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16.二人の散策
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コーネリアスは昼食後、気分転換もかねてアメリアと庭園を散策するのが最近の日課になっていた。安静にするのも大事だが、全く運動しないのもそれはそれで問題だ。運動不足の解消も目的としているから、れっきとした治療の一環である。
しかし、それ以上の意味もコーネリアスとアメリアの二人にはあった。
「すまないな、いつも付き合わせてしまって」
「いえ、私もコーネリアス様の具合を見なければなりませんし、構いませんよ」
緑の生い茂る庭園はよく手入れされ、自然美を活かした田舎風の庭園だ。田舎風の庭といっても御用邸自体クラシカルな作りにそぐわないわけではない。むしろ固い印象の邸宅を柔らかく彩り、静かな雰囲気を醸し出すのに一役買っている。
今はバラが盛りの時期で、山の爽やかな空気の中、淡いピンク色のバラが瑞々しく咲き乱れている。しっとりとした外気は吸い込めば仄かにバラの香りがする。
心地よい緑の中を散策すれば、心身共にリラックスできそうな場所だ。
よく手入れされた庭園を二人で歩き、たまに言葉を交わす。コーネリアスのアメリアを見つめる瞳は少しずつ喜びを湛えるようになり、アメリアもそれはよい兆候だと捉えていた。
それに、二人きりの時は弟のように甘えてくる人が、人前ではきちんと一人の男性として側を歩いてくれる。恋の経験はあまりアメリアにはなかったが、きちんと思われて側にいてくれる安心感は、中々居心地がよい。思わず自分の職務を忘れてしまいそうになるほどである。
だが、アメリアは仕事でこの地に来たのだ。さすがに役目を忘れてしまうようなことがあってはいけない。
だが、コーネリアスには患者として付き合う部分とは逆に、アメリア個人として気になってしまっている面もできてしまっている。どうしたものか、とアメリアも少し迷ってはいるのだ。
それでも、コーネリアスと共にいるのは楽しい。それだけは変わらなかった。
コーネリアスと庭園を歩きながら時折咲いているバラの種類や植え込みの花の名前をアメリアは教える。
コーネリアスはそれを興味深そうに聞いては、頷いたりいろいろと気になることを聞いたりしていた。
「今は初夏に入る頃ですから、バラも見頃なんですよ。この御用邸の庭はよく手入れされていますから、害虫も見当たりませんし健康状態もよいみたいです」
「そうなのか。いつ誰が来てもいいように、とのことだったが……アメリア嬢から見てもそう言えるのなら、庭師の腕は確かだな」
「バラと一緒にクレマチスを植えているから、花の彩りもいいですし。私でしたら薬草の関係でミントやネギを植えてしまいますね」
「それも相性がいいのか? 食用の植物を植えるとは」
コーネリアスが意外そうに聞けば、アメリアははにかみながら答える。
「薬草の知識を扱うなら植物の植生についても詳しくないとやっていけないですから。先ほどの植物でしたら特有の香りで小さな害虫を遠ざけて健康に保ってくれるんですよ。ミントやネギだったら、料理にも使えますし、もちろん薬草としてポーションの材料にもなります」
「そうなのか……バラ一つ取っても様々な知識があるのだな」
「ヒーラーですからね、そういった薬草知識も修得することで寄り幅広い治療ができるんですよ」
「それは頼もしい。私の治療も順調に進んでいることだし、このままいけば当初のあなたの治療計画よりずっと早くに傷が癒やせそうだ。みなあなたのおかげだ、アメリア嬢」
「光栄です」
礼を言うコーネリアスにアメリアはお辞儀をしてみせ、頭を上げたアメリアはくすくすとコーネリアスに笑ってみせる。それにつられるようにコーネリアスも口角を上げ、二人でしばし笑い合っていた。
しかし、それ以上の意味もコーネリアスとアメリアの二人にはあった。
「すまないな、いつも付き合わせてしまって」
「いえ、私もコーネリアス様の具合を見なければなりませんし、構いませんよ」
緑の生い茂る庭園はよく手入れされ、自然美を活かした田舎風の庭園だ。田舎風の庭といっても御用邸自体クラシカルな作りにそぐわないわけではない。むしろ固い印象の邸宅を柔らかく彩り、静かな雰囲気を醸し出すのに一役買っている。
今はバラが盛りの時期で、山の爽やかな空気の中、淡いピンク色のバラが瑞々しく咲き乱れている。しっとりとした外気は吸い込めば仄かにバラの香りがする。
心地よい緑の中を散策すれば、心身共にリラックスできそうな場所だ。
よく手入れされた庭園を二人で歩き、たまに言葉を交わす。コーネリアスのアメリアを見つめる瞳は少しずつ喜びを湛えるようになり、アメリアもそれはよい兆候だと捉えていた。
それに、二人きりの時は弟のように甘えてくる人が、人前ではきちんと一人の男性として側を歩いてくれる。恋の経験はあまりアメリアにはなかったが、きちんと思われて側にいてくれる安心感は、中々居心地がよい。思わず自分の職務を忘れてしまいそうになるほどである。
だが、アメリアは仕事でこの地に来たのだ。さすがに役目を忘れてしまうようなことがあってはいけない。
だが、コーネリアスには患者として付き合う部分とは逆に、アメリア個人として気になってしまっている面もできてしまっている。どうしたものか、とアメリアも少し迷ってはいるのだ。
それでも、コーネリアスと共にいるのは楽しい。それだけは変わらなかった。
コーネリアスと庭園を歩きながら時折咲いているバラの種類や植え込みの花の名前をアメリアは教える。
コーネリアスはそれを興味深そうに聞いては、頷いたりいろいろと気になることを聞いたりしていた。
「今は初夏に入る頃ですから、バラも見頃なんですよ。この御用邸の庭はよく手入れされていますから、害虫も見当たりませんし健康状態もよいみたいです」
「そうなのか。いつ誰が来てもいいように、とのことだったが……アメリア嬢から見てもそう言えるのなら、庭師の腕は確かだな」
「バラと一緒にクレマチスを植えているから、花の彩りもいいですし。私でしたら薬草の関係でミントやネギを植えてしまいますね」
「それも相性がいいのか? 食用の植物を植えるとは」
コーネリアスが意外そうに聞けば、アメリアははにかみながら答える。
「薬草の知識を扱うなら植物の植生についても詳しくないとやっていけないですから。先ほどの植物でしたら特有の香りで小さな害虫を遠ざけて健康に保ってくれるんですよ。ミントやネギだったら、料理にも使えますし、もちろん薬草としてポーションの材料にもなります」
「そうなのか……バラ一つ取っても様々な知識があるのだな」
「ヒーラーですからね、そういった薬草知識も修得することで寄り幅広い治療ができるんですよ」
「それは頼もしい。私の治療も順調に進んでいることだし、このままいけば当初のあなたの治療計画よりずっと早くに傷が癒やせそうだ。みなあなたのおかげだ、アメリア嬢」
「光栄です」
礼を言うコーネリアスにアメリアはお辞儀をしてみせ、頭を上げたアメリアはくすくすとコーネリアスに笑ってみせる。それにつられるようにコーネリアスも口角を上げ、二人でしばし笑い合っていた。
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