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42.アメリアの励まし
アメリアはコーネリアスの寝室を訪ね、静かにドアをノックする。誰だと問いかける声に名乗れば、少ししてドアがそっと開けられた。
「アメリア。もう用事は済んだのか?」
「ええ、先ほど。コーネリアス様、具合はいかがですか?」
「ああ。体力は少し落ちたが、剣を振るうのには問題ない。そのうち父上の近衛と模擬戦もできそうだ」
「そうではなくて」
アメリアはしかたなさそうに眉を下げてコーネリアスを見上げた。
「心の方を心配しているのです。茶会を前に、緊張いたしませんか?」
コーネリアスは少し表情を曇らせたが、あめりあがじっと見つめてきていることに気づくと、途端に弱々しい声で言った。
「まだ、わからない……」
少し迷ったあと、アメリアは自分に頷いて足を踏み出す。
「お部屋、入ってもよろしいでしょうか」
コーネリアスは明らかな動揺の色を示したが、それでも不安には勝てずアメリアを部屋に招き入れた。
扉を閉めると、コーネリアスは泣きそうな顔でアメリアに縋り付く。
「大丈夫だろうか……また父上の期待に添えなかったら、どうしよう……」
「やっぱり。本当にあなたって人は強がりなんですから」
アメリアはコーネリアスを長椅子まで連れていくと、そこに座らせて横からその頭を抱き寄せる。腕の中に抱いたコーネリアスは温かくて、それでいて子猫のように震えている。
そんなコーネリアスをよしよしとなだめながら、アメリアは頭を撫でてやる。
「大丈夫、大丈夫。あなたはちゃーんと今まで頑張ってきたんですから。魔法が効いたのはあなたが心を開いたから。怪我が早く治ったのもあなたがちゃんと休んだから。怪我をちゃんと治せたのは、あなたが頑張ったからなんですよ?」
「うん……でも、アメリアがいたからできたんだ」
「私はあなたのお手伝いをしただけ。頑張ったのはあなたの力なんですよ、だから大丈夫。王様にもちゃんと話せますから。ね?」
優しく囁きかけながらアメリアはコーネリアスを撫でていく。アメリアの言葉と励ましに震えていたコーネリアスは少しずつ落ち着きを取り戻していった。
アメリアの黄昏色の瞳が、優しくコーネリアスを見つめる。もぞもぞと動いてアメリアの腕からコーネリアスが顔を出した。潤んだ青色が優しく黄昏色に受け止められる。
「う、うぅ……」
コーネリアスは不安からぽろぽろと涙をこぼし、アメリアはそれをそっと指で拭ってやる。
「あなたならちゃんと話せますから。何を話して伝えたいのか、ちゃんと考えて。頑張ったってことも、王様にずっと言いたかったことも言えるのも、今のあなたならきっとできるから」
「うん、うん……」
「よしよし。ちゃんとできるから大丈夫ですよ。コーネリアス様」
「大丈夫かな……」
「きっとできますよ。隣で私も応援してますから。怖くなったら、ほら」
アメリアは優しくコーネリアスを撫でていた手を差し出し、コーネリアスに握らせる。しっかりと握手をしてアメリアはコーネリアスに笑いかけた。
「怖かったら、私の手をこうして握ってると思ってみてください。たとえ手が握れていなくても、この手を握ってる感触をちゃんと覚えてて? いつでも思い出せるように」
コーネリアスはきゅっとアメリアの手を握りしめ、何度も頷いてみせる。しなやかなアメリアの手をコーネリアスのしっかりした手が何度も握り返しては、覚えるように手指をなでさすっていった。
「覚えました?」
くすぐったくなりながらもアメリアが確認すれば、子供のような瞳でコーネリアスはこくんと頷く。
「よし! じゃあもう怖いものなんてありませんね」
ぽんぽん、と背中を叩いてアメリアはコーネリアスを励ました。コーネリアスもそれで踏ん切りがついたようで、顔つきがいつものようにきりっとしたものに変わりかけている。
「アメリア。私は私なりに頑張ってみようと思う。できる限り伝えたいことを伝えるつもりだ」
「ええ、よいことです」
「それで、なのだが……」
「はい?」
恥ずかしそうに視線を泳がせながら、コーネリアスはアメリアに言った。
「ちゃんとできた暁には、また、頭を撫でてほしい。頑張った、と」
やっぱりこの王子様は甘えん坊だ。自分にしか甘えてこないとびきりかわいい王子様に、アメリアはにっこりと笑ってみせた。
「もちろんですよ。そのときは目一杯甘やかしてあげますから」
「アメリア。もう用事は済んだのか?」
「ええ、先ほど。コーネリアス様、具合はいかがですか?」
「ああ。体力は少し落ちたが、剣を振るうのには問題ない。そのうち父上の近衛と模擬戦もできそうだ」
「そうではなくて」
アメリアはしかたなさそうに眉を下げてコーネリアスを見上げた。
「心の方を心配しているのです。茶会を前に、緊張いたしませんか?」
コーネリアスは少し表情を曇らせたが、あめりあがじっと見つめてきていることに気づくと、途端に弱々しい声で言った。
「まだ、わからない……」
少し迷ったあと、アメリアは自分に頷いて足を踏み出す。
「お部屋、入ってもよろしいでしょうか」
コーネリアスは明らかな動揺の色を示したが、それでも不安には勝てずアメリアを部屋に招き入れた。
扉を閉めると、コーネリアスは泣きそうな顔でアメリアに縋り付く。
「大丈夫だろうか……また父上の期待に添えなかったら、どうしよう……」
「やっぱり。本当にあなたって人は強がりなんですから」
アメリアはコーネリアスを長椅子まで連れていくと、そこに座らせて横からその頭を抱き寄せる。腕の中に抱いたコーネリアスは温かくて、それでいて子猫のように震えている。
そんなコーネリアスをよしよしとなだめながら、アメリアは頭を撫でてやる。
「大丈夫、大丈夫。あなたはちゃーんと今まで頑張ってきたんですから。魔法が効いたのはあなたが心を開いたから。怪我が早く治ったのもあなたがちゃんと休んだから。怪我をちゃんと治せたのは、あなたが頑張ったからなんですよ?」
「うん……でも、アメリアがいたからできたんだ」
「私はあなたのお手伝いをしただけ。頑張ったのはあなたの力なんですよ、だから大丈夫。王様にもちゃんと話せますから。ね?」
優しく囁きかけながらアメリアはコーネリアスを撫でていく。アメリアの言葉と励ましに震えていたコーネリアスは少しずつ落ち着きを取り戻していった。
アメリアの黄昏色の瞳が、優しくコーネリアスを見つめる。もぞもぞと動いてアメリアの腕からコーネリアスが顔を出した。潤んだ青色が優しく黄昏色に受け止められる。
「う、うぅ……」
コーネリアスは不安からぽろぽろと涙をこぼし、アメリアはそれをそっと指で拭ってやる。
「あなたならちゃんと話せますから。何を話して伝えたいのか、ちゃんと考えて。頑張ったってことも、王様にずっと言いたかったことも言えるのも、今のあなたならきっとできるから」
「うん、うん……」
「よしよし。ちゃんとできるから大丈夫ですよ。コーネリアス様」
「大丈夫かな……」
「きっとできますよ。隣で私も応援してますから。怖くなったら、ほら」
アメリアは優しくコーネリアスを撫でていた手を差し出し、コーネリアスに握らせる。しっかりと握手をしてアメリアはコーネリアスに笑いかけた。
「怖かったら、私の手をこうして握ってると思ってみてください。たとえ手が握れていなくても、この手を握ってる感触をちゃんと覚えてて? いつでも思い出せるように」
コーネリアスはきゅっとアメリアの手を握りしめ、何度も頷いてみせる。しなやかなアメリアの手をコーネリアスのしっかりした手が何度も握り返しては、覚えるように手指をなでさすっていった。
「覚えました?」
くすぐったくなりながらもアメリアが確認すれば、子供のような瞳でコーネリアスはこくんと頷く。
「よし! じゃあもう怖いものなんてありませんね」
ぽんぽん、と背中を叩いてアメリアはコーネリアスを励ました。コーネリアスもそれで踏ん切りがついたようで、顔つきがいつものようにきりっとしたものに変わりかけている。
「アメリア。私は私なりに頑張ってみようと思う。できる限り伝えたいことを伝えるつもりだ」
「ええ、よいことです」
「それで、なのだが……」
「はい?」
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「ちゃんとできた暁には、また、頭を撫でてほしい。頑張った、と」
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