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全面戦争
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「はあ…はあ…何が起こったんだろ…はあ…」
ヴァルカンは必死で逃げる人の波を掻き分けて街の中心部へと到達する。
「はあ…何とかして僕だけで敵を倒せればいいんだけど…流石に無理だよね…せめてこの街の人全員が逃げ切れるまで時間を稼げれば……」
ヴァルカンが一人で自分の考えをまとめていると、不意に上から甲高い笑い声が聞こえてきた。
「あははははっ!ねえねえそこの君っ!君は王家の人間だよねっ!そうだよねっ!本当にこの街にやってきたっ!作戦成功だっ!あははははっ!」
その男は両手で巨大な鎌を持っていた。
ヴァルカンは即座に剣を抜いた。
大丈夫、力の使い方は分かっている。
それに、僅かだが訓練もしてある。
ヴァルカンはそう自分に言い聞かせ、目の前の敵と対峙する。
ヴァルカンの武器は見た目こそは至って普通の剣だが、中身は違う。
この剣は龍の体の一部から創られたとされる神器の一つで、龍の血を引く者が使用する時に限り、龍の力を一時的に増幅させるという特殊な武器だ。
「お前が『反逆軍』の隊長なのか?」
ヴァルカンの声は普段より低くなっていた。
「あはははっ!そうだよそうだよっ!僕が『反逆軍』四番隊隊長っ!神器っ!ハルパー使いのアダマスだよっ!あはははっ!」
神器使い?王家の持つ物以外にもあったのか?
ヴァルカンの中で様々な疑問が一気に浮き出た。
しかし、それ以上考える事は出来なかった。
「あははははっ!それじゃっ!早速殺すよっ!あははははっ!」
アダマスが屋根から飛び降り、その勢いのままヴァルカンに切り掛かる。
ヴァルカンは反射的に剣で受けようとした。
しかし、最終的にはそうせずに、後ろに飛び退き、ぎりぎりで鎌を避けた。
アダマスは鎌を振り下ろした姿勢のまま口を開く。
「へえ…避けるんだ…もしかして、もうこの武器の特性が分かっちゃったの?だったら君、僕の嫌いなタイプだよ」
その声はさっきまでのハイテンションなものとは正反対な、暗く、重い声だった。
「僕はね、殺すのが好きなんだ。だから殺せない人がとっても嫌いなんだ。さっきので君を殺せなかったから僕はもう君の事が嫌いになった。だから死んでよ。嫌いな人間はいなくなって欲しいのは当たり前だよね?」
そう言って距離を詰め、さらに鎌で何回も切り掛かる。
ヴァルカンはただひたすらに攻撃を避け続けた。
何故かは分からないが、あの鎌の攻撃を受けたらダメな予感がするのだ。
言ってしまえばただの勘なのだが、昔からヴァルカンはその勘が凄まじかった。
だからこそ断言できる。
あの攻撃を一回も受けてはいけない!
しかし、このまま避け続けていても状況の打開はできないだろう。
仕方がない。
下手をすればより状況を悪化させてしまうかもしれないが、このまま殺されるわけにもいかない。
ヴァルカンは覚悟を決め、龍の力を解放させた。
ヴァルカンは必死で逃げる人の波を掻き分けて街の中心部へと到達する。
「はあ…何とかして僕だけで敵を倒せればいいんだけど…流石に無理だよね…せめてこの街の人全員が逃げ切れるまで時間を稼げれば……」
ヴァルカンが一人で自分の考えをまとめていると、不意に上から甲高い笑い声が聞こえてきた。
「あははははっ!ねえねえそこの君っ!君は王家の人間だよねっ!そうだよねっ!本当にこの街にやってきたっ!作戦成功だっ!あははははっ!」
その男は両手で巨大な鎌を持っていた。
ヴァルカンは即座に剣を抜いた。
大丈夫、力の使い方は分かっている。
それに、僅かだが訓練もしてある。
ヴァルカンはそう自分に言い聞かせ、目の前の敵と対峙する。
ヴァルカンの武器は見た目こそは至って普通の剣だが、中身は違う。
この剣は龍の体の一部から創られたとされる神器の一つで、龍の血を引く者が使用する時に限り、龍の力を一時的に増幅させるという特殊な武器だ。
「お前が『反逆軍』の隊長なのか?」
ヴァルカンの声は普段より低くなっていた。
「あはははっ!そうだよそうだよっ!僕が『反逆軍』四番隊隊長っ!神器っ!ハルパー使いのアダマスだよっ!あはははっ!」
神器使い?王家の持つ物以外にもあったのか?
ヴァルカンの中で様々な疑問が一気に浮き出た。
しかし、それ以上考える事は出来なかった。
「あははははっ!それじゃっ!早速殺すよっ!あははははっ!」
アダマスが屋根から飛び降り、その勢いのままヴァルカンに切り掛かる。
ヴァルカンは反射的に剣で受けようとした。
しかし、最終的にはそうせずに、後ろに飛び退き、ぎりぎりで鎌を避けた。
アダマスは鎌を振り下ろした姿勢のまま口を開く。
「へえ…避けるんだ…もしかして、もうこの武器の特性が分かっちゃったの?だったら君、僕の嫌いなタイプだよ」
その声はさっきまでのハイテンションなものとは正反対な、暗く、重い声だった。
「僕はね、殺すのが好きなんだ。だから殺せない人がとっても嫌いなんだ。さっきので君を殺せなかったから僕はもう君の事が嫌いになった。だから死んでよ。嫌いな人間はいなくなって欲しいのは当たり前だよね?」
そう言って距離を詰め、さらに鎌で何回も切り掛かる。
ヴァルカンはただひたすらに攻撃を避け続けた。
何故かは分からないが、あの鎌の攻撃を受けたらダメな予感がするのだ。
言ってしまえばただの勘なのだが、昔からヴァルカンはその勘が凄まじかった。
だからこそ断言できる。
あの攻撃を一回も受けてはいけない!
しかし、このまま避け続けていても状況の打開はできないだろう。
仕方がない。
下手をすればより状況を悪化させてしまうかもしれないが、このまま殺されるわけにもいかない。
ヴァルカンは覚悟を決め、龍の力を解放させた。
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