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84. 獲物を追い詰める狩人
「きゃぁ!」
「もぉ、ルナったら!」
「気を付けてよぉ……」
少女たちの悲鳴が浴室に響く。
水しぶきがレオンにも盛大にかかった。
「うわっ! 何す……、あ……」
反射的に振り返ったレオンは――見てしまった。
ルナのバスタオルが、派手に転んだ拍子に大きくはだけていたのだ。
湯に濡れた白い肌が、湯気の中に浮かび上がる。
成長途上の、けれど確かに女性としての丸みを帯び始めた体。
滴る水滴が、その曲線をなぞるように流れ落ちていく。
レオンの脳裏に、その光景が一瞬で焼き付いた。
「ご、ごめん! 今の見てない! 全然見てない!」
レオンは慌てて目を逸らし、頭を抱えた。
心臓が、爆発しそうなほど激しく鳴っている。
(ヤバい、ヤバい、ヤバい……まずい、まずい、まずい……!)
頭の中が真っ白になり、何も考えられない。
ただ、先ほどの光景だけが、まるで残像のように瞼の裏に焼き付いて離れない。
消そうとすればするほど、鮮明に蘇ってくる。
しかし――。
「み……、見たわね……」
ルナの声が、震えていた。
振り返らなくても分かる。
彼女の顔は茹でダコのように真っ赤になっているはずだ。
緋色の瞳が、怒りと羞恥で燃え上がっているはずだ。
「い、いや、本当に湯気でよく見えなかったんだって! セーフだよセーフ! ほら、湯気すごいし!」
レオンは窓の外から目をそらさないようにしながら、必死に言い訳する。
その声は上ずり、明らかに動揺が隠しきれていなかった。
「嘘つきぃぃぃぃ!!」
ルナは両手で盛大にお湯をすくい上げ、レオンに向かって勢いよくぶちまけた。
「うわぁ! ちょ、ちょっと止めてよぉ!」
「エッチ! スケベ! のぞき魔!」
バシャン! バシャン! と、激しい水の音が響く。
お湯が盛大にレオンの頭にかかる。
「僕、何にもしてないのにぃぃぃ! むしろ被害者だよ! ぶわっ!」
レオンはお湯の奔流を受けながら、半泣きで抗議した。
本当に、ただ振り返っただけなのだ。
「まぁまぁ、今のは事故でしょう? ルナが勝手に転んだんだし。レオンも見えてないって言ってるし……ね?」
エリナが慌てて割って入り、ルナをなだめようとする。
その頬もほんのり赤く染まっているのは、もし自分がそうなったら、ということを想像してしまうからだろうか?
「こんなところで見せたくなかったのに……」
ルナは唇を尖らせ、涙目になっている。
その様子は怒っているというより、恥ずかしさと悔しさで一杯といった感じだった。
本当なら、もっと特別な場面で。
もっとロマンチックな雰囲気の中で。
心の準備ができた時に。
そんな乙女心が、言葉にならない想いとなって溢れ出している。
「どこならいいのよ?」
ミーシャが無表情で容赦なくツッコんだ。
「そ、それは……その……」
ルナの顔が、さらに赤くなる。
緋色の瞳が、恥ずかしさで潤んでいた。
「ダーーメ! そんな不純異性交遊はお姉さんが許しません!」
エリナはルナの言葉を遮って叫んだ。
レオンとルナのそんなシーンは、絶対に妨害せねばならなかった。
――レオンは私とそうなりたいと思っているはず……なんだから!
と、勘違いした妄想を膨らませながら。
「そうよ、みんな清い関係でいないと……ね?」
シエルも頷く。
その表情は真剣そのものだが、頬がほんのり赤いのは、やはり彼女もレオンとの妄想をしてしまっているからだろうか。
「そうそう、見せなくていいからね? っていうか見せちゃ駄目だからね? 約束だよ?」
レオンも窓の外を向いたまま、必死に念を押した。
この話題から一刻も早く逃れねば――。
しばしの沈黙。
このまま、何事もなく終わってくれれば――。
そう願った、まさにその時。
「で、レオンって……どんな女の子が好きなのかしら? ふふっ」
ミーシャの、悪魔のような質問が浴室に響き渡った。
空気が、一変する。
静まり返る浴室――。
先ほどまでのにぎやかな雰囲気が嘘のように消え去り、四人の少女たちの緊迫した視線が一斉にレオンへと注がれる。
それは運命の選択肢を待つ乙女たちの、真剣な眼差しだった。
「え? ど、どんな……って?」
レオンが驚いて声を裏返らせる。
これは罠だ。絶対に罠だ。どう答えても地獄が待っている――そんな直感が、彼の背筋を走った。
「やっぱり胸が大きい子? 世の男性は皆そうおっしゃいますわよね。ふふっ」
ミーシャは自分の豊かな胸元を誇示するように、少し胸を張りながら切り込んでくる。
バスタオル越しにも分かる、見事な双丘。
その笑顔は聖女のそれだが、目は完全に獲物を追い詰める狩人のものだった。
「もぉ、ルナったら!」
「気を付けてよぉ……」
少女たちの悲鳴が浴室に響く。
水しぶきがレオンにも盛大にかかった。
「うわっ! 何す……、あ……」
反射的に振り返ったレオンは――見てしまった。
ルナのバスタオルが、派手に転んだ拍子に大きくはだけていたのだ。
湯に濡れた白い肌が、湯気の中に浮かび上がる。
成長途上の、けれど確かに女性としての丸みを帯び始めた体。
滴る水滴が、その曲線をなぞるように流れ落ちていく。
レオンの脳裏に、その光景が一瞬で焼き付いた。
「ご、ごめん! 今の見てない! 全然見てない!」
レオンは慌てて目を逸らし、頭を抱えた。
心臓が、爆発しそうなほど激しく鳴っている。
(ヤバい、ヤバい、ヤバい……まずい、まずい、まずい……!)
頭の中が真っ白になり、何も考えられない。
ただ、先ほどの光景だけが、まるで残像のように瞼の裏に焼き付いて離れない。
消そうとすればするほど、鮮明に蘇ってくる。
しかし――。
「み……、見たわね……」
ルナの声が、震えていた。
振り返らなくても分かる。
彼女の顔は茹でダコのように真っ赤になっているはずだ。
緋色の瞳が、怒りと羞恥で燃え上がっているはずだ。
「い、いや、本当に湯気でよく見えなかったんだって! セーフだよセーフ! ほら、湯気すごいし!」
レオンは窓の外から目をそらさないようにしながら、必死に言い訳する。
その声は上ずり、明らかに動揺が隠しきれていなかった。
「嘘つきぃぃぃぃ!!」
ルナは両手で盛大にお湯をすくい上げ、レオンに向かって勢いよくぶちまけた。
「うわぁ! ちょ、ちょっと止めてよぉ!」
「エッチ! スケベ! のぞき魔!」
バシャン! バシャン! と、激しい水の音が響く。
お湯が盛大にレオンの頭にかかる。
「僕、何にもしてないのにぃぃぃ! むしろ被害者だよ! ぶわっ!」
レオンはお湯の奔流を受けながら、半泣きで抗議した。
本当に、ただ振り返っただけなのだ。
「まぁまぁ、今のは事故でしょう? ルナが勝手に転んだんだし。レオンも見えてないって言ってるし……ね?」
エリナが慌てて割って入り、ルナをなだめようとする。
その頬もほんのり赤く染まっているのは、もし自分がそうなったら、ということを想像してしまうからだろうか?
「こんなところで見せたくなかったのに……」
ルナは唇を尖らせ、涙目になっている。
その様子は怒っているというより、恥ずかしさと悔しさで一杯といった感じだった。
本当なら、もっと特別な場面で。
もっとロマンチックな雰囲気の中で。
心の準備ができた時に。
そんな乙女心が、言葉にならない想いとなって溢れ出している。
「どこならいいのよ?」
ミーシャが無表情で容赦なくツッコんだ。
「そ、それは……その……」
ルナの顔が、さらに赤くなる。
緋色の瞳が、恥ずかしさで潤んでいた。
「ダーーメ! そんな不純異性交遊はお姉さんが許しません!」
エリナはルナの言葉を遮って叫んだ。
レオンとルナのそんなシーンは、絶対に妨害せねばならなかった。
――レオンは私とそうなりたいと思っているはず……なんだから!
と、勘違いした妄想を膨らませながら。
「そうよ、みんな清い関係でいないと……ね?」
シエルも頷く。
その表情は真剣そのものだが、頬がほんのり赤いのは、やはり彼女もレオンとの妄想をしてしまっているからだろうか。
「そうそう、見せなくていいからね? っていうか見せちゃ駄目だからね? 約束だよ?」
レオンも窓の外を向いたまま、必死に念を押した。
この話題から一刻も早く逃れねば――。
しばしの沈黙。
このまま、何事もなく終わってくれれば――。
そう願った、まさにその時。
「で、レオンって……どんな女の子が好きなのかしら? ふふっ」
ミーシャの、悪魔のような質問が浴室に響き渡った。
空気が、一変する。
静まり返る浴室――。
先ほどまでのにぎやかな雰囲気が嘘のように消え去り、四人の少女たちの緊迫した視線が一斉にレオンへと注がれる。
それは運命の選択肢を待つ乙女たちの、真剣な眼差しだった。
「え? ど、どんな……って?」
レオンが驚いて声を裏返らせる。
これは罠だ。絶対に罠だ。どう答えても地獄が待っている――そんな直感が、彼の背筋を走った。
「やっぱり胸が大きい子? 世の男性は皆そうおっしゃいますわよね。ふふっ」
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