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全面戦争
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王家の五人が動く少し前の事。
『うあああああああ!』
一瞬で崩壊した街の中で多くの人々が逃げ惑う。
僅かな時間で既に街にあるほとんどの建物が崩壊し、死人も大勢出ていた。
「あははははっ!いいねいいねっ!やっぱり殺しは楽しいよねっ!アレスっ!君もそう思うでしょっ!あはははっ!」
そんな崩壊した街の中では不似合いな笑い声が響く。
笑い声を上げた人物は家の屋根上に乗っており、両手に人一人分程の巨大な鎌を持っていた。
そして、よく見ると、その人物の近くに、もう一人の人物が立っていた。
「何故俺がわざわざこんな事をする必要がある?」
アレスと呼ばれた人物は上半身は裸の筋骨隆々とした男で、腕を組んで立っていた。
「あはははっ!別にいいじゃんっ!今ならどれだけ殺しても怒られないんだよっ!最高じゃんっ!あははははっ!」
鎌を持った男のテンションは異常に高いのに対し、アレスの立ち振る舞いはそれと対する様に静かだった。
「特に納得いかんのは、アダマス、貴様と共にこの任務に当たっているという事だ。この程度の任務なら俺が貴様のどちらか片方だけでも達成できたはずだ」
「あははははっ!でもでもっ!それは仕方ないでしょっ!そもそもあのお方からの命令なんだしっ!君は本当に僕の事が嫌いなんだねっ!あははははっ!」
アレスが苛立たしげに言う。
「その不愉快な笑い方をやめろと何回言ったら貴様は分かるんだ?」
「あはははっ!こればっかりは癖だから仕方ないよねっ!あはははっ!」
アダマスという男はしばらく笑い続けた。
「でもでもっ!君が僕を嫌ってるみたいにっ!僕も君の事はすっごく嫌いだよっ!だって君っ!全然殺せないんだもんっ!あはははっ!」
そう言いながらアダマスはアレスに向かって鎌を振り下ろす。
アレスは、アダマスの方を見もしないで、人差し指と中指だけで鎌の軌道を止めた。
「どういうつもりだ?」
「あはははっ!ほらねほらねっ!殺せないっ!僕は殺そうとしても殺せない人間が大嫌いなんだっ!だってぼくは殺すのが大好きだからねっ!あはははっ!」
「貴様…次その笑い声を俺に聞かせたら本気で殺すぞ…」
すると、それまでの間ずっと笑顔だったアダマスから表情が消え、声からも明るさが消えた。
「あっそ、まあ、いいや。僕は殺すのは好きだけど殺されるのは嫌だからね。君の方が強いうちは君に従うよ」
アダマスがそう言うと、アレスがようやく鎌から指を離した。
どうやらアダマスは鎌を完全に固定され、動けなかったらしい。
鎌の男は笑い声こそ出さなかったものの、声の明るさと笑顔を取り戻して言う。
「それじゃあっ!もっともっと殺してっ!王家の当主達を誘い出して殺そうっ!」
『うあああああああ!』
一瞬で崩壊した街の中で多くの人々が逃げ惑う。
僅かな時間で既に街にあるほとんどの建物が崩壊し、死人も大勢出ていた。
「あははははっ!いいねいいねっ!やっぱり殺しは楽しいよねっ!アレスっ!君もそう思うでしょっ!あはははっ!」
そんな崩壊した街の中では不似合いな笑い声が響く。
笑い声を上げた人物は家の屋根上に乗っており、両手に人一人分程の巨大な鎌を持っていた。
そして、よく見ると、その人物の近くに、もう一人の人物が立っていた。
「何故俺がわざわざこんな事をする必要がある?」
アレスと呼ばれた人物は上半身は裸の筋骨隆々とした男で、腕を組んで立っていた。
「あはははっ!別にいいじゃんっ!今ならどれだけ殺しても怒られないんだよっ!最高じゃんっ!あははははっ!」
鎌を持った男のテンションは異常に高いのに対し、アレスの立ち振る舞いはそれと対する様に静かだった。
「特に納得いかんのは、アダマス、貴様と共にこの任務に当たっているという事だ。この程度の任務なら俺が貴様のどちらか片方だけでも達成できたはずだ」
「あははははっ!でもでもっ!それは仕方ないでしょっ!そもそもあのお方からの命令なんだしっ!君は本当に僕の事が嫌いなんだねっ!あははははっ!」
アレスが苛立たしげに言う。
「その不愉快な笑い方をやめろと何回言ったら貴様は分かるんだ?」
「あはははっ!こればっかりは癖だから仕方ないよねっ!あはははっ!」
アダマスという男はしばらく笑い続けた。
「でもでもっ!君が僕を嫌ってるみたいにっ!僕も君の事はすっごく嫌いだよっ!だって君っ!全然殺せないんだもんっ!あはははっ!」
そう言いながらアダマスはアレスに向かって鎌を振り下ろす。
アレスは、アダマスの方を見もしないで、人差し指と中指だけで鎌の軌道を止めた。
「どういうつもりだ?」
「あはははっ!ほらねほらねっ!殺せないっ!僕は殺そうとしても殺せない人間が大嫌いなんだっ!だってぼくは殺すのが大好きだからねっ!あはははっ!」
「貴様…次その笑い声を俺に聞かせたら本気で殺すぞ…」
すると、それまでの間ずっと笑顔だったアダマスから表情が消え、声からも明るさが消えた。
「あっそ、まあ、いいや。僕は殺すのは好きだけど殺されるのは嫌だからね。君の方が強いうちは君に従うよ」
アダマスがそう言うと、アレスがようやく鎌から指を離した。
どうやらアダマスは鎌を完全に固定され、動けなかったらしい。
鎌の男は笑い声こそ出さなかったものの、声の明るさと笑顔を取り戻して言う。
「それじゃあっ!もっともっと殺してっ!王家の当主達を誘い出して殺そうっ!」
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