生活魔法しか使えない少年、浄化(クリーン)を極めて無双します(仮)(習作3)

田中寿郎

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第二章 街へ

第59話 ギルドカードが貰えない

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ディザスターウルフは危険度ランクで言えばS級である。Aランク冒険者一人では歯が立たない相手である。

だが、疾風怒涛のメンバーは全員Aランクである。Aランク冒険者が4人も揃えばなんとなかるだろうと、目撃情報を元に挑む事にしたのだった。

果たして、狙い通りディザスターウルフに遭遇したライト達。最初、罠を仕掛けてみたのだが、賢いディザスターウルフにはすべて読まれて避けられてしまったため、直接攻撃をすることにした。

一匹街に進入しただけで街が滅ぶ、災害級とも言われるディザスターウルフであるが、さすがAランク冒険者のパーティである。激戦の末、ついに倒すことができた。

ただし、冒険者達にも多大な被害が出た。その時点で生き残っているのはライトだけだったのだ。

ライト達の実力では、まだ少しディザスターウルフに挑むには早かったのかも知れない……。

限界に近い躰を引きずり、倒れているディザスターウルフに近づくライト。念の為、止めを刺して置こうとしたのだ。

剣を振りかぶったライト。だがその瞬間、突然跳ね起きたディザスターウルフにライトは首を食いちぎられてしまった。

ディザスターウルフも、死んだふりをしていたわけではない。瀕死の状態であったのは間違いなかった。だが、それでも最期の死力を振り絞り、敵を倒したのだ。

朦朧とする意識で、ボロボロの身体を引きずりながら、ディザスターウルフは森の奥へと去っていった……。



    * * * * *



ルークの冒険者登録試験の翌日。

再びルークは冒険者ギルドに来ていた。実は、試験は終了(合格)したものの、ギルドカードを未だに受け取っていなかったのである。

普通は、即日でカードを貰えるものなのだが、なんでも、初心者のいきなりのBランク登録は特例措置となるため、本部の承認が必要なのだそうで、許可が降りるまでギルドカードの発行ができないのだそうだ。

ルーク「いや、最低ランクので良いから今日、発行してよ」

メア「何言ってるの、初めて登録する初心者で、いきなりB認定はとんでもなく凄い事なのよ!」

ルーク「そうは言っても、カードがなかったら狩りに行けないじゃん。いやまぁ、今まで同様、金を払えばいいんだけど」

ポーリン「駄目よ、せっかく冒険者になったのに、もったいないわ」

ルーク「でも、それだと今日も狩りにいけないね」

メア「どうしても今日行かないといけないの?」

ルーク「僕はいいんだけどね……」

酒場の方に目をやるルーク。それに気付いたバーのマスターがカウンターから出てきた。

バル「ルーク、どうした? ランクアップ試験は終わったんだろう? 早く狩りに行って、次の食材を仕入れてきてくれ。みんなルークの干し肉はないのかとうるさくてな」

ポーリン「Bランクはギルドカードが即日発行できないんだって」

バル「何? 試験は合格したんだろう? すぐに発行できないなら、代わりの証明書か何か出してやれないのか? あるいはすぐ出せる低いランクのカードを発行しておいて、後日ランクアップという形にするとか」

メア「ランクアップ扱いとなると、また手続きが違ってしまうのよ。証明書っていうのもねぇ、前例がないみたいで」

バル「冒険者ギルドもすっかりお役所仕事になっちまったなぁ。しかたない、ルーク! 今日の分の入城料は俺が出してやるから、狩りに行ってきてくれ! 大丈夫、その分、料理の値段値上げするから」

それを聞いた冒険者達からブーイングが起きた。

キリング「まぁ待て、そんな必要はない」

奥からキリングが出てきた。

キリング「証明書、発行してやろう。と言ってもそんな書類はないから、俺の手書きになるがな。衛兵には俺から連絡しておくから、それでもなんとかなるだろう」

キリングが一筆書いてくれた皮紙を受け取ったものの、本当にこんな汚い字の走り書きで大丈夫なのか不安になるルークだったが、嫌な予感を抱えつつも、それを持って狩りに出かける事にした。

まぁ最悪でも金を払えば済む事なので問題ないだろう。


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