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第四章 シグルド20歳~ ケヴィン26歳~ アネット25歳(?)~
四章-2
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身寄りがなく、邸外に知り合いがいないと思えば、アネットが頼れる先は見当もつかないだろう。
父が捜し出せなかったのは、ケヴィンを介して彼女が知り合いを得ていたことまで突きとめられなかったからだ。
事情に通じ、この二年王都に残っていた人物はただ一人。
焦る気持ちを抑えながら遠縁のコットニー伯爵家を訪れ、通された応接室でソファに腰掛け面会を求めた人物が現れるのをじりじりと待った。
その人物はばたばたと廊下を走ってきてせわしなく扉をたたき、ケヴィンが返事をしないうちに勢いよく入ってきた。
「ケヴィン様! お久しぶりです!」
二十歳過ぎだというのにいまだ十代と言っても差し支えなさそうな童顔をした、明るい茶色の髪をしたロアル青年は、扉を閉めるのもそこそこに、ケヴィンの側まで駆け寄ってきた。
ロアルは五年前、ケヴィンが戦場に行くことになった際に従者の任を解かれ、現在ここコットニー伯爵家で働いている。
……この落ち着きのなさを見るに、かつてのダメ従者ぶりからろくに成長できていないのではと想像がついて、ため息をつきたくなる。
ロアルは貴族のはしくれとはいえ、一介の従者に過ぎない。他人の面倒を見れるだけの立場も財力も持ち合わせていなかったが、彼女が頼れる人物といったらロアルしか思いつかなかった。だが、こんなロアルの様子を見ていると、彼女を保護できたとは到底思えない。
見当違いなところに来てしまったかと落胆するケヴィンをよそに、ロアルは両手を胸の前で組み合わせて感激に目をうるませる。
「迎えに来てくれたんですね!」
わけのわからないことを言われて、ケヴィンは眉をひそめた。
「迎え?」
「もう戦場に行かなくてもよくなったから、また僕をケヴィン様の従者にしてくださるんですよね?」
「いや、その予定はない。そんなことより聞きたいことがある」
喜々として表情を輝かせていたロアルは、ケヴィンの返答を聞いてたちまち情けない顔になった。
「“そんなことより”ですか……」
ロアルはがっくり肩を落とす。
ケヴィンの従者になったことで、近衛隊士たちにからかわれたり、たかられたりと散々な目に遭わされたはずなのに、本気で戻りたいと思っているのだろうか。ケヴィン自身もロアルの扱いに困り、ろくな仕事を任せなかった。仕事を与えられることなくただついて回るのはつらいはず。ケヴィンがロアルの立場だったら、戻って来なくていいと言われたら喜ぶところだ。……ロアルを見ていると、言っては何だが、バカ犬になつかれたような気分になってくる。
何事にもめげることのない気質も健在なのか、ロアルはすぐさま気を取り直した。
「聞きたいことって、アネットさんのことですか?」
「知っているのか!」
思わず立ち上がって問うと、ロアルは困ったように眉尻を下げる。
「すみません。それは言えないんです」
「言えない?」
奇妙な物言いに、ケヴィンは眉をひそめる。“知っているか”と聞いたのに“言えない”と返すその意味にたどり着く前に、ロアルはこの場にそぐわない微笑みを浮かべて言った。
「アネットさんとの約束ですから」
考えてみれば、ロアルも父クリフォード公爵が彼女を捜していたことは知っていただろう。なのに知らせようとしなかったのは、彼女に口止めされていたからということか。
「彼女は無事なのか?」
「ええ。お子様も無事に生まれて、元気に育っています」
子ども──。
ケヴィンは息を飲む。
一生を添い遂げたいと思った相手との間に生まれた。最初に聞かされたときは呆然とし無責任なヘリオットに腹を立てるばかりだったが、実際目にしているというロアルから聞かされると、実感がわくとは言い難いものの、にわかに幸福感が心にあふれ、同時に側にいられなかった寂寥感と罪悪感にさいなまれる。
喜びを分かち合いたいと思ってはくれなかったのか。子どもはどのように生まれ、どんなふうに育っていっているのか。一人で産んで育てて、ケヴィンがきちんと保護を頼んでいかなかったばかりに苦労をさせてしまって……。
「そうか……」
思いが入り乱れて形にならず、口にできた感想はこれだけだった。それでも無事と聞けたことで幾分安心したケヴィンは、ロアルに向けていたきつい視線をやわらげる。
自分の感情は頭の隅に追いやり、ケヴィンは改めて問いかけた。
「それで、彼女は今どこにいる?」
ロアルは肩をすくめて苦笑した。
「ですからそれは言えないんですって。たとえケヴィン様が僕を従者に戻すと言ってくださっても言うわけにはいきません」
「もっといい条件を出せば話すと言うのか?」
「ひどいなぁ。ケヴィン様が僕に提示できる条件の中でも、最高のものを言ったつもりなんですけど」
あからさまにがっかりした様子で肩を落とすロアルに、ケヴィンはぴしゃり言い放つ。
「おまえの無駄口につきあっている暇はない。わたしはどうしても彼女と会って話をしなくてはならないんだ」
にらみつけてやると、ようやくケヴィンのいらだちに気付き、ロアルはふざけた態度を改め申し訳なさそうに答えた。
「それは絶対言えません。僕、アネットさんに脅されてるんです。今いる場所を誰かに話したりしたら、その場所からも逃げ出すからって。身寄りのないアネットさんがそこからも逃げ出したりしたら、次に頼れるあてなんてない。路頭に迷ったりしたら、アネットさんは、お子様も生きていけない。だから僕はずっと口をつぐんできたんです」
バラしたらその場からも逃げ出す、か。彼女なら言い出しそうなことだ。
彼女の考えは手に取るようにわかりやすい。
自分を押し殺し、他者ばかりを優先する。
だが、わかっていない。少なくともケヴィンはそのようなことを望んでいないと。
「逃げ出す隙を与えずにつかまえるつもりだ。わたしには彼女を納得するまで説得する用意がある。決して彼女の意に染まぬことを強要するつもりはない。だから教えてくれ。──頼む」
ケヴィンはロアルをじっと見つめたが、ロアルは瞳を揺らすことはなかった。
「ダメです。アネットさんの信頼を裏切るわけにはいきませんから」
ロアルも存外頑固であるらしい。こういう目をした人間の説得は並大抵の努力ではかなわないと学習しているケヴィンは、あきらめて小さくため息をついた。
確認が取れただけでも収穫だ。あきらめずに探し続ければいつか必ず見つかる。
「わかった。邪魔をしたな」
ロアルの横をすり抜けて、ケヴィンは出口へと向かう。休暇はまだ半日残っている。この先いつ休暇が取れるかわからないから、時間は大切にしなくてはならない。
気持ちを新たにしてドアノブに手をかけようとすると、ロアルがわざとらしくしゃべりはじめた。
「僕、たまにアネットさんの様子を見に行ってるんですよね。最近ごぶさたしてたから、近いうちに外出の許可をもらって見に行ってこようかなぁ」
驚いて振り返れば、ロアルは悪びれない顔をしてにこっと笑う。
「居場所は口にしてませんよ? アネットさんとの約束ですからね。居場所だけはぜーったいに言いません。ケヴィン様も僕が教えたなんて、間違ってもアネットさんに言わないでくださいよ?」
まだるっこしいことをする……。
ケヴィンは内心あきれつつ、口の端をわずかに上げた。
「わかった、感謝する。──この礼とは言わないが、伯爵におまえを返してもらえるよう話をつけよう」
するとロアルは、今にも泣き出しそうに顔をくしゃくしゃにして大きく頭を下げた。
「あ、ありがとうございます!」
言動につい騙されてしまうが、ロアルは決して頭は悪くない。機転が効いて、主人に懸命に尽くそうとする。
ケヴィンはいい従者に恵まれたのかもしれない。
「コットニー伯爵は、今どちらに?」
「本日は邸におられます」
「取り次いでもらえるか?」
「はい!」
ロアルは入って来た時と同じように、元気に飛び出していく。
ケヴィンはソファに戻って背もたれに体を預けると、瞼を閉じて思いをはせた。
彼女と子どもの無事だけでなく、ケヴィンは他に確信するものがある。
ロアルの話ぶりからして、彼女はまだ自分が身を隠すべきだと思っているのだろう。彼女が身を隠さなければならない理由はただ一つ。
そう。彼女の想いは今もケヴィンにある。
それさえわかれば、もう迷わない。
膝の上に置いた手のひらをぎゅっと握り込む。
彼女をもうすぐ手に入れられる喜びを、そうしてしばし噛みしめていた。
父が捜し出せなかったのは、ケヴィンを介して彼女が知り合いを得ていたことまで突きとめられなかったからだ。
事情に通じ、この二年王都に残っていた人物はただ一人。
焦る気持ちを抑えながら遠縁のコットニー伯爵家を訪れ、通された応接室でソファに腰掛け面会を求めた人物が現れるのをじりじりと待った。
その人物はばたばたと廊下を走ってきてせわしなく扉をたたき、ケヴィンが返事をしないうちに勢いよく入ってきた。
「ケヴィン様! お久しぶりです!」
二十歳過ぎだというのにいまだ十代と言っても差し支えなさそうな童顔をした、明るい茶色の髪をしたロアル青年は、扉を閉めるのもそこそこに、ケヴィンの側まで駆け寄ってきた。
ロアルは五年前、ケヴィンが戦場に行くことになった際に従者の任を解かれ、現在ここコットニー伯爵家で働いている。
……この落ち着きのなさを見るに、かつてのダメ従者ぶりからろくに成長できていないのではと想像がついて、ため息をつきたくなる。
ロアルは貴族のはしくれとはいえ、一介の従者に過ぎない。他人の面倒を見れるだけの立場も財力も持ち合わせていなかったが、彼女が頼れる人物といったらロアルしか思いつかなかった。だが、こんなロアルの様子を見ていると、彼女を保護できたとは到底思えない。
見当違いなところに来てしまったかと落胆するケヴィンをよそに、ロアルは両手を胸の前で組み合わせて感激に目をうるませる。
「迎えに来てくれたんですね!」
わけのわからないことを言われて、ケヴィンは眉をひそめた。
「迎え?」
「もう戦場に行かなくてもよくなったから、また僕をケヴィン様の従者にしてくださるんですよね?」
「いや、その予定はない。そんなことより聞きたいことがある」
喜々として表情を輝かせていたロアルは、ケヴィンの返答を聞いてたちまち情けない顔になった。
「“そんなことより”ですか……」
ロアルはがっくり肩を落とす。
ケヴィンの従者になったことで、近衛隊士たちにからかわれたり、たかられたりと散々な目に遭わされたはずなのに、本気で戻りたいと思っているのだろうか。ケヴィン自身もロアルの扱いに困り、ろくな仕事を任せなかった。仕事を与えられることなくただついて回るのはつらいはず。ケヴィンがロアルの立場だったら、戻って来なくていいと言われたら喜ぶところだ。……ロアルを見ていると、言っては何だが、バカ犬になつかれたような気分になってくる。
何事にもめげることのない気質も健在なのか、ロアルはすぐさま気を取り直した。
「聞きたいことって、アネットさんのことですか?」
「知っているのか!」
思わず立ち上がって問うと、ロアルは困ったように眉尻を下げる。
「すみません。それは言えないんです」
「言えない?」
奇妙な物言いに、ケヴィンは眉をひそめる。“知っているか”と聞いたのに“言えない”と返すその意味にたどり着く前に、ロアルはこの場にそぐわない微笑みを浮かべて言った。
「アネットさんとの約束ですから」
考えてみれば、ロアルも父クリフォード公爵が彼女を捜していたことは知っていただろう。なのに知らせようとしなかったのは、彼女に口止めされていたからということか。
「彼女は無事なのか?」
「ええ。お子様も無事に生まれて、元気に育っています」
子ども──。
ケヴィンは息を飲む。
一生を添い遂げたいと思った相手との間に生まれた。最初に聞かされたときは呆然とし無責任なヘリオットに腹を立てるばかりだったが、実際目にしているというロアルから聞かされると、実感がわくとは言い難いものの、にわかに幸福感が心にあふれ、同時に側にいられなかった寂寥感と罪悪感にさいなまれる。
喜びを分かち合いたいと思ってはくれなかったのか。子どもはどのように生まれ、どんなふうに育っていっているのか。一人で産んで育てて、ケヴィンがきちんと保護を頼んでいかなかったばかりに苦労をさせてしまって……。
「そうか……」
思いが入り乱れて形にならず、口にできた感想はこれだけだった。それでも無事と聞けたことで幾分安心したケヴィンは、ロアルに向けていたきつい視線をやわらげる。
自分の感情は頭の隅に追いやり、ケヴィンは改めて問いかけた。
「それで、彼女は今どこにいる?」
ロアルは肩をすくめて苦笑した。
「ですからそれは言えないんですって。たとえケヴィン様が僕を従者に戻すと言ってくださっても言うわけにはいきません」
「もっといい条件を出せば話すと言うのか?」
「ひどいなぁ。ケヴィン様が僕に提示できる条件の中でも、最高のものを言ったつもりなんですけど」
あからさまにがっかりした様子で肩を落とすロアルに、ケヴィンはぴしゃり言い放つ。
「おまえの無駄口につきあっている暇はない。わたしはどうしても彼女と会って話をしなくてはならないんだ」
にらみつけてやると、ようやくケヴィンのいらだちに気付き、ロアルはふざけた態度を改め申し訳なさそうに答えた。
「それは絶対言えません。僕、アネットさんに脅されてるんです。今いる場所を誰かに話したりしたら、その場所からも逃げ出すからって。身寄りのないアネットさんがそこからも逃げ出したりしたら、次に頼れるあてなんてない。路頭に迷ったりしたら、アネットさんは、お子様も生きていけない。だから僕はずっと口をつぐんできたんです」
バラしたらその場からも逃げ出す、か。彼女なら言い出しそうなことだ。
彼女の考えは手に取るようにわかりやすい。
自分を押し殺し、他者ばかりを優先する。
だが、わかっていない。少なくともケヴィンはそのようなことを望んでいないと。
「逃げ出す隙を与えずにつかまえるつもりだ。わたしには彼女を納得するまで説得する用意がある。決して彼女の意に染まぬことを強要するつもりはない。だから教えてくれ。──頼む」
ケヴィンはロアルをじっと見つめたが、ロアルは瞳を揺らすことはなかった。
「ダメです。アネットさんの信頼を裏切るわけにはいきませんから」
ロアルも存外頑固であるらしい。こういう目をした人間の説得は並大抵の努力ではかなわないと学習しているケヴィンは、あきらめて小さくため息をついた。
確認が取れただけでも収穫だ。あきらめずに探し続ければいつか必ず見つかる。
「わかった。邪魔をしたな」
ロアルの横をすり抜けて、ケヴィンは出口へと向かう。休暇はまだ半日残っている。この先いつ休暇が取れるかわからないから、時間は大切にしなくてはならない。
気持ちを新たにしてドアノブに手をかけようとすると、ロアルがわざとらしくしゃべりはじめた。
「僕、たまにアネットさんの様子を見に行ってるんですよね。最近ごぶさたしてたから、近いうちに外出の許可をもらって見に行ってこようかなぁ」
驚いて振り返れば、ロアルは悪びれない顔をしてにこっと笑う。
「居場所は口にしてませんよ? アネットさんとの約束ですからね。居場所だけはぜーったいに言いません。ケヴィン様も僕が教えたなんて、間違ってもアネットさんに言わないでくださいよ?」
まだるっこしいことをする……。
ケヴィンは内心あきれつつ、口の端をわずかに上げた。
「わかった、感謝する。──この礼とは言わないが、伯爵におまえを返してもらえるよう話をつけよう」
するとロアルは、今にも泣き出しそうに顔をくしゃくしゃにして大きく頭を下げた。
「あ、ありがとうございます!」
言動につい騙されてしまうが、ロアルは決して頭は悪くない。機転が効いて、主人に懸命に尽くそうとする。
ケヴィンはいい従者に恵まれたのかもしれない。
「コットニー伯爵は、今どちらに?」
「本日は邸におられます」
「取り次いでもらえるか?」
「はい!」
ロアルは入って来た時と同じように、元気に飛び出していく。
ケヴィンはソファに戻って背もたれに体を預けると、瞼を閉じて思いをはせた。
彼女と子どもの無事だけでなく、ケヴィンは他に確信するものがある。
ロアルの話ぶりからして、彼女はまだ自分が身を隠すべきだと思っているのだろう。彼女が身を隠さなければならない理由はただ一つ。
そう。彼女の想いは今もケヴィンにある。
それさえわかれば、もう迷わない。
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