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第二章 街へ

第62話 指名依頼

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ポーリン「でも、いくらBランク認定されたとは言え、まだルークは冒険者になって数日よ? 指名依頼はちょっと早すぎない?」

キリング「まぁ、断ってくれてもいいんだが、森に詳しいルークとリスティにもってこいの仕事でな。というか、他に適任者も見当たらんのだよ」

なんでも、Aランクパーティ「疾風怒濤」が森に入ったまま帰らないらしく、その捜索に行って欲しいとの事だった。

「疾風怒濤」は森で見かけた魔狼の上位種を討伐に行った切り、戻ってきていないという。もしかしたら魔物に殺されてしまったかも知れないが、その場合はギルドカードと遺品を何点か回収してくればよいと言う事であった。

キリング「疾風怒濤は、かなり森の奥深くに入ったらしいのでな。この街で唯一のAランクパーティだった。彼らが居ないとなると、森の深奥部まで捜索に出すには、ちと心もとない者しか残ってなくてな。だが、ルークとリスティなら森の奥の捜索も可能なんじゃないか?」

ルーク「うん、まぁ別に問題ないかな」

リスティも頷く。

ポーリン「ちょっと、ディザスターウルフなんて、災害級じゃないの! いくらBランクとは言え、ルークはまだ登録したばかりよ、危険過ぎるわ」

キリング「もちろん、ディザスターウルフと戦う必要はない。見かけたらすぐに逃げて帰ってきてくれ。魔物の情報を持ち帰ってくれれば、それだけで有益だ。

低ランクの冒険者ではディザスターウルフから逃げる事もかなわんが、お前なら楽勝だろう? 俺と接戦を演じたルークなら」

ポーリン「接戦? 相手になってなかったような気がするんだけど……」

キリング「うるさい。それに、Aランク冒険者でもあり、森の妖精とさえ言われるエルフのリスティだ。狩りにディザスターウルフと遭遇してもうまく逃げられるだろう?

今回の件は、疾風怒濤のメンバーも、魔狼も、どちらも見つからなかったとしても、依頼失敗によるペナルティはなしとする」

ルーク「それじゃぁ、探しに行ったフリでも問題ないって事になっちゃわない?」

キリング「まぁ、そうなんだが、そんな事はしないだろう?」

ルーク「まぁ、しないけど」

キリング「登録して早々に、そんなインチキをやるようでは、Bランク認定した俺が疑われてしまうからな、期待してるよ」





   * * * * *





フィルはジョージに連れられて、森の奥へと進んでいった。人間であれば危険な森の深奥部も、魔物になってしまうと意外と心地よい。魔物が別の魔物を襲う事ももちろんあるが、アンデッド系の魔物を襲う魔物はほとんど存在しないのである。堅い骨しかないスケルトンを齧っても腹の足しにはならないのだから当然であろう。

かなりの距離を歩いたジョージとフィル。肉体がないので疲れを知らない。正確に言えば魔力を消耗していくのであるが、肉体の消耗にくらべれば微々たるものであった。

   ・
   ・
   ・

『ジョージか? 戻ったのか? 言ったとおり、連れてきたようだな』

辿り着いた場所に居たのは、森の奥深くに住む変わり者のリッチであった。

リッチというのは魔法使いなどが死に切れずアンデッド化したものである。元が高位の魔法使いであるため、非常に強力な力を持っており、人間からは恐れられている。

どうやらジョージはそのリッチにアンデッドとして蘇らせられたらしい。

リッチ「久しぶりだな、レインクラッドよ」


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