【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻

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105. 五つの皿

 最初に向かったのは肉屋だった。

(エリナは赤身の肉が大好きだったな……多めに買っておこう)

 店先には様々な肉が吊るされている。豚、牛、鶏、そして猪。

「お、兄ちゃん! 今日はまた一段といい肉が入ってるぜ!」

 屈強な体格の店主が包丁を研ぎながら声をかけてきた。その顔には人懐っこい笑みが浮かんでいる。

「じゃあ、こいつをひと塊……」

 レオンが指差すと、店主が豪快に笑った。

「おう、いいねぇ! 食べ盛りの家族がいるのか?」

「ええ。とても大切な家族です」

 その言葉は自然と口をついて出た。血の繋がりはない。出会ってからまだ日も浅い。けれど確かに、彼女たちは自分の家族なのだ。

「いいねぇ! よーし、オマケしといてやろう!」

 レオンの言葉に店主は満足げに頷き、気前よく肉を包んでくれた。

 次に向かったのは八百屋だった。

(ルナは……ジャガイモが好きだったな。シチューに入れるジャガイモは、煮崩れしないねっとりとしたやつを多めに入れてやろう)

 泥のついたジャガイモを一つずつ慈しむように選んでいく。手に取り、重さを確かめ、形を見る。ルナの喜ぶ顔を想像しながら、最高のものだけを選び抜いた。あの子は素直じゃないから「別に、普通」とか言うんだろうな。でも、きっと目が輝くはずだ。そんなことを考えながら。

 香辛料の屋台では、店主の老婆と相談しながら最適なハーブを選び抜いた。

(ミーシャは……常に冷静沈着だが、その実、誰よりも繊細だ。心を落ち着かせる香りの良いローリエとタイムを入れよう)

 老婆が「いい選択だね」と褒めてくれた。ミーシャは聖女の仮面の下で、誰よりも傷つきやすい心を持っている。だからこそ、彼女の心を癒すような料理を作りたかった。

 果物屋では、大きく蜜がたっぷり入っていそうな真っ赤なリンゴを四つ買った。

(シエルは……この間リンゴを見て子供のころを思い出していたな)

 公爵家を追われ、故郷に帰れなくなった彼女。それでも幼少期の思い出には心温まるものもあっただろう。リンゴを見て微笑む彼女の顔が見たかった。

 買い出した中身はただの食材ではなかった。それはレオンにとっての『アルカナ』そのもの。彼の仲間への想いが詰まった絆の結晶だった。

「さーて、急いで帰らなきゃ! みんないつ頃帰ってくるかな? もう帰ってるかもしれないな!」

 レオンはバッグを抱え小走りで急ぐ。夕日がその背中を優しく照らしていた。


       ◇


 屋敷に戻るとそこは静まり返っていた。ただ時計の音だけがカチ、カチと規則正しく響いている。

 その静寂がレオンの心に重くのしかかる。

(……みんな、無事だろうか)

 不安が胸をよぎる。けれどその不安を振り払うようにレオンはキッチンへと向かった。今は料理に集中しよう。みんなが帰ってきた時に、温かい食事で迎えてあげよう。

 エプロンを身につけ野菜を切っていく。トン、トン、トンとまな板の上で包丁が規則正しく音を立てる。その単純な作業が不思議と心を落ち着かせてくれた。ジャガイモの皮を剥き、ニンジンを切り、タマネギをみじん切りにする。一つ一つの動作に、仲間への想いを込めて。

 鍋に油を引き火をつけると、ニンニクを刻んで鍋に入れる。ジュウという音と共に香ばしい香りが立ち上り、キッチン全体に広がっていく。肉を入れるとジュウジュウという響きが加わり、野菜を入れるとさらに音が賑やかになる。炒めて混ぜて、香りがどんどん複雑になっていく。

「いいぞ、美味そうだ……」

 水を入れ、調味料とローリエとタイムを入れて煮込んでいく。コトコト、コトコトと鍋が煮える優しい音。その淡々とした音が心にしみていく。

 レオンは椅子に座り鍋を見つめた。窓の外では既に日が沈み始めている。

(みんな……まだかな……?)

 レオンはただ待つことしかできない。仲間たちが無事に帰ってくるのを、ただ祈りながら。料理の香りが屋敷全体に広がっていく。


       ◇


 暗くなり灯りをともす頃、シチューが完成した。

 鍋の蓋を開けると湯気が立ち上り、肉と野菜の旨味が溶け合ってハーブの香りが鼻腔をくすぐる。完璧だ。これなら疲れたみんなの体を温め、心を癒してくれるはずだ。

 レオンは鍋を火から下ろしテーブルの準備を始めた。皿を五枚並べ、スプーンを置き、パンを切り、バターを用意する。全てが整った。後はみんなが帰ってくるのを待つだけ――。

 窓の外を見ると既に空は藍色に染まっていた。美しい夕暮れ。けれどレオンの心には不安の影が落ちていく。

(もう、そろそろ帰ってきてもおかしくないのに……)

 レオンは椅子に座り窓の外を見つめた。カチ、カチと時計の音だけが響く。通りの家々の窓に灯りがともり、星が一つまた一つと輝き始める。けれどみんなの声は聞こえてこない。

 ルナの快活な笑い声、シエルの落ち着いた声、ミーシャの柔らかな声、エリナの少しぶっきらぼうな声。耳をどんなにそばだてても聞こえてこない。

 準備が整った食卓は冷たく静まり返っているだけだった。五つの皿が空しく並んでいる。せっかく作ったシチューが、少しずつ冷めていく。

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