【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻

文字の大きさ
96 / 123

96. 賢者の謎かけ

しおりを挟む
 最初の数時間は集中力と希望に満ちていた。きっと答えがある、きっと【運命鑑定】を取り戻す方法が見つかる。そう信じてレオンは読み続けた。懐に入れたルナの手紙が、お守りのように胸を温めてくれていた。

 しかし――現実は残酷だった。

『スキルとは魂に刻まれた紋章である。それが破壊されれば、二度と元には戻らない』

「くっ!」

『魂魄への干渉は、神々の領域。人の身では決して到達できぬ境地である』

「くぅぅぅ……」

 お昼が過ぎた頃には、心が限界に近づいていた。

『呪いによって失われたスキルは――解呪不能』

「何だよもぉ!」

 日が傾く頃には、レオンは現実の厳しさに完全に打ちのめされていた。どの書物にも記されているのは絶望的な言葉ばかりで、ページをめくる手が震え始める。焦りが胸を締め付け、時間が経つにつれて手の動きは荒々しくなっていった。

 バサッ、バサッと乱暴にページをめくる。「無理」「不可能」「絶望」という言葉が次々と心に突き刺さってくる。窓の外を見るといつの間にか夕日でオレンジ色に染まり始めており、レオンは積み上げた書物の山の前で力なく膝をついた。

(……ダメだ。どこにも……ない……)

 拳が床を叩く。ゴンッという鈍い音が虚しく響いた。

(あいつらに……何て、顔向けすればいい……)

 朝、力強く「その任務、確かに引き受けた」と宣言したのに、何一つ答えを見つけられなかった。エリナの不器用な優しさ、ルナの手紙、シエルの信頼の眼差し、ミーシャの励まし――みんなの想いを背負って来たのに、何も持ち帰れない。

「くぅぅぅ……ごめん」

 誰にともなく呟く。諦めが心を支配しようとする。

 その時、ふとレオンの目に一冊の本が留まった。書架の一番下、他の本に隠れるように忘れ去られていた小さな魔導書だ。表紙は擦り切れて題名も読めない。他の本が立派な装丁なのに対し、その本だけがまるで誰にも気づかれたくないかのようにひっそりと隠れていた。

 けれど、まるで「これを読め」と囁かれているかのように、何かに導かれるようにレオンはその本を手に取った。


       ◇


 埃を払い急いでページを開くと、そこにはおびただしい量の読めない古代文字が並んでいた。読めない、意味が分からない。

(……くそっ! 読めないとは……。万事休すか……)

 諦めかけたその時、レオンの指が最後の一ページに触れた。そこには読める言葉で、誰かの短い一文がメモされている。

『魂を喰らう呪いは、同質の魂、或いはより強大な『命運』によってのみ上書きされる』

 それはまるで後世の誰かに宛てた伝言のように、褪せたインクの震える筆跡で書かれていた。その一文を目にした瞬間、レオンの全身に電撃のような衝撃が走った。

(『同質の魂』……!?)

 同じスキルを持つ者ということか? 【運命鑑定】を持つ別の誰か――?

(でも、そんな人、どこにいる……? くっ……)

(『或いはより強大な命運』……)

 命運とは何だ? スタンピードを止めるようなことか?

(そして……『上書き』!)

 レオンの目が見開かれる。

(スキルが再生するのではなく――別の何かに置き換わる可能性がある……!?)

 まるでパズルのピースが次々とはまっていくような感覚だった。霧が晴れていく。

「そうか……そういうことか……!」

 声に出して呟き、レオンは立ち上がった。さっきまでの絶望はもうない。代わりに燃え上がるような闘志が宿っている。

「呪いは……命運で『上書き』できる……!」

 震える手で本を抱きしめる。

「俺は……まだ、終わっていない……!」

「小僧」

 いつの間にか背後に老司書が立っていた。レオンはハッとして振り返る。

「その一文を、見つけたか」

 静かな声だったが、その奥には何か深い感情が籠もっているように感じられた。

「それは『賢者の謎かけ』と呼ばれ――古来より幾多の者が挑み、誰一人として実現できなかった禁忌の言葉じゃ」

 老司書は窓の外を見た。夕日がその皺だらけの横顔を照らしており、その表情には遠い過去を思い出すような哀しみが浮かんでいた。

「『命運』をいじろうとする者は――逆に『命運』に踊らされ、破滅した」

 その声が重く響く。

「ワシの師も……親友も……」

 深いため息が続いた。その沈黙の中に、長い年月の中で積み重ねられてきた喪失と悲しみが凝縮されているようだった。

「『命運』とは、何なんですか?」

「多くの人の人生に影響を与える強い意志のことを、この世界では『命運』と呼んでおる。君がスタンピードを止めてくれた時のような事じゃ。その節はありがとう、助かった」

 老司書は頭を下げた。その仕草は意外なほど丁寧で、レオンへの敬意が感じられた。

「では、またスタンピードを止めようと覚悟すればいい……ってこと?」

「ふっ、覚悟するだけじゃダメじゃろ。実現できる力もなければ」

「く……」

 無力な自分の現実を突きつけられたような気がして、レオンは唇を噛んだ。唯一の力【運命鑑定】を失った自分、血を見れば体が動かなくなる自分、何の戦闘力もない自分。その全てが重くのしかかってくる。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~

ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。 異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。 夢は優しい国づくり。 『くに、つくりますか?』 『あめのぬぼこ、ぐるぐる』 『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』 いや、それはもう過ぎてますから。

【完結】国外追放の王女様と辺境開拓。王女様は落ちぶれた国王様から国を買うそうです。異世界転移したらキモデブ!?激ヤセからハーレム生活!

花咲一樹
ファンタジー
【錬聖スキルで美少女達と辺境開拓国造り。地面を掘ったら凄い物が出てきたよ!国外追放された王女様は、落ちぶれた国王様゛から国を買うそうです】 《異世界転移.キモデブ.激ヤセ.モテモテハーレムからの辺境建国物語》  天野川冬馬は、階段から落ちて異世界の若者と魂の交換転移をしてしまった。冬馬が目覚めると、そこは異世界の学院。そしてキモデブの体になっていた。  キモデブことリオン(冬馬)は婚活の神様の天啓で三人の美少女が婚約者になった。  一方、キモデブの婚約者となった王女ルミアーナ。国王である兄から婚約破棄を言い渡されるが、それを断り国外追放となってしまう。  キモデブのリオン、国外追放王女のルミアーナ、義妹のシルフィ、無双少女のクスノハの四人に、神様から降ったクエストは辺境の森の開拓だった。  辺境の森でのんびりとスローライフと思いきや、ルミアーナには大きな野望があった。  辺境の森の小さな家から始まる秘密国家。  国王の悪政により借金まみれで、沈みかけている母国。  リオンとルミアーナは母国を救う事が出来るのか。 ※激しいバトルは有りませんので、ご注意下さい カクヨムにてフォローワー2500人越えの人気作    

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

処理中です...