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序章
第4話 どうか神様、ルークをお守り下さい
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C茸は街で広く食べられている庶民にはありふれた食材である。
警備兵「G茸はC茸に外見はそっくりだが、毒があって食べられないんだ。プロなら間違わないだろうが、どうやら手伝いの子供が間違って収穫して、混ぜて売りに出しちまったらしい」
プーリア「そんなこと……」
警備兵「まぁ、G茸が混ざっていた事に気付いた店主が慌てて買った人達に知らせて回収したので、ほとんど被害はなかったそうだがな。ただ一応念の為、他にもG茸を買った者が居ないか確認して回っているんだよ」
アマリア「その毒キノコを売ったというのは、もしかして、ダモーさんの店ですか?」
警備兵「ああ、そうだ……ってその顔は……まさか?
…キノコをスープにして、孤児院の夕食に出したリハシテナイヨナ?」
アマリア「昨日、食材を買いに行ったのはプーリアよね? いつも安いからってダモ―さんのところで買ったわよね?」
プーリア「あ、アタシは! 少しでも食費を浮かせようと思って! 昨日だって特売のキノコがあったから買っただけよ! そんな事いまさらっ、私は、知らなかったんだから仕方ないじゃない!」
警備兵「どうやら遅かったようだな……
まぁ素人には見分けはつかないだろうから仕方ないさ。ダモ―は少しでも人件費を安くするために子供を多く使ってるからな。それで販売価格も安くなっているのだから、悪い事ではないんだが……
それに、死ぬほどの毒ではないそうだ。かなり苦しいらしいが、よほど衰弱してる者でもない限りは死んだりはしないそうだよ、毒消しを飲めば腹痛もすぐに収まるらしいしな。
だが、トール爺さんが居るってことはもう解決済みなんだろ?」
アマリア「そんな……それじゃ、ルークは、無実だったって事……?
…あの子は、何も悪いことはしていなかった。
それなのに、私は……私達は……」
神父「人は間違うものです。間違いに気付いたら、それを認め、謝罪し、悔い改めれば良いのです。あの子も真摯に謝れば許してくれるでしょう」
シスター長「皆で心を込めてルークに許しを請いましょう。それで、ルークはどこに居るのですか?」
* * * * *
ルークが孤児院を飛び出してしまったらしい事を聞いた神父は、シスター達と、警備兵にも協力してもらいルークを捜し回った。孤児たちの中でも年長組の大きい子達は手分けして捜索を手伝った。
しかし、街のどこを探してもルークの姿はみつからない。ルークは街を出てしまったのだから当然である。
捜索は三日間続けられたが、結局ルークは発見できなかった。ただ、死体も見つからないという事で、ルークはおそらく街を出ていったのだろうという結論になったのであった。
アマリア「そんな……!
…ああ、なんてことでしょう、あの子はまだ六歳なんですよ。そんな幼い子が、一人で魔獣が彷徨く街の外で生きていけるわけが……」
プーリア「ま、まだ死んだとは限らないわ…ほら、旅の商隊の馬車に潜り込んで別の町に向かったのかも? だとしたら、きっと、隣町に無事についているわよ」
警備兵「一応、隣街の警備隊にもそれらしい子供が居たら連絡をくれるように伝えておこう」
神父「そうですね、あの子はきっと、どこかで生き延びているような気がします。不思議な子でしたから、きっと……」
シスター長「無事を神に祈りましょう。あの子に神のご加護があらんことを…」
アマリア「ああ、神様、どうかあの子を、ルークをお守り下さい……」
** * ** *
街を出て、商隊の馬車を降りたルークは、無実が証明された事も知らず、街道をトボトボと一人歩いていた。
捕まる前に街を逃げ出したのはいいが、このまま自分は犯罪者のレッテルを貼られてしまうのだろうか? 無実なのに、どうにもならない、悔しい……。そんな事を考えながら歩いていたら、ルークは道を横切ろうとしていた蛇をうっかり踏んでしまった。枝や蔦がたくさん落ちており、蛇だと分かりにくかった。
踏まれた蛇が怒って反撃してきて、ルークに噛み付く。
足を噛まれたルークは驚きと痛みでちょっと涙が出てしまったが、グッと堪えて【ドライ】の魔法を使って蛇を殺す。
【ドライ】は【クリーン】の次にルークが覚えた魔法である。ヒボルに意地悪で水を掛けられたりする事が多くなり、それを乾かすために身に着けたのであった。
【ドライ】は濡れたものを乾かす魔法である。【クリーン】が使える者ならば大抵は使える。この魔法は手や衣服を乾かすだけでなく、食材を乾かす用途などにも使える。ルークはそれを蛇に向けて使う事で、蛇の身体から水分を奪い、蛇を殺したのである。
また、蛇は毒を持っていたが、それも【クリーン】を使いバイ菌とともに浄化した。
魔法というのは、繰り返し使う事で熟練し、魔力量も増え、レベルが上がっていく。赤子の頃から【クリーン】を繰り返し使っていたルークである、その魔法のレベルはかなりのものとなっていたのであった。
ルークは噛まれた傷に【ヒール】を掛けた。痛みは弱まり、傷は回復に向かったが、完全には治らなかった。ルークの【ヒール】は覚えたばかりで、あまり効果が高くなかったのである。
治らなかった傷を見てルークは泣きそうになる。だが、グッと堪えて再び歩き始めた。ルークは一人で生きて行く道を選んだのだ、泣き言は言っていられないのだ。
再び街道を進み始めたルーク。
だが腹が減ってお腹が鳴る。朝から何も食べていないのだから当然である。
だが、ルークは食べ物など何も持っていなかった。孤児院を抜け出すのが精一杯で、何も準備などしていなかったのだから。
それに、もし孤児院の食材を持ち出してしまったとしたら、それは窃盗となってしまう。ルークは悪いことはしないと決めた、それは犯罪者呼ばわりされ悔しかったルークの意地であったのだ。そのため、ルークは僅かな私物以外は何も持ち出さずに孤児院を出たのであった。
警備兵「G茸はC茸に外見はそっくりだが、毒があって食べられないんだ。プロなら間違わないだろうが、どうやら手伝いの子供が間違って収穫して、混ぜて売りに出しちまったらしい」
プーリア「そんなこと……」
警備兵「まぁ、G茸が混ざっていた事に気付いた店主が慌てて買った人達に知らせて回収したので、ほとんど被害はなかったそうだがな。ただ一応念の為、他にもG茸を買った者が居ないか確認して回っているんだよ」
アマリア「その毒キノコを売ったというのは、もしかして、ダモーさんの店ですか?」
警備兵「ああ、そうだ……ってその顔は……まさか?
…キノコをスープにして、孤児院の夕食に出したリハシテナイヨナ?」
アマリア「昨日、食材を買いに行ったのはプーリアよね? いつも安いからってダモ―さんのところで買ったわよね?」
プーリア「あ、アタシは! 少しでも食費を浮かせようと思って! 昨日だって特売のキノコがあったから買っただけよ! そんな事いまさらっ、私は、知らなかったんだから仕方ないじゃない!」
警備兵「どうやら遅かったようだな……
まぁ素人には見分けはつかないだろうから仕方ないさ。ダモ―は少しでも人件費を安くするために子供を多く使ってるからな。それで販売価格も安くなっているのだから、悪い事ではないんだが……
それに、死ぬほどの毒ではないそうだ。かなり苦しいらしいが、よほど衰弱してる者でもない限りは死んだりはしないそうだよ、毒消しを飲めば腹痛もすぐに収まるらしいしな。
だが、トール爺さんが居るってことはもう解決済みなんだろ?」
アマリア「そんな……それじゃ、ルークは、無実だったって事……?
…あの子は、何も悪いことはしていなかった。
それなのに、私は……私達は……」
神父「人は間違うものです。間違いに気付いたら、それを認め、謝罪し、悔い改めれば良いのです。あの子も真摯に謝れば許してくれるでしょう」
シスター長「皆で心を込めてルークに許しを請いましょう。それで、ルークはどこに居るのですか?」
* * * * *
ルークが孤児院を飛び出してしまったらしい事を聞いた神父は、シスター達と、警備兵にも協力してもらいルークを捜し回った。孤児たちの中でも年長組の大きい子達は手分けして捜索を手伝った。
しかし、街のどこを探してもルークの姿はみつからない。ルークは街を出てしまったのだから当然である。
捜索は三日間続けられたが、結局ルークは発見できなかった。ただ、死体も見つからないという事で、ルークはおそらく街を出ていったのだろうという結論になったのであった。
アマリア「そんな……!
…ああ、なんてことでしょう、あの子はまだ六歳なんですよ。そんな幼い子が、一人で魔獣が彷徨く街の外で生きていけるわけが……」
プーリア「ま、まだ死んだとは限らないわ…ほら、旅の商隊の馬車に潜り込んで別の町に向かったのかも? だとしたら、きっと、隣町に無事についているわよ」
警備兵「一応、隣街の警備隊にもそれらしい子供が居たら連絡をくれるように伝えておこう」
神父「そうですね、あの子はきっと、どこかで生き延びているような気がします。不思議な子でしたから、きっと……」
シスター長「無事を神に祈りましょう。あの子に神のご加護があらんことを…」
アマリア「ああ、神様、どうかあの子を、ルークをお守り下さい……」
** * ** *
街を出て、商隊の馬車を降りたルークは、無実が証明された事も知らず、街道をトボトボと一人歩いていた。
捕まる前に街を逃げ出したのはいいが、このまま自分は犯罪者のレッテルを貼られてしまうのだろうか? 無実なのに、どうにもならない、悔しい……。そんな事を考えながら歩いていたら、ルークは道を横切ろうとしていた蛇をうっかり踏んでしまった。枝や蔦がたくさん落ちており、蛇だと分かりにくかった。
踏まれた蛇が怒って反撃してきて、ルークに噛み付く。
足を噛まれたルークは驚きと痛みでちょっと涙が出てしまったが、グッと堪えて【ドライ】の魔法を使って蛇を殺す。
【ドライ】は【クリーン】の次にルークが覚えた魔法である。ヒボルに意地悪で水を掛けられたりする事が多くなり、それを乾かすために身に着けたのであった。
【ドライ】は濡れたものを乾かす魔法である。【クリーン】が使える者ならば大抵は使える。この魔法は手や衣服を乾かすだけでなく、食材を乾かす用途などにも使える。ルークはそれを蛇に向けて使う事で、蛇の身体から水分を奪い、蛇を殺したのである。
また、蛇は毒を持っていたが、それも【クリーン】を使いバイ菌とともに浄化した。
魔法というのは、繰り返し使う事で熟練し、魔力量も増え、レベルが上がっていく。赤子の頃から【クリーン】を繰り返し使っていたルークである、その魔法のレベルはかなりのものとなっていたのであった。
ルークは噛まれた傷に【ヒール】を掛けた。痛みは弱まり、傷は回復に向かったが、完全には治らなかった。ルークの【ヒール】は覚えたばかりで、あまり効果が高くなかったのである。
治らなかった傷を見てルークは泣きそうになる。だが、グッと堪えて再び歩き始めた。ルークは一人で生きて行く道を選んだのだ、泣き言は言っていられないのだ。
再び街道を進み始めたルーク。
だが腹が減ってお腹が鳴る。朝から何も食べていないのだから当然である。
だが、ルークは食べ物など何も持っていなかった。孤児院を抜け出すのが精一杯で、何も準備などしていなかったのだから。
それに、もし孤児院の食材を持ち出してしまったとしたら、それは窃盗となってしまう。ルークは悪いことはしないと決めた、それは犯罪者呼ばわりされ悔しかったルークの意地であったのだ。そのため、ルークは僅かな私物以外は何も持ち出さずに孤児院を出たのであった。
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