生活魔法しか使えない少年、浄化(クリーン)を極めて無双します(仮)(習作3)

田中寿郎

文字の大きさ
3 / 66
序章

第3話 ルークの無実が判明する

しおりを挟む
警備兵「だいたい、子供が毒なんてどうやって手に入れたんだ?」

トール爺「それを調べるのがお前らの仕事じゃろうが!」

トール爺の言い分にムッとする警備兵。

その時、警備兵の後ろから声を掛ける者が居た。

『これは何事ですか?』

出かけていたアルヴァン神父とシスター長のココアレスが帰ってきたのだ。

    ・
    ・
    ・

神父「なるほど、それで、あなた方は、確たる証拠も無いのにルークを犯人と決めつけたのですね?」

シスター・タエ「ですが神父様、あの子は一人だけ平気だったんですよ、同じ毒入りのスープを食べたのに。ルークが犯人としか考えられません!」

シスター・プーリア「だいたい、あの子は昔からいつも気持ち悪かったのよ! 他の子供達や私達までもが風邪で倒れたりお腹を壊したりしていても、あの子だけがいつもケロっとしているんですよ? 何かおかしいでしょう!」

神父「シスター・タエ。シスター・プーリア。あなた方は知らなかったのですね。あの子は、ルークは、赤ん坊の頃はとても身体が弱く、いつも身体を壊していたのですよ。あまりに身体が弱く、多分長くは生きられないだろうと言われていたのです」

プーリア「あの子が?!」

タエ「ちょっと信じられないですが……」

神父「正直、私もあの子は遠からず天に召されるだろうと諦めかけていました。それで、あの子の死後の幸福を神に祈ったのです。ところが、それからです、あの子はピタリと病気をしなくなりました」

シスター長「そうでしたね……。あの子は少し変わったところはありましたが、優しい良い子でしたよ?」

シスター長「私が口煩く厳しいことを言うと、嫌な顔をする者が多いですが」

シスター長がシスター達を見ると、シスター達は目を逸らす。

シスター長「でも、あの子は嫌な顔をせず、それどころか、それはどうしてなのかちゃんと理由を聞いて理解しようとしていました。そして理解したら、ちゃんとそれを守っていました。とても賢い子でしたよ。

それに、いつもみなの濡れたタオルをキレイにして、乾かしてから渡してくれていましたよね。あの子はおそらく【クリーン】と【ドライ】の魔法が使えたのではないでしょうか。一人だけ毒の影響を受けなかったのも、その能力のせいでは?」

タエ「そんな…、そんな幼いうちから魔法を使えるなんて、貴族の間でも天才と言われるような限られた才能の持ち主だけですよ? あの子にそんな才能があるとは思えませんでしたが……?」

神父「おそらく、神のご加護を頂いたのだと思います。あの子は神に愛されし者なのでしょう。…そのような者が、毒で人を苦しめたりすると思いますか?」

プーリア「で、でも……じゃぁ、お金がなくなったのは?! あの子以外に盗める者はいなかったはずです。状況を考えれば、ルークがやったと考えるのが妥当じゃないですか?」

神父「その件についてはもうあの子を責めるなと行ったはずですが? それに、状況証拠だけで確たる証拠はなかったではないですか。あの子を全裸にしてまで調べたのに何も出なかった。それでも納得していなかったのですか?」

アマリア「…あ……あのぉ~……」

シスター長「なんです? シスター・アマリア?」

アマリア「お金の件なんですが……その……アリマシタ……」

神父「はい? ちょっと声が小さくてよく聞こえなかったのですが…」

アマリア「ゴメンナサイ!! お金は、ありましたっ! 盗られたわけではなかったようでして……」

シスター達「!!!!!」

シスター長「どこにあったのですか?」

アマリア「その、私の部屋の、下着入れの中に……さっきルークを探している時に、もう一度部屋の中を確認したら出てきまして……」

プーリア「どうして下着入れなんかに?」

タエ 「ルークが隠したのね?」

アマリア「いえ、違います、その、私が、自分で入れました……」

神父「?」

アマリア「その……机の上に置いたのですが、やっぱり泥棒に入られたら大変と思いなおして、箱の中に放り込んだのでした。それを、私ったら、すっかり忘れていて……」

プーリア「なんですって?! …それじゃあルークは……」

シスター・ブルケ「まぁそれでは、ルークは無実だったってことになりますね。私はそうなんじゃないかと思っていましたわ、私は、最初から!」

プーリア「調子がいい事言わないでよ、シスターブル!」

ブルケ「私はブルよ!」

タエ「そんな……で、でも! お金の件は違ったかもしれないけれど、毒の件は? あの子が犯人かも知れないじゃないですか? お金の件で疑われた事を恨みに思って、とか…」

トール爺「そうじゃ、一人だけ無事だったのが何よりの証拠じゃ! 間違いなかろう!」

神父「もし本当にあの子が犯人だとして、自分だけ無事だったら、自分が疑われるとあの子だって考えると思いませんか?」

プーリア「そこは……子供の浅知恵ですよ。きっとそこまで頭が回らなかったのじゃないかしら」

その時、そこに、別の警備兵がやってきた。

警備兵「ちょっと失礼、神父様はいるかい?」

神父「ここに居りますよ、何か御用ですか?」

警備兵「実は昨日、市場のほうで毒キノコ騒ぎがあってね」

神父・シスター達「「「「「毒キノコ!?」」」」」

警備兵「おお? やけに食いつきがいいな、なんなんだ?

いや、なんでも、C茸と間違って、G茸が売られていたらしいんだ」

神父様「なんですと!?」



しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。 無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。 やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

処理中です...