28 / 52
28. 一億度の業火
しおりを挟む
爆煙の中、それでもレヴィアは何とか体勢を立て直すと、渋い顔をしながらキノコ雲を抜け出していった。
「召喚早々手厚い歓迎じゃな……」
「ムカついたでしょ? 軍艦撃沈! いいね?」
シアンは鱗をペシペシ叩きながらレヴィアに気合を入れる。
「……。何も我に頼まれなくてもシアン様なら瞬殺……ですよね?」
「ブーッ! ドラゴンが軍艦をぶっ潰すからAIはビビるんじゃないか! 伝説の生き物らしく派手にやっちゃって!」
シアンは口をとがらせながら、こぶしでドスドスとレヴィアの鱗を叩いた。
レヴィアは『少女が軍艦ぶっ潰したほうがビビるのでは?』と言いかけてグッと言葉を飲み込んだ。
「か、かしこまりました」
レヴィアは力強く翼をはばたかせ、一旦空高く舞い上がると眼下に目標の自衛艦を確認する。
「あー、あさひ型護衛艦ですな……結構新型ですよ?」
「何? レヴィアはミリオタなの!? 兵器の型番とか覚えちゃう口? くふふふ……」
シアンは嬉しそうにペシペシと鱗を叩いて笑った。
「な、何言うんですか! 好きなアニメで出てきたんですよあいつは! この程度でミリオタ名乗ったらミリオタ警察に吊るし上げられますよ……」
「またまたぁ、照れちゃってからに!」
その時、護衛艦から白い煙がドドドッと上がった。
「あっ、ミサイルが来ますよ!」
「さっきのより小さいね。何て言うの?」
「……。RIM-162……のESSM……ですかね? 自分は詳しくないので……」
「知ってるじゃん! きゃははは!」
シアンは腹を抱えて爆笑し、レヴィアはつまらなそうに口をキュッと結んだ。
「……。で、あれ、どうするんですか?」
「避けて」
「は?」
「避けてよ。できるでしょ? あれ……何これ……」
シアンはさっきの爆発で髪の毛についてしまった埃に気づき、眉間にしわを寄せる。
「……。マジですか……」
「当たっても死なないでしょ?」
シアンは埃が気になって神経質そうに取り除いていく。
「シアン様撃ち落としてくださいよ! 死ななくてもメッチャ痛いんですよ!」
「今ちょっと忙しいの! 早く行って! GO!」
なかなか取れない埃にムッとしながらシアンは叫んだ。
「くぅぅぅ……。落ちないでくださいよ!」
他人事を決め込むシアンの無理難題に、レヴィアは泣きべそをかきながら覚悟を決める。
「よし、取れた! ミサイルに負けんなよ! 行っけーー!!」
シアンは晴れやかな顔でレヴィアを鼓舞した。
真紅の瞳をカッと見開き、マッハ3ですっ飛んでくる16発の対空ミサイルの挙動を見定めるレヴィア。
「ここじゃ! ソイヤー!」
ドラゴンの翼を巧みに操作し、ミサイル群の隙間を狙ってバレルロールしながらキリモミ飛行に持っていくレヴィア。ものすごい横Gがかかり、シアンはふっ飛ばされそうになりながら鱗のトゲにしがみつく。
「ヒャッホウ! きゃははは!」
ミサイルはその予測不可能な動きに翻弄され、レヴィアをかすめながらドン! ドン! ドン! という激しいソニックブームを残し、飛び去っていく。
「ヨッシャーァァァァ!」
レヴィアがそう叫んだ瞬間、護衛艦の艦首にある62口径の砲門が火を吹いた。
「マ、マズい……、くぅぅぅ」
慌てて回避行動をとろうと思ったものの、まだ態勢の整っていない巨体はすぐには動かない。弾着には間に合いそうになかった。
刹那、真っ青になってるレヴィアの前に巨大な黄金色の円が輝く。
へっ!?
それは精緻に術式が施された魔法陣だった。魔法陣の中で六芒星がぐるりと回り、直後、着弾した砲弾が魔法陣の向こうで激しい爆発を巻き起こす。魔法陣はシールドとして砲弾からレヴィアを守ったのだ。
「ミリオタ! 大砲忘れてちゃダメでしょー!」
シアンはドヤ顔で嬉しそうに叫ぶ。
「た、助かりました……」
「いいから反撃!」
護衛艦を指さし、鱗をペシペシ叩くシアン。
「りょ、了解!」
レヴィアは護衛艦の艦橋目がけ、急降下しながら大きく息を吸った。
ボウっとレヴィアの漆黒の鱗全体に黄金色の光が浮かび上がり、真紅の瞳が鮮やかに輝きを放つ。
「全力だぞ! 全力で行け!」
シアンはワクワクしながら嬉しそうに叫んだ。
十二分に気を貯めたレヴィアは艦橋に向け、パカッと巨大な口を開け放つ。
直後、激烈なオレンジ色のプラズマジェットが口の奥から噴出し、一瞬で護衛艦の艦橋がプラズマの炎に包まれる。
ゴォォォォ……。
地獄の業火のような恐ろしい轟音があたりに響き渡り、一億度のプラズマジェットであっという間に艦橋が溶け落ち始めた。
「ヒャッハー! ブラヴォー!!」
シアンはその圧倒的な業火に満足し、思いっきりこぶしを突き上げた。
レヴィアは艦橋の脇をすり抜け、海面スレスレを滑空すると翼を大きく羽ばたかせ、また青空へ高く舞い上がっていく……。
刹那、ズン! という爆発音が響き渡り、衝撃波が海面を同心円状に広がっていった。護衛艦の弾薬庫に火の手が回ったらしい。
ズン! ズン! と、次々と爆音を放ちながら護衛艦は黒煙を噴き上げ、やがて大きく傾き、東京湾の底へと引きずり込まれて行った。
「召喚早々手厚い歓迎じゃな……」
「ムカついたでしょ? 軍艦撃沈! いいね?」
シアンは鱗をペシペシ叩きながらレヴィアに気合を入れる。
「……。何も我に頼まれなくてもシアン様なら瞬殺……ですよね?」
「ブーッ! ドラゴンが軍艦をぶっ潰すからAIはビビるんじゃないか! 伝説の生き物らしく派手にやっちゃって!」
シアンは口をとがらせながら、こぶしでドスドスとレヴィアの鱗を叩いた。
レヴィアは『少女が軍艦ぶっ潰したほうがビビるのでは?』と言いかけてグッと言葉を飲み込んだ。
「か、かしこまりました」
レヴィアは力強く翼をはばたかせ、一旦空高く舞い上がると眼下に目標の自衛艦を確認する。
「あー、あさひ型護衛艦ですな……結構新型ですよ?」
「何? レヴィアはミリオタなの!? 兵器の型番とか覚えちゃう口? くふふふ……」
シアンは嬉しそうにペシペシと鱗を叩いて笑った。
「な、何言うんですか! 好きなアニメで出てきたんですよあいつは! この程度でミリオタ名乗ったらミリオタ警察に吊るし上げられますよ……」
「またまたぁ、照れちゃってからに!」
その時、護衛艦から白い煙がドドドッと上がった。
「あっ、ミサイルが来ますよ!」
「さっきのより小さいね。何て言うの?」
「……。RIM-162……のESSM……ですかね? 自分は詳しくないので……」
「知ってるじゃん! きゃははは!」
シアンは腹を抱えて爆笑し、レヴィアはつまらなそうに口をキュッと結んだ。
「……。で、あれ、どうするんですか?」
「避けて」
「は?」
「避けてよ。できるでしょ? あれ……何これ……」
シアンはさっきの爆発で髪の毛についてしまった埃に気づき、眉間にしわを寄せる。
「……。マジですか……」
「当たっても死なないでしょ?」
シアンは埃が気になって神経質そうに取り除いていく。
「シアン様撃ち落としてくださいよ! 死ななくてもメッチャ痛いんですよ!」
「今ちょっと忙しいの! 早く行って! GO!」
なかなか取れない埃にムッとしながらシアンは叫んだ。
「くぅぅぅ……。落ちないでくださいよ!」
他人事を決め込むシアンの無理難題に、レヴィアは泣きべそをかきながら覚悟を決める。
「よし、取れた! ミサイルに負けんなよ! 行っけーー!!」
シアンは晴れやかな顔でレヴィアを鼓舞した。
真紅の瞳をカッと見開き、マッハ3ですっ飛んでくる16発の対空ミサイルの挙動を見定めるレヴィア。
「ここじゃ! ソイヤー!」
ドラゴンの翼を巧みに操作し、ミサイル群の隙間を狙ってバレルロールしながらキリモミ飛行に持っていくレヴィア。ものすごい横Gがかかり、シアンはふっ飛ばされそうになりながら鱗のトゲにしがみつく。
「ヒャッホウ! きゃははは!」
ミサイルはその予測不可能な動きに翻弄され、レヴィアをかすめながらドン! ドン! ドン! という激しいソニックブームを残し、飛び去っていく。
「ヨッシャーァァァァ!」
レヴィアがそう叫んだ瞬間、護衛艦の艦首にある62口径の砲門が火を吹いた。
「マ、マズい……、くぅぅぅ」
慌てて回避行動をとろうと思ったものの、まだ態勢の整っていない巨体はすぐには動かない。弾着には間に合いそうになかった。
刹那、真っ青になってるレヴィアの前に巨大な黄金色の円が輝く。
へっ!?
それは精緻に術式が施された魔法陣だった。魔法陣の中で六芒星がぐるりと回り、直後、着弾した砲弾が魔法陣の向こうで激しい爆発を巻き起こす。魔法陣はシールドとして砲弾からレヴィアを守ったのだ。
「ミリオタ! 大砲忘れてちゃダメでしょー!」
シアンはドヤ顔で嬉しそうに叫ぶ。
「た、助かりました……」
「いいから反撃!」
護衛艦を指さし、鱗をペシペシ叩くシアン。
「りょ、了解!」
レヴィアは護衛艦の艦橋目がけ、急降下しながら大きく息を吸った。
ボウっとレヴィアの漆黒の鱗全体に黄金色の光が浮かび上がり、真紅の瞳が鮮やかに輝きを放つ。
「全力だぞ! 全力で行け!」
シアンはワクワクしながら嬉しそうに叫んだ。
十二分に気を貯めたレヴィアは艦橋に向け、パカッと巨大な口を開け放つ。
直後、激烈なオレンジ色のプラズマジェットが口の奥から噴出し、一瞬で護衛艦の艦橋がプラズマの炎に包まれる。
ゴォォォォ……。
地獄の業火のような恐ろしい轟音があたりに響き渡り、一億度のプラズマジェットであっという間に艦橋が溶け落ち始めた。
「ヒャッハー! ブラヴォー!!」
シアンはその圧倒的な業火に満足し、思いっきりこぶしを突き上げた。
レヴィアは艦橋の脇をすり抜け、海面スレスレを滑空すると翼を大きく羽ばたかせ、また青空へ高く舞い上がっていく……。
刹那、ズン! という爆発音が響き渡り、衝撃波が海面を同心円状に広がっていった。護衛艦の弾薬庫に火の手が回ったらしい。
ズン! ズン! と、次々と爆音を放ちながら護衛艦は黒煙を噴き上げ、やがて大きく傾き、東京湾の底へと引きずり込まれて行った。
0
あなたにおすすめの小説
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
アガルタ・クライシス ―接点―
来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。
九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。
同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。
不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。
古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる