拠があるのか? こいつらが勝手にやったことだ! 俺は何も知らん!」
カインは高笑いする。その声には、狂気が滲んでいた。
「酷いっす! あっしには襲わせる理由などないっす! そんな大金もないっす!」
ガンツは必死に反論する。その声には、切り捨てられた悲哀が滲んでいた。
道具として使われ、用が済んだら捨てられる。それがカインという男なのだ。
「しらを切るな! そんなの調べれば全部わかるぞ?」
レオンはカインをにらみつけた。
「ふんっ! たまたま火山が噴火しただけで英雄気取りか? しょぼい小娘誑し込んでいいご身分だな、この無能が!」
カインの言葉に、レオンの頬がピクっと動く。
自分への侮辱は、もう慣れた。
だが、彼女たちへの侮辱は、許さない。
「彼女たちを侮辱するな! 若いがみんな自立した一流の冒険者なんだぞ!」
レオンの声が、夜の空気を震わせる。
「そうよ!」
ルナが杖を構えた。その緋色の瞳に、炎が揺らめく。
「なめないで!」
シエルが弓に矢をつがえた。碧眼が、鋭く狙いを定める。
「この悪党!」
エリナが剣を抜いた。黒曜石のような瞳に、冷たい怒りが燃えている。
「泣いて謝らせてあげるわ……」
ミーシャのロッドが、金色に輝く。空色の瞳が、危険な光を宿していた。
四人の少女たちが、武器を構える。
その姿は、まさに戦場の女神たちだった。
◇
「一流? こんな小娘たちが? お前ら風情がこの俺様にかなうとでも思ってんのか? あぁ?」
カインは目玉をひん剥き、レオンを威嚇する。その表情には、もはや理性などなかった。
追い詰められた獣のような、狂気じみた目。
しかし、レオンは一歩も引かない。
「自首しないなら、実力行使しかないぞ?」
「バーーカ! お前らなんかに負けるかよ!!」
カインは叫ぶと、懐から邪龍の宝玉を取り出し、レオンの足元に投げつけた。
ガシャン!
宝玉が石畳に当たり、砕け散る。その破片が、月明かりを反射してキラキラと輝いた。まるで、星が地に落ちたかのように。
刹那、中から何か巨大なものがブワっと飛び出し、宙に飛び上がった。
ギャォォォォォ!
上空で咆哮する邪龍。
その威圧感は、まさに伝説級の魔獣だった。
全長十メートルを超える巨体。鋼鉄のような鱗。鋭い爪。そして口から漏れる炎。
その熱気だけで周囲の空気が歪み、石畳がひび割れていく。
ギャハハハ!
カインの哄笑が、夜の屋敷に木霊する。
「さぁ、お前らを焼き尽くしてやる! 死人に口なしだ! キャハハハ!」
その表情には、もはや理性のかけらもなかった。
狂気と歓喜が入り混じり、瞳孔は異様に開き、口の端からは涎すら垂れている。
禁忌の宝玉から解き放たれた邪龍は、咆哮と共に大気を震わせた。
スタンピードで見た魔獣たちとは比べ物にならない、圧倒的な存在感。鱗の一枚一枚が灼熱の光を宿し、吐き出される熱気だけで周囲の草木が焦げ、石畳が僅かに溶けていく。
普通なら、逃げ出すのが正解だろう。
だが――。
「バカねぇ」
ルナが、呆れたように一言つぶやいた。
その声には、憐憫すら滲んでいた。
先日前まで自らの魔力に怯え、震えていた少女の面影は、もうそこにはなかった。
紅い瞳が、冷たい光を宿す。
杖を、すうっと、まるでダンスでも踊るように優雅に振り上げた。
完璧に制御された魔力が一気に噴き出し、空気を震わせる。
次の瞬間――。
ゴォォォォォッ!
世界が、紅に染まった。
巨大な炎の竜巻が、天を衝く勢いで湧き上がる。
その炎は、まるで意志を持った生き物のように螺旋を描き、カインの龍を包み込んだ。
その灼熱の温度は、邪龍の炎など比べ物にならない。
これこそが、竜殺の名を冠する魔力。
伝説の龍さえも灰燼に帰す、絶対の炎。
ギョワァァァァァッ!
邪龍の断末魔が、夜空を引き裂く。
邪龍の影が、みるみる薄くなっていった。形が崩れ、輪郭が溶け、やがて炎が消えた時、そこには何も――なかった。
灰すら残さず、邪龍は完全に消滅してしまったのだ。
後には焦げた臭いだけしか残っていない。
「な……なん、だと……!?」
カインの顔から、血の気が引いた。
信じられない、という言葉では足りない。
目の前で起きた現象が、彼の理解を完全に超えていた。
あれほどの魔物を、あの小娘が、あんな簡単に――?
膝が、震える。
カインの声が震える。
かつて自分が一方的に蹂躙した男が、今では堂々と自分の前に立っている。
クズが自分に逆らっている。
その事実が、カインの心を揺さぶった。
「襲撃の件、罪を認めて自首しろ。そうすれば、まだ刑は軽くなる」
レオンの言葉に、カインの顔が歪む。
「ハハハハハ! 何を言ってるんだ! 証拠があるのか? こいつらが勝手にやったことだ! 俺は何も知らん!」
カインは高笑いする。その声には、狂気が滲んでいた。
「酷いっす! あっしには襲わせる理由などないっす! そんな大金もないっす!」
ガンツは必死に反論する。その声には、切り捨てられた悲哀が滲んでいた。
道具として使われ、用が済んだら捨てられる。それがカインという男なのだ。
「しらを切るな! そんなの調べれば全部わかるぞ?」
レオンはカインをにらみつけた。
「ふんっ! たまたま火山が噴火しただけで英雄気取りか? しょぼい小娘誑し込んでいいご身分だな、この無能が!」
カインの言葉に、レオンの頬がピクっと動く。
自分への侮辱は、もう慣れた。
だが、彼女たちへの侮辱は、許さない。
「彼女たちを侮辱するな! 若いがみんな自立した一流の冒険者なんだぞ!」
レオンの声が、夜の空気を震わせる。
「そうよ!」
ルナが杖を構えた。その緋色の瞳に、炎が揺らめく。
「なめないで!」
シエルが弓に矢をつがえた。碧眼が、鋭く狙いを定める。
「この悪党!」
エリナが剣を抜いた。黒曜石のような瞳に、冷たい怒りが燃えている。
「泣いて謝らせてあげるわ……」
ミーシャのロッドが、金色に輝く。空色の瞳が、危険な光を宿していた。
四人の少女たちが、武器を構える。
その姿は、まさに戦場の女神たちだった。
◇
「一流? こんな小娘たちが? お前ら風情がこの俺様にかなうとでも思ってんのか? あぁ?」
カインは目玉をひん剥き、レオンを威嚇する。その表情には、もはや理性などなかった。
追い詰められた獣のような、狂気じみた目。
しかし、レオンは一歩も引かない。
「自首しないなら、実力行使しかないぞ?」
「バーーカ! お前らなんかに負けるかよ!!」
カインは叫ぶと、懐から邪龍の宝玉を取り出し、レオンの足元に投げつけた。
ガシャン!
宝玉が石畳に当たり、砕け散る。その破片が、月明かりを反射してキラキラと輝いた。まるで、星が地に落ちたかのように。
刹那、中から何か巨大なものがブワっと飛び出し、宙に飛び上がった。
ギャォォォォォ!
上空で咆哮する邪龍。
その威圧感は、まさに伝説級の魔獣だった。
全長十メートルを超える巨体。鋼鉄のような鱗。鋭い爪。そして口から漏れる炎。
その熱気だけで周囲の空気が歪み、石畳がひび割れていく。
ギャハハハ!
カインの哄笑が、夜の屋敷に木霊する。
「さぁ、お前らを焼き尽くしてやる! 死人に口なしだ! キャハハハ!」
その表情には、もはや理性のかけらもなかった。
狂気と歓喜が入り混じり、瞳孔は異様に開き、口の端からは涎すら垂れている。
禁忌の宝玉から解き放たれた邪龍は、咆哮と共に大気を震わせた。
スタンピードで見た魔獣たちとは比べ物にならない、圧倒的な存在感。鱗の一枚一枚が灼熱の光を宿し、吐き出される熱気だけで周囲の草木が焦げ、石畳が僅かに溶けていく。
普通なら、逃げ出すのが正解だろう。
だが――。
「バカねぇ」
ルナが、呆れたように一言つぶやいた。
その声には、憐憫すら滲んでいた。
先日前まで自らの魔力に怯え、震えていた少女の面影は、もうそこにはなかった。
紅い瞳が、冷たい光を宿す。
杖を、すうっと、まるでダンスでも踊るように優雅に振り上げた。
完璧に制御された魔力が一気に噴き出し、空気を震わせる。
次の瞬間――。
ゴォォォォォッ!
世界が、紅に染まった。
巨大な炎の竜巻が、天を衝く勢いで湧き上がる。
その炎は、まるで意志を持った生き物のように螺旋を描き、カインの龍を包み込んだ。
その灼熱の温度は、邪龍の炎など比べ物にならない。
これこそが、竜殺の名を冠する魔力。
伝説の龍さえも灰燼に帰す、絶対の炎。
ギョワァァァァァッ!
邪龍の断末魔が、夜空を引き裂く。
邪龍の影が、みるみる薄くなっていった。形が崩れ、輪郭が溶け、やがて炎が消えた時、そこには何も――なかった。
灰すら残さず、邪龍は完全に消滅してしまったのだ。
後には焦げた臭いだけしか残っていない。
「な……なん、だと……!?」
カインの顔から、血の気が引いた。
信じられない、という言葉では足りない。
目の前で起きた現象が、彼の理解を完全に超えていた。
あれほどの魔物を、あの小娘が、あんな簡単に――?
膝が、震える。
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