【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻

文字の大きさ
92 / 123

92. 泣きべそ

しおりを挟む
「……今の、反則じゃない?」

 最初に口を開いたのはルナだった。

「……うん、反則」

 シエルが小さく頷く。

「……ずるいですわ」

 ミーシャが純粋に幸せそうな少女らしい笑顔を浮かべた。

「……バカ」

 エリナが呟いた。その声は優しくて愛おしくて、そして少しだけ切なかった。

 四人は再び顔を見合わせ、そしてクスクスと笑い始めた。理由なんてない。ただ幸せで、ただ嬉しくて、ただレオンが大好きで。

 暖炉の炎が静かに揺れている。その光の中で四人の少女たちは頬を染めて笑っていた。

 失われた光――【運命鑑定】という神がかったスキル。だが、新たな光が灯り始めていた。それはスキルなんかよりもずっと温かくて、ずっと強くて、ずっと眩しい光――絆という名の光だった。

 薪がパチッとはぜて火の粉が舞う。『アルカナ』の新居は少女たちの幸せな笑い声で満たされていた。

 失った運命を嘆くより、今ここにある絆を大切にしよう。レオンが心に誓ったその言葉は、確かに現実のものとなりつつあった。スキルを失った軍師と彼を慕う四人の少女たち。その物語は絶望から希望へ、喪失から再生へと歩み始めていた。

 窓の外では、いつの間にか雲が切れて月が顔を出していた。銀色の光が窓辺に差し込み、暖炉の炎と混じり合って、リビングを幻想的な光で包んでいる。

 夜明けはまだ遠い。けれど、もう闇を恐れる必要はなかった。

 なぜなら、彼らには信じ合える絆があるから。どんな困難が待ち受けていても、五人で力を合わせれば乗り越えられる。そう信じられる仲間がいるから。

 それこそが、どんなスキルよりも強い力なのだと――レオンは今、心の底から理解していた。


         ◇


 翌朝――窓から差し込む柔らかな朝日がダイニングテーブルを照らしていた。

 湯気の立つコーヒーにパンの焼ける香ばしい匂い、窓の外からは小鳥たちのさえずりが聞こえてくる。昨夜の出来事が嘘のような穏やかな朝の光景だった。

 レオンはコーヒーをすすり、朝日を浴びながら深呼吸をした。胸の奥が温かい。昨夜、仲間たちに支えられて、ようやく前を向けるようになった気がする。

「おはよう!」「おっはよ~!」「おはよう」

 三々五々降りて集まってくる仲間たち。

(一人で抱え込まなくていいんだ)

 その想いが心を軽くしてくれる。失われた【運命鑑定】の喪失感はまだ胸の奥に重く沈んでいるが、もうそれに押し潰されそうにはならない。仲間がいる、信じられる仲間がすぐそばにいる。それだけでレオンは――。

 ボンッ!

「きゃあああ!?」

 突如、キッチンから爆発音と共にルナの悲鳴が響き渡った。

「へ?」「ありゃぁ……」「ルナだわ……」

 ダイニングにいたレオンたちが一斉に顔を見合わせる。次の瞬間、キッチンのドアが勢いよく開き、顔中に黒いススをつけたルナが涙目で飛び出してきた。

 赤い髪は爆発したように逆立ち、パジャマは煤で汚れ、緋色の瞳からは大粒の涙がこぼれている。

「うわーん! ちょっとだけ魔力を込めて、ゆで卵を作ろうと思っただけなのにぃ!」

 その姿はまるで戦場から帰還した兵士のようで、けれどどこか愛らしく思わず笑ってしまいそうになる。レオンはその光景を見て、ふと胸の奥がチクリと痛むのを感じた。

 ――七年前、妹のリナも同じようなことをしていた。

 魔力の制御が苦手で、ちょっとした魔法を使おうとしては失敗して、泣きべそをかいていた妹の姿が脳裏をよぎる。あの時も、こうして煤だらけになった妹の顔を拭いてやったものだ。

 なぜだろう。ルナを見ていると、時折リナのことを思い出す。年齢も違うし、髪の色も瞳の色も違う。なのに、ふとした瞬間に重なって見えることがある。泣きべそをかく表情、意地っ張りなところ、素直になれない性格――まるで、リナがそのまま成長したらこうなっていたのではないかと思えるほどに。

「またなの……ルナ……」

 シエルが天を仰ぎ、銀髪を揺らしながら深いため息をついた。

「昨日のお肉焦がした時に、料理で魔術の実験しないって約束したでしょ?」

「う……そ、それは……」

 ルナが口ごもる。図星らしい。その言い訳がましい表情もまた、かつての妹にそっくりで、レオンは思わず苦笑してしまった。

「朝食のおかずが……」

 エリナががっくりと肩を落とす。テーブルの上には焼きたてのパンとベーコンが用意されていたが、卵料理が全滅してしまったらしい。

「レオンへの料理だと思うと爆発してしまいますのね♪」

 ミーシャだけは優雅にコーヒーをすすりながらその惨状を微笑ましげに眺めていた。空色の瞳が悪戯っぽく輝いている。


       ◇


「うぅぅぅ……」

 泣きべそをかくルナに、レオンはタタッと近づく。

「まぁ、やっちゃったことはしょうがないな。それよりケガはない?」

 少しかがんでルナの顔を覗き込みながらハンカチを取り出すと、ルナの煤だらけの顔を優しく拭いてあげた。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~

ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。 異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。 夢は優しい国づくり。 『くに、つくりますか?』 『あめのぬぼこ、ぐるぐる』 『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』 いや、それはもう過ぎてますから。

【完結】国外追放の王女様と辺境開拓。王女様は落ちぶれた国王様から国を買うそうです。異世界転移したらキモデブ!?激ヤセからハーレム生活!

花咲一樹
ファンタジー
【錬聖スキルで美少女達と辺境開拓国造り。地面を掘ったら凄い物が出てきたよ!国外追放された王女様は、落ちぶれた国王様゛から国を買うそうです】 《異世界転移.キモデブ.激ヤセ.モテモテハーレムからの辺境建国物語》  天野川冬馬は、階段から落ちて異世界の若者と魂の交換転移をしてしまった。冬馬が目覚めると、そこは異世界の学院。そしてキモデブの体になっていた。  キモデブことリオン(冬馬)は婚活の神様の天啓で三人の美少女が婚約者になった。  一方、キモデブの婚約者となった王女ルミアーナ。国王である兄から婚約破棄を言い渡されるが、それを断り国外追放となってしまう。  キモデブのリオン、国外追放王女のルミアーナ、義妹のシルフィ、無双少女のクスノハの四人に、神様から降ったクエストは辺境の森の開拓だった。  辺境の森でのんびりとスローライフと思いきや、ルミアーナには大きな野望があった。  辺境の森の小さな家から始まる秘密国家。  国王の悪政により借金まみれで、沈みかけている母国。  リオンとルミアーナは母国を救う事が出来るのか。 ※激しいバトルは有りませんので、ご注意下さい カクヨムにてフォローワー2500人越えの人気作    

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

処理中です...