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2-2. 偉大なる神代真龍
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二人はトレーに山盛りのベーコンなどを載せて窓際の席に座った。
ヴィクトルはサンドイッチを一口かじり、じんわりと広がる肉と野菜とドレッシングのハーモニーに恍惚となる。
「美味い……。食べ物ってこんなに美味かったのか……」
そう言いながら目をつぶり、一年ぶりのまともな食事に感動していた。
ルコアはベーコンを手づかみで持ち上げると、そのままモリモリかじり始める。
美しい銀髪の女性が、ベーコンを美味しそうにむさぼる様はあまりに異様で、他の客たちは唖然としてその様子をチラチラと見ていた。
サンドイッチを堪能し、コーヒーをすすりながらヴィクトルはルコアに言った。
「ルコアのこと教えてよ」
「はい! なんでも聞いてください」
ルコアはゴクンとベーコンを丸呑みにすると答えた。
「どうやって生まれて、あそこで何してたとか……」
「生まれたのは今から千年位前ですかね? 神代真龍のレヴィア様に作られました」
「ちょ、ちょっと待って。神代真龍……って何?」
ヴィクトルはいきなり出された聞き覚えのない龍の名前を聞き返す。
「あ、この世界を管理されている龍ですよ」
「管理? どういうこと?」
「魔物とか魔法とかを生み出した方です」
ヴィクトルは唖然とした。
魔物の存在には以前から違和感があり、それは龍が作ったものだと聞いてなんとなく分からないこともなかったが、魔法まで作られたものだと聞いて混乱してしまう。魔法とはこの世界の基本にあるものだとばかり思い、八十年も一生懸命その研究を続けてきた前世、その基盤が揺らぐような爆弾発言にヴィクトルは目の前がくらくらした。
「ちょ、ちょっと待って。もしかして千年前には魔法ってなかったの?」
「そうですよ?」
ルコアは当たり前のようにそう言うと、またベーコンをかじって丸呑みした。
ヴィクトルは思わず頭を抱え、一体どういうことかと必死に考える。
体内にある魔力を練り上げ、呪文の術式に載せて力として具現化する……。その行為のどこからが作られたものだろうか? もしかして……、全部……。
嫌な汗がじわっとわくのをヴィクトルは感じた。
「もしかして魔力って……、その、レヴィア様が作った……もの?」
ヴィクトルは恐る恐る聞く。
「そうですよ? HPもMPも魔力も攻撃力もステータスは全部レヴィア様が設定されました」
ヴィクトルは思わず天を仰いだ。
何ということだろうか。今まで当たり前だと思っていたステータス、魔法、魔物、これらはすべて龍によって千年前に作られたものだったとは……。
これらがない世界が本当の世界……、本当の世界ってどんな風になるのだろうか? すでに魔法は社会で広く使われてしまっている。ヴィクトルは、魔法が無くなってしまったら、どうなるのかを思い描いたが……、魔力エネルギーも治療院も無くなったら社会は回らない。思わず背筋が凍って、ブルっと身震いをした。
そもそも魔法なんてどうやって作るのか? ヴィクトルは全く想像を絶する話に言葉を失う。
「主さま? 大丈夫ですか?」
ルコアはキョトンとした顔で、うなだれるヴィクトルを見た。
「その……、レヴィア様には会うことは……できるのかな?」
「はい、ご案内しますよ?」
ルコアはニコニコしながら言う。
「分かった。落ち着いたらお願いするね」
ヴィクトルはそう言うとコーヒーをグッと飲んで目をつぶり、自分の中で大きく崩れてしまった世界観に、どう付き合っていけばいいか思索に沈む。
魔法も魔物も作り物……、それはヴィクトルにとって今後の生き方にもかかわる重大な事件だった。
ヴィクトルはサンドイッチを一口かじり、じんわりと広がる肉と野菜とドレッシングのハーモニーに恍惚となる。
「美味い……。食べ物ってこんなに美味かったのか……」
そう言いながら目をつぶり、一年ぶりのまともな食事に感動していた。
ルコアはベーコンを手づかみで持ち上げると、そのままモリモリかじり始める。
美しい銀髪の女性が、ベーコンを美味しそうにむさぼる様はあまりに異様で、他の客たちは唖然としてその様子をチラチラと見ていた。
サンドイッチを堪能し、コーヒーをすすりながらヴィクトルはルコアに言った。
「ルコアのこと教えてよ」
「はい! なんでも聞いてください」
ルコアはゴクンとベーコンを丸呑みにすると答えた。
「どうやって生まれて、あそこで何してたとか……」
「生まれたのは今から千年位前ですかね? 神代真龍のレヴィア様に作られました」
「ちょ、ちょっと待って。神代真龍……って何?」
ヴィクトルはいきなり出された聞き覚えのない龍の名前を聞き返す。
「あ、この世界を管理されている龍ですよ」
「管理? どういうこと?」
「魔物とか魔法とかを生み出した方です」
ヴィクトルは唖然とした。
魔物の存在には以前から違和感があり、それは龍が作ったものだと聞いてなんとなく分からないこともなかったが、魔法まで作られたものだと聞いて混乱してしまう。魔法とはこの世界の基本にあるものだとばかり思い、八十年も一生懸命その研究を続けてきた前世、その基盤が揺らぐような爆弾発言にヴィクトルは目の前がくらくらした。
「ちょ、ちょっと待って。もしかして千年前には魔法ってなかったの?」
「そうですよ?」
ルコアは当たり前のようにそう言うと、またベーコンをかじって丸呑みした。
ヴィクトルは思わず頭を抱え、一体どういうことかと必死に考える。
体内にある魔力を練り上げ、呪文の術式に載せて力として具現化する……。その行為のどこからが作られたものだろうか? もしかして……、全部……。
嫌な汗がじわっとわくのをヴィクトルは感じた。
「もしかして魔力って……、その、レヴィア様が作った……もの?」
ヴィクトルは恐る恐る聞く。
「そうですよ? HPもMPも魔力も攻撃力もステータスは全部レヴィア様が設定されました」
ヴィクトルは思わず天を仰いだ。
何ということだろうか。今まで当たり前だと思っていたステータス、魔法、魔物、これらはすべて龍によって千年前に作られたものだったとは……。
これらがない世界が本当の世界……、本当の世界ってどんな風になるのだろうか? すでに魔法は社会で広く使われてしまっている。ヴィクトルは、魔法が無くなってしまったら、どうなるのかを思い描いたが……、魔力エネルギーも治療院も無くなったら社会は回らない。思わず背筋が凍って、ブルっと身震いをした。
そもそも魔法なんてどうやって作るのか? ヴィクトルは全く想像を絶する話に言葉を失う。
「主さま? 大丈夫ですか?」
ルコアはキョトンとした顔で、うなだれるヴィクトルを見た。
「その……、レヴィア様には会うことは……できるのかな?」
「はい、ご案内しますよ?」
ルコアはニコニコしながら言う。
「分かった。落ち着いたらお願いするね」
ヴィクトルはそう言うとコーヒーをグッと飲んで目をつぶり、自分の中で大きく崩れてしまった世界観に、どう付き合っていけばいいか思索に沈む。
魔法も魔物も作り物……、それはヴィクトルにとって今後の生き方にもかかわる重大な事件だった。
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