58 / 66
第二章 街へ
第58話 フィルの旅立ち
しおりを挟む
フィル「それは…?」(ゴクリ)
スケルトン「俺にも分からん」
ずっこけたフィルであった。
フィル「分からんのかい、もったいつけおって。
しかし……自然にアンデッド化する条件は、瘴気が異常に濃い場所であったり、誰にも弔ってもらえなかったり、この世に未練が有りすぎた場合などじゃが……儂はどれにも該当しておらんのだがな。
そういえば、お主はどうしてスケルトンになったんだ?」
スケルトン「俺は、俺を蘇らせた奴が居るんだよ。そうだ、ソイツに聞いてみれば分かるかも知れないぞ、一緒に来るか?」
フィル「ネクロマンサーと言う事か……まぁ、このままここに居ても仕方がない、ちょっと話を聞いてみても良いかの。
ところで、お主、名は何というのじゃ?」
スケルトン「アンデッドに名前なんてどうでもいいだろう?」
フィル「スケルトンとかお前とかでは呼びにくいじゃろうが。儂はフィルじゃ」
スケルトン「…俺は……ジョージだ。人間だった時にはそう呼ばれていた」
フィル「ジョージか、よろしくな」
ジョージは返事をせず、手を上げて応えただけだった。
こうして、フィルはジョージに連れられ、森の家を後にしたのだが……
・
・
・
森の奥へと進んでいくうち、一匹の魔狼に遭遇してしまった。
ジョージ「やべぇぞ、魔狼の上位種だ! うっかり縄張りに入ってしまったようだ」
フィル「魔狼? ディザスターウルフか、珍しいな」
ジョージ「何のんきな事言ってんだ、奴は恐ろしく強ぇんだよ! 骨なんか噛み砕かれちまうぞ、早く逃げるんだ」
フィル「まぁ、そう恐れる事もあるまい。
おいお前……儂らに害意はない。すぐに出ていくから、牙を剥くでない」
フィルの言葉が通じたのか、フィルに睨まれて何かを悟ったのか、魔狼は警戒は解かないものの、牙を剥いて唸るのをやめ、一~二歩引いた。
それを見たフィルは手を振り、その場から立ち去った。
ジョージ「お前、度胸あるな。だが、たまたま相手が引いてくれたからいいようなものの、もし問答無用で襲われていたらバラバラにされてたぞ。そうなったら復活に何十年もかかる事になる」
フィル「なに、魔狼ごときに負けはせん、もし襲いかかってきたら、死んでいたのは狼のほうじゃよ」
シュバッと剣を抜き、一閃して再び鞘に戻して見せるフィル。
フィル「引いてくれてよかった、無駄な殺生をせずに済んだ」
ジョージ「アンタ……、もしかして、凄く強い?」
フィル「さての? 世の中、上には上がいるものじゃからのぅ」
* * * * *
フィル達が魔狼に遭遇した日の翌日。
森の奥深くを探索している冒険者達が居た。Aランク冒険者ライト率いるパーティ「疾風怒涛」の面々である。
ライト「おい、居たぞ!」
ビル「目撃情報は本当だったな」
コマリ「ディザスターウルフを倒して、俺達もSランク入りだ」
ニール「……」
「疾風怒濤」のメンバーが遭遇したのは、昨晩、フィル達と遭遇した魔狼の上位種であった。
スケルトン「俺にも分からん」
ずっこけたフィルであった。
フィル「分からんのかい、もったいつけおって。
しかし……自然にアンデッド化する条件は、瘴気が異常に濃い場所であったり、誰にも弔ってもらえなかったり、この世に未練が有りすぎた場合などじゃが……儂はどれにも該当しておらんのだがな。
そういえば、お主はどうしてスケルトンになったんだ?」
スケルトン「俺は、俺を蘇らせた奴が居るんだよ。そうだ、ソイツに聞いてみれば分かるかも知れないぞ、一緒に来るか?」
フィル「ネクロマンサーと言う事か……まぁ、このままここに居ても仕方がない、ちょっと話を聞いてみても良いかの。
ところで、お主、名は何というのじゃ?」
スケルトン「アンデッドに名前なんてどうでもいいだろう?」
フィル「スケルトンとかお前とかでは呼びにくいじゃろうが。儂はフィルじゃ」
スケルトン「…俺は……ジョージだ。人間だった時にはそう呼ばれていた」
フィル「ジョージか、よろしくな」
ジョージは返事をせず、手を上げて応えただけだった。
こうして、フィルはジョージに連れられ、森の家を後にしたのだが……
・
・
・
森の奥へと進んでいくうち、一匹の魔狼に遭遇してしまった。
ジョージ「やべぇぞ、魔狼の上位種だ! うっかり縄張りに入ってしまったようだ」
フィル「魔狼? ディザスターウルフか、珍しいな」
ジョージ「何のんきな事言ってんだ、奴は恐ろしく強ぇんだよ! 骨なんか噛み砕かれちまうぞ、早く逃げるんだ」
フィル「まぁ、そう恐れる事もあるまい。
おいお前……儂らに害意はない。すぐに出ていくから、牙を剥くでない」
フィルの言葉が通じたのか、フィルに睨まれて何かを悟ったのか、魔狼は警戒は解かないものの、牙を剥いて唸るのをやめ、一~二歩引いた。
それを見たフィルは手を振り、その場から立ち去った。
ジョージ「お前、度胸あるな。だが、たまたま相手が引いてくれたからいいようなものの、もし問答無用で襲われていたらバラバラにされてたぞ。そうなったら復活に何十年もかかる事になる」
フィル「なに、魔狼ごときに負けはせん、もし襲いかかってきたら、死んでいたのは狼のほうじゃよ」
シュバッと剣を抜き、一閃して再び鞘に戻して見せるフィル。
フィル「引いてくれてよかった、無駄な殺生をせずに済んだ」
ジョージ「アンタ……、もしかして、凄く強い?」
フィル「さての? 世の中、上には上がいるものじゃからのぅ」
* * * * *
フィル達が魔狼に遭遇した日の翌日。
森の奥深くを探索している冒険者達が居た。Aランク冒険者ライト率いるパーティ「疾風怒涛」の面々である。
ライト「おい、居たぞ!」
ビル「目撃情報は本当だったな」
コマリ「ディザスターウルフを倒して、俺達もSランク入りだ」
ニール「……」
「疾風怒濤」のメンバーが遭遇したのは、昨晩、フィル達と遭遇した魔狼の上位種であった。
21
あなたにおすすめの小説
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。
無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。
やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。
最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる