生活魔法しか使えない少年、浄化(クリーン)を極めて無双します(仮)(習作3)

田中寿郎

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第二章 街へ

第58話 フィルの旅立ち

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フィル「それは…?」(ゴクリ)

スケルトン「俺にも分からん」

ずっこけたフィルであった。

フィル「分からんのかい、もったいつけおって。

しかし……自然にアンデッド化する条件は、瘴気が異常に濃い場所であったり、誰にも弔ってもらえなかったり、この世に未練が有りすぎた場合などじゃが……儂はどれにも該当しておらんのだがな。

そういえば、お主はどうしてスケルトンになったんだ?」

スケルトン「俺は、俺を蘇らせた奴が居るんだよ。そうだ、ソイツに聞いてみれば分かるかも知れないぞ、一緒に来るか?」

フィル「ネクロマンサーと言う事か……まぁ、このままここに居ても仕方がない、ちょっと話を聞いてみても良いかの。

ところで、お主、名は何というのじゃ?」

スケルトン「アンデッドに名前なんてどうでもいいだろう?」

フィル「スケルトンとかお前とかでは呼びにくいじゃろうが。儂はフィルじゃ」

スケルトン「…俺は……ジョージだ。人間だった時にはそう呼ばれていた」

フィル「ジョージか、よろしくな」

ジョージは返事をせず、手を上げて応えただけだった。

こうして、フィルはジョージに連れられ、森の家を後にしたのだが……

   ・
   ・
   ・

森の奥へと進んでいくうち、一匹の魔狼に遭遇してしまった。

ジョージ「やべぇぞ、魔狼の上位種だ! うっかり縄張りに入ってしまったようだ」

フィル「魔狼? ディザスターウルフか、珍しいな」

ジョージ「何のんきな事言ってんだ、奴は恐ろしく強ぇんだよ! 骨なんか噛み砕かれちまうぞ、早く逃げるんだ」

フィル「まぁ、そう恐れる事もあるまい。

おいお前……儂らに害意はない。すぐに出ていくから、牙を剥くでない」

フィルの言葉が通じたのか、フィルに睨まれて何かを悟ったのか、魔狼は警戒は解かないものの、牙を剥いて唸るのをやめ、一~二歩引いた。

それを見たフィルは手を振り、その場から立ち去った。

ジョージ「お前、度胸あるな。だが、たまたま相手が引いてくれたからいいようなものの、もし問答無用で襲われていたらバラバラにされてたぞ。そうなったら復活に何十年もかかる事になる」

フィル「なに、魔狼ごときに負けはせん、もし襲いかかってきたら、死んでいたのは狼のほうじゃよ」

シュバッと剣を抜き、一閃して再び鞘に戻して見せるフィル。

フィル「引いてくれてよかった、無駄な殺生をせずに済んだ」

ジョージ「アンタ……、もしかして、凄く強い?」

フィル「さての? 世の中、上には上がいるものじゃからのぅ」



    * * * * *



フィル達が魔狼に遭遇した日の翌日。

森の奥深くを探索している冒険者達が居た。Aランク冒険者ライト率いるパーティ「疾風怒涛」の面々である。

ライト「おい、居たぞ!」

ビル「目撃情報は本当だったな」

コマリ「ディザスターウルフを倒して、俺達もSランク入りだ」

ニール「……」

「疾風怒濤」のメンバーが遭遇したのは、昨晩、フィル達と遭遇した魔狼の上位種であった。



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